UCHUSENTAI:NOIZ現体制ラストLIVEにみた希望”スペースヒーローたちは決して死なない” 

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UCHUSENTAI:NOIZ 2024 LAST TOUR -BORN TO BE SPACE HEROES- ☆TOUR FINAL☆
2024.02.02(fri)赤羽ReNY alpha

ついにこの日が来てしまったがまるで実感が湧いてこない。2023年2月2日、赤羽ReNY alpha、無期限活動休止前のラストライブ。とんでもない人口密度でフロアを埋め尽くした隊員たちも、たぶん同じ気持ちのような気がする。この15年間、この5人がUCHUSENTAI:NOIZとしてそこにいるのが当たり前だったから、今日のラストシーンにどんな思いが駆け巡るのか誰にも予想がつかない。バンドの大転換点になる歴史的ライブ、いざ開演。

UCHUSENTAI:NOIZ

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いつものように幕が開き、いつものように熱烈歓迎コールを受けた5人が変身ポーズを決め、「METEORS」が始まった瞬間にフロアが沸騰する。床が揺れる。赤羽ReNY alphaが誇る高性能ビジュアル設備と、バンドが持ち込んだスペイシーでカラフルで壮大な映像ががっちりかみ合って、3D映画を見ているような凄い迫力だ。間髪入れずに「World End SUPERSTAR」「CIVERE CRIME」へ、NOIZが誇るヘヴィロックとダンスロックの強力なミクスチャーサウンドが火を噴き、ノンストップでぶっ飛ばす。2024年宇宙の旅。これはヤバいライブになる。

「今日は、一人一人を強く抱きしめる勢いでやるからね。覚悟しててよ。ベストアルバムを作るならこれかな?というセットリストですよ。絞りに絞った濃いめのセットリストで、おまえらを抱きしめるぞ!」

ANGEL-TAKAが叫び、「拳を上げろ!」とMASATOが煽る。エンジェルが旗をぶんぶん振り回して盛り上げる「FLASHBACK FLAG」から、MASATO&エンジェルのツインボーカルでぶち上がる「Beam bing“Bambino”GANG」へ。冒険とロマンを乗せた海賊船の映像をバックに、二人がお立ち台で揃い踏みする姿はひたすらかっこよくてとにかく映える。さらに間奏のヘドバンタイムが圧巻の「CRY」からストレートなビートロック「コールアウト」へ、NOIZの曲は本当にメロディがキレイでキャッチーだからどんなにヘヴィでも耳が疲れない。スクリーンに映る無限の大宇宙がとてもビューティフル。

UCHUSENTAI:NOIZ

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ライブが続くと爪が削られるMASATO、爪が硬くなる呼太郎、シンバルで指を切って血まみれになるYAMATO、なぜか左手の人差し指がどんどん短くなる叫。他愛もない話が絶妙のボケとツッコミ合戦で明るい笑いに包まれる、NOIZは音楽と笑いの神に祝福されたバンドだ。「BELIEVE」の髪振り乱しパフォーマンスがフロアに風を巻き起こし、MASATOと呼太郎のツインリードがステージに嵐を呼ぶ。エイトビートの「MAGICAL DIVE」はエンジェルのボーカルが優しさとロマンを伝え、ハードコア→四つ打ち→ポップへと進化する「Jewel」では叫がステージ前へ飛び出して猛々しいベースを響かせる。「Happy tied」は優しさしかないエンジェルの歌詞に泣き、呼太郎の超絶ソロに心が荒ぶる。大きく言えば「楽しい」なのだがその中に実に繊細な感情のグラデーションがある、だからUCHUSENTAI:NOIZの曲は癖になる。

YAMATO(Dr)

YAMATO(Dr)

叫(Ba)

叫(Ba)

中盤のお楽しみコーナー、YAMATO、叫、MASATO、呼太郎の「セッション」は今日も凄かった。ファンキーなビートに乗った白熱のギターソロ合戦に火花が散り、戻って来た黒い網シャツ姿のエンジェルが火に油を注ぐ。エンジェルとMASATOがステージから身を乗り出して煽る「CUBE」、大量のスモークと激しいヘドバンで盛り上がる「Bad Music Freaks」から「re:member」、さらに「Igni+ioN」でステージもフロアも狂乱のお祭り状態へとなだれこむ。マイクを握った「ラッパー・MASATO」の、熱いのにクールなたたずまいはいつ見てもかっこいい。フロアが揺れ動くほどの熱狂ぶりだが、エクササイズやゲームにも近いというか、暴力や危険の匂いはまったくしないのがNOIZらしい。なんと言えばいいだろう、ここには愛がある。

MASATO(Gt)

MASATO(Gt)

呼太郎(Gt)

呼太郎(Gt)

「ソールドアウトに慣れてないから(笑)」と自虐をかましながら、ぎゅうぎゅう詰めのフロアに感謝を伝えるエンジェル。そろそろ2時間が経とうというのに終盤の気配がないまま、シンセ仕掛けのビートロック「Everything For My Love」はフロント4人がステージ前に飛び出して圧をかけ、叫のスラップが炸裂する「CHROMOSOME SIX」は隊員たちが揃いのステップで素敵な一体感を作り出す。スモークマシンも元気いっぱいに稼働中だ。「R.A.M FISH」は強力ダンスビートに乗ったエンジェルとMASATOのツインボーカルでぐいぐい盛り上げ、隊員たちも負けじと大きな手振りで応える。ステージの上も下も、どっちを見ても楽しい。それがUCHUSENTAI:NOIZのライブ。

ANGEL-TAKA(Vo)

ANGEL-TAKA(Vo)

「このメンバーとのライブは今日でラストです。でも毎回思い出話をして湿っぽくなってツアーを廻るののは俺ららしくないから、愛いっぱいのツアーを廻らせてもらいました。今日も最高に楽しい思い出を持って帰ってもらおうと思ってライブしてます」

愛を込めて、聴いてくださいーー。エンジェルの一人語りでようやく「ああそうだ、今日が最後か」と思い出したところに「SO LALALA」は心に沁みる。歌詞とメロディだけでなく、広大な海と空と地球が浮かび上がる映像の美しさが目に沁みる。遥かな叙情と壮大な宇宙時間に彩られた、UCHUSENTAI:NOIZ にはこんな素敵な曲がたくさんあるんだ。一転して明るくポップでダンスな「BRAND NEW WORLD」は、華麗なソロを決める呼太郎の雄姿を目に焼き付ける。そして「Thank you for the MUSIC」の激しくめまぐるしいリズムチェンジは残った体力を図るバロメーター、しかし脱落者は一人もいない。「まだ行けるか!」とエンジェルが吠え、「かかってこい!」と叫が叫ぶ。この日の22曲目「F」はもはや無礼講、カオスまみれの明るい騒乱状態の中、エンジェルが手持ちのスモークマシンで所かまわず白い雲をぶちまける。サンキュー!とエンジェルは何回言っただろう。「愛してるぜ、地球のベイベー!」。エンディングのSEが流れ、ポーズを決める5人。そしてハンド・イン・ハンド。これで終わり。本当に?

UCHUSENTAI:NOIZ

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「15年間、毎日が青春みたいで、宇宙最大の、最っ高な15年を過ごすことができました。本当にUCHUSENTAI:NOIZで出会って良かったです。出会ってくれて本当にありがとう。心から愛してます」(呼太郎)

「みんなありがとう!」(MASATO)

呼太郎は、言葉をかみしめながらしっかりと。MASATOはたった一言。すすり泣きの声があちこちで聞こえる。万感の思いを伝え終え、大量のスモークで目の前が真っ白になり、雲が晴れたステージにはもう誰もいない。「UCHUSENTAI:NOIZは地球を離れ、次の星に移動しました。宇宙からも引き続き、みなさまを愛し続けるでしょう」――まるでSF映画のエンディングのようなナレーションと、宇宙へと帰ってゆくロケットの映像がスクリーンに残される。場内が明るくなっても、あきらめきれない「おかわりコール」はその後10分以上続いたが、5人が戻って来ることはなかった。

UCHUSENTAI:NOIZ

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この5人で作り上げたUCHUSENTAI:NOIZの旅は終わった。最後の瞬間は涙になったが、笑いと勇気、高いスキルとバンドマジック、ロック愛と連帯感を存分に伝えてくれた素晴らしいフィナーレだった。無期限活動休止がいつまで続くか、先のことはまったくわからない。今はただ呼太郎、MASATO、ANGEL-TAKA、叫、YAMATO、そしてすべての隊員に感謝と祝福を。少しだけ感傷に浸ったら前を向こう。スペースヒーローたちは決して死なない。

取材・文=宮本英夫

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現在アリーナツアー中のSUPER BEAVERが、『SUPER BEAVER 都会のラクダSP 行脚 ~EXTRA~』と題して6月24日(月)に石川県の金沢歌劇座にてワンマンライブを実施することを発表した。本公演は、急遽開催が決まったもので、解禁と同時にSUPER BEAVERのOfficial YouTube Channnelにて当日のライブを生配信することも発表された。

現在は、『SUPER BEAVER「都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」』と題して昨年9月から3月のさいたまスーパーアリーナまで21公演のツアー中。自身の公演としては、沖縄と徳島をまわる『SUPER BEAVER「都会のラクダSP 行脚 ~ ヤットサー、イーヤーサーサー ~」』や、野外の会場をまわる『SUPER BEAVER「都会のラクダ 野外TOUR 2024 ~ビルシロコ・モリヤマ~」』など色々なツアーの解禁をしており、今年も勢いを止めることなく、日本全国でSUPER BEAVERの熱いライブが繰り広げられそうだ。

来週、2月21日(水)には新しいフルアルバム『音楽』のリリースも控えている。

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■2024.02.04『MindaRyn Acoustic Solo Live “My place”』昼の部@ESPエンタテインメント東京12号館B2ホール

タイからやってきたアニソンシンガーMindaRyn(マイダリン)、彼女の初となるアコースティックソロライブが、2024年2月4日(日)にESPエンタテインメント東京12号館B2ホールにて開催された。今回はその昼の部をレポートする。

前回はバンドスタイルだったが、今回はMindaRyn一人だけのステージ。タイトルの通り“私の家に遊びに来た感覚のライブにしたい”とのことで、会場前からどこか柔らかな空気が会場を包み込む。

撮影:林信行

撮影:林信行

定刻、MindaRynが緊張した面持ちで登場。一曲目はTVアニメ『神達に拾われた男』EDテーマ「BLUE ROSE knows」、挨拶代わりのように自身のデビュー曲でもあるこの曲から始まったライブは、終始温かい雰囲気の中で行われた。衣装もロンTにデニムという衒(てら)いのないスタイル。まさに彼女の家に呼び込まれたような感覚。

ストロークも軽やかに歌い上げると、

「今日はすごく寒いけど、私の家のリビングルームで過ごしているという気持ちでやっていきますね!」

とMC。そこから「START」ではコール&レスポンス、叫んで会場の温度を上げる…というよりも、MindaRynと一緒に歌うといったほうがしっくり来るような声の掛け合わせ。続く「HAPPYLIFE」では英語の語り部分は流石に雰囲気がある。タイ語、英語、日本語を駆使するトライリンガルの彼女ならではの魅力だ。

撮影:林信行

撮影:林信行

「Shiny Girl」はTVアニメ『SHY』OPテーマとしてリリースされた爽快感あふれるナンバー、アコギで弾き語ることによって距離感がより近く感じられるようだ、それにしてもギターの上達ぶりが素晴らしい。しっかりと毎日弾いている人のプレイだと感じさせられる。日々SNSで弾き語り動画をアップしていた努力がステージに結実している。

一人でギターを弾き語るからこそ出来るものもある、と思わせたのは、次に披露された「Platina(English Version)」。言わずとしれた名曲「プラチナ」の英語版カバーである。原曲はアニソン界のマスターピースとなっているが、MindaRynが歌えば彼女の歌になる。それは楽曲の普遍性かもしれないが、自身の演奏だけで、英語の歌詞に乗せて「昨日よりも強くなりたい」と歌うMindaRynの本音がそこにある気がした。

撮影:林信行

撮影:林信行

「2024年は一ヶ月しか立ってないのに、色々なことが起きていると思います、みんなも色々あると思うけど、私の歌で希望を感じてもらえたらと思っています」

そう語られて歌ったのは「Shine」。MindaRynの優しい気持ちが響く。今回のコンセプトがホームパーティーということで、ファンとの交流を持ちたいというMindaRynの気持ちを受け、事前に募集したメッセージを読み上げるコーナーも。

撮影:林信行

撮影:林信行

メッセージの送り主を「会場いますか?」と声をかけ、実際に目を見ながら返答していくMindaRyn。自分の歌を通じてファンに思いを伝えたい、というのと同じかそれ以上に、エールを送りたい、という彼女の思いの強さ。そして「My Evolution」から『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』主題歌である「Make Me Feel Better」を披露する。

「何があっても私達が一緒にいれば、光の向こうに行けると信じてる」

キャリアの中でトップクラスにアットホームな空気感のこのライブだからこそ、伝わってくる思いもある。インタビューの度に彼女は日本語で思いを伝える難しさを訴えていた。

確かに母国語じゃなければ言葉のニュアンスの部分でもどかしさを感じることもあるだろう。でも曲に乗せられれば、音楽を介せば言語を超えることも出来るのを僕たちは知っている。

コーナー最後のメッセージは、なんとMindaRyn本人からのメッセージ、まだYouTubeでアニソンカバーをやっていた頃、ステージでうまく行かなかった時の話を、まるで告白するように語る。

「痛みを乗り越えて、あなたは少しづつ良くなってきてるよ、って自分に言えるようになってきた気がしています。自分に向けて歌いたいと思います、同じような傷を受けた人の力になりますように」

撮影:林信行

撮影:林信行

自分と対話するように歌われた「Sword of my soul」。いつもハッピーを振りまいてくれるMindaRynが見せた影と悩み。受け止めてくれると信じられる環境と、ファンの前だったからかもしれないが、終演後に話を聞いた時にも「Sword of my soul」が今日一番の出来だったかもしれないと語ってくれた。人間は多面的で、表現はプリズムのように乱反射して客席に降り注ぐ。それを感じられた一曲だった。

バレンタインデーを感じさせる新曲「Bitter chcolate moon」もライブ初披露。どこか切なさを感じる曲で改めて演奏の良さに気付かされる。アコギならではの空気感、音の隙間を埋めるように響く声はハイトーンからミドルまで見事に成長を感じさせるものになっていた。

「Without you」「Fireworks」のバラ―ディな空気感も、続く「Be the one」のポップ・ロックの感覚も、どこか日本人では出せない魅力がある。だからといって大陸的なだけではない、アジアの空気も感じられるグローバルな感覚がMindaRynの魅力の一つだ。

「ここから激しい曲をお届けします!いいですか?まだいけますか!?」

声援で答える客席に向けて、TVアニメ『戦国妖狐 世直し姉弟編』OPテーマ「HIBANA」を披露。テクニカルなこの楽曲もアコギの見事なアレンジによって表現されていたが、熱量や勢いは変わらず。間髪入れず印象的なリフが聴こえてきた。TVドラマ『ウルトラマンブレーザー』前期EDテーマ「BLACK STAR」だ。

パワフルでソリッドな楽曲ながら、アコースティックでかき鳴らす姿と声には少し大人っぽさも感じさせる。このキラーチューンで今日一番の盛り上がりを見せ、TVアニメ『彼女が公爵邸に行った理由』OPテーマ「SURVIVE」へと繋がる。どんな激しい楽曲でもクリアに聞こえる彼女の歌声は日々進化している。

撮影:林信行

撮影:林信行

「初めてのアコースティックなので不安も多かったですけど、みんなのおかげで楽しくできました!みんなのメッセージを見たら、みんなと繋がっていられると感じられました、ありがとうございます!」

感謝の言葉から最後に奏でられた曲はTVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』OPテーマ「Like Flames」。数々のタイアップに恵まれているMindaRynだが、ベースとして彼女の持つファニーな一面などが浮き彫りになってきたのは、一つ一つの音楽を大事にしているからのような気がしている。

トータル90分のライブでは、装飾も、気取りもなく、そのままのMindaRynがそこにいた、可愛さも強さも心細さも全部そのままで歌いきった彼女の2024年は、どんな音楽にあふれているのだろう?もっと近い距離で、そしてもっと広い会場で、様々なMindaRynを感じたいと思わせる時間だった。

撮影:林信行

撮影:林信行

■終演後MindaRynにミニインタビューを敢行!

――お疲れ様でした。昼の部が終わってみてどうでしたか?

とてもスッキリしたと言うか、まだ夜公演があるので、半分スッキリしたって感じですね!

――初めてのアコースティックライブ、一人だけのステージでした。

どうでしたか?最初めちゃくちゃ緊張してパニックでした(笑)。本当に倒れちゃうんじゃないかと思ったくらい。

――確かに緊張しているなとは思いましたね(笑)。

でもみんなが居てくれたからやりきれました。最初の「BLUE ROSE knows」を歌って全部悩みがなくなりましたね、楽しかった!

――2024年、ライブスタートしました。どんな一年にしましょうか?

前も言ったと思うんですけど、色々な場所でライブしたいですね。バラエティ溢れる曲を歌いたいという思いも出てきました。MindaRynの曲って高音が伸びる高い曲が多いんですけど、今年はもう少しミドルピッチの曲も歌いたいですね、感情にもっとフォーカスした楽曲をお届けしたいって気持ちがあります!アコースティックライブもすることができたので、もっともっとやりたいですね!

レポート・文=加東岳史

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やっぱりテイラー・スウィフトは強かった。今年も様々な話題を振り撒き、感動のスピーチやパフォーマンスを生み出し、少なからず議論も呼んで幕を閉じた第66回グラミー賞だが、主要部門の「最優秀アルバム賞」をテイラーの『Midnights』が受賞した瞬間が、授賞式のハイライトだったのは間違いない。これによってテイラーは同賞の史上最多(4回)受賞アーティストとなり、文字通りポップ・ミュージックの歴史に名を刻む偉業を達成した。彼女は「最優秀ポップ・アルバム賞」も手にしたが、同賞の受賞スピーチではニュー・アルバム『The Tortured Poets Department』が4月19日にリリースされることを告知。グラミーの晴れ舞台を新作プロモーションの機会として使う余裕としたたかさも、テイラー・スウィフトならではだろう。

強かったのはテイラーだけではない。事前の予想通り、女性アーティストが圧倒的な存在感を示したのが今年のグラミーだった。主要4部門(「最優秀レコード賞」、「最優秀アルバム賞」、「最優秀楽曲賞」、「最優秀新人賞」)を女性アーティストが独占したのに加え、ポップ、R&B、ロックの各部門でも女性が席巻。特にフー・ファイターズやメタリカを下して「最優秀ロック・パフォーマンス賞」、「最優秀ロック楽曲賞」をボーイジーニアスが掻っ攫ったのは快挙と言っていいだろう。フィービー・ブリジャーズはボーイジーニアス、ソロ名義を合わせ、今年度最多の4冠に輝いている。

ここで筆者の事前予想(※本文後にURL掲載)を振り返ってみると、読みはかなり当たっていたと言ってもいいかもしれない。アルバム部門の大本命のテイラーに加え、曲単位ではマイリー・サイラスの「Flowers」が「最優秀レコード賞」と「最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス」を制した。マイリーにとっては初のグラミー受賞だが、同曲が昨年最もストリーミングされたナンバーだったことを思えばそれも納得だ。でまた、映画『バービー』旋風はやはりグラミーにも及び、ビリー・アイリッシュの主題歌「What Was I Made For?」が「最優秀楽曲賞」や「主題歌賞」、「ヴィジュアル・メディア賞」を、そして『バービー』として「サントラ賞」を受賞している。「最優秀新人賞」と「最優秀R&Bアルバム賞」を手にしたヴィクトリア・モネも、下馬評通りの手堅い選出だった。

その一方で最多9部門にノミネートされ、3冠(「最優秀プログレッシブ・R&Bアルバム賞」、「最優秀R&B楽曲賞」、「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」)に輝いたSZAが、アルバム『SOS』、楽曲「Kill Bill」で主要部門の受賞を逃したのは少々残念だ。SZAの今回の結果を昨年に「最優秀アルバム賞」を逃したビヨンセと重ね、「グラミーの多様性はまたしても失敗したのか」と報じる海外メディアもあった。「ドクター・ドレー・グローバル・インパクト賞」を受賞したJay-Zが、受賞スピーチで「グラミーの最多受賞者が、主要部門の最優秀アルバム賞を獲っていないのはおかしい」と妻であるビヨンセの名前を伏せつつも批判したように、この問題は未だに根深いものがある。

グラミー授賞式はその豪華なパフォーマンスの数々にも定評があり、今年も圧巻のダンスで飾ったデュア・リパのオープニングから、貫禄の歌声で締め括ったビリー・ジョエルのエンディングまで、数多くのアーティストが素晴らしいステージを見せてくれた。中でも個人的にグッときたパフォーマンスを上げるなら、日本刀を使ったアクロバティックな殺陣とシネマティックな演出で、「Kill Bill」の世界を見事体現したSZAはやはり外せない。トレイシー・チャップマンの「Fast Car」のカバーで昨年大ブレイクしたルーク・コムズが、同曲をトレイシーとのデュエットで披露したのも感動的だった。

また、昨年亡くなったアーティストたちをトリビュートする特別企画では、ティナ・ターナーの追悼というよりも、ティナのパワフルな歌のメッセージに鼓舞されるようなファンテイジアによる「Proud Mary」のカバーや、アニー・レノックスが(プリンスのザ・レボリューションズのメンバーだった)ウェンディ&リサと共にシネイド・オコナーの「Nothing Compares 2 U」をパフォーマンスし、シネイドと共に同曲の生みの親であるプリンスにも捧げるパフォーマンスとなったのも忘れ難い。いずれにせよ、そうしたパフォーマンスの面でも女性アーティストの活躍が際立っており、やはり第66回グラミー賞は「テイラーの歴史的記録達成」と「女性アーティストの台頭」の2トピックによって記憶されることになるのではないだろうか。

文=粉川しの

※第66回グラミー賞事前予想の記事はこちら

主要6部門 受賞結果

▼年間最優秀レコード
マイリー・サイラス/Flowers

▼年間最優秀アルバム
テイラー・スウィフト/Midnights

▼年間最優秀楽曲
ビリー・アイリッシュ/What Was I Made For? [From The Motion Picture "Barbie"]

▼最優秀新人賞
ヴィクトリア・モネ

▼年間最優秀プロデューサー(ノン・クラシック)
ジャック・アントノフ

▼年間最優秀ソングライター(ノン・クラシック)
セロン・トーマス

 

 

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2024年2月2日(金)に『猿若祭二月大歌舞伎』が歌舞伎座で開幕した。「十八世中村勘三郎十三回忌追善」と銘打つ興行で、大間(1階ロビー)には祭壇が用意された。十八世勘三郎の写真の前でお香がたかれ、手をあわせる人や写真に納める人の姿が絶えなかった。2階ロビーには十八世勘三郎を偲ぶ写真が展示されている。

「昼の部」で上演された『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん) 野崎村』、『釣女(つりおんな)』、『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』をレポートする。

『新版歌祭文 野崎村』

中村鶴松は、十八世勘三郎に才能を見いだされ、10歳で十八世勘三郎の部屋子となった。それ以前より子役として歌舞伎公演に出演していたが、いわゆる「一般家庭」の子だ。そんな鶴松が十八世勘三郎ゆかりの俳優たちに囲まれ、世話物の名作『野崎村』でヒロインを勤める。

お光(鶴松)は、百姓の父・久作(坂東彌十郎)と暮らしている。病気の母は奥の部屋で休んでいる。この日、お光はうきうき、そわそわと落ち着かない。なぜなら許婚の久松(中村七之助)と、まもなく祝言をあげることになったからだ。しかし久松は、奉公先の油屋の娘・お染(中村児太郎)と深い仲になっていた。お染は、久作を追いかけてきて……。

昼の部『新版歌祭文 野崎村』(左より)久作娘お光=中村鶴松、百姓久作=坂東彌十郎、(後方)丁稚久松=中村七之助 /(C)松竹

昼の部『新版歌祭文 野崎村』(左より)久作娘お光=中村鶴松、百姓久作=坂東彌十郎、(後方)丁稚久松=中村七之助 /(C)松竹

お光は、暖簾口よりパッと登場する。その愛らしさに一瞬で心を掴まれた。料理の仕度をしながらも、ふと髪を気にしたり、眉を隠して人妻気分を想像したりする。そんな微笑ましさもおかしさも、鶴松はきっちりと観客に伝え、飽きさせない。包丁で野菜を切る音が、義太夫の語りのもっと遠くから聞こえてきた。幸せな空気を含んだ生活感が心地よかった。

七之助の久松は、気づいた時にはモテてしまうのであろうな……と想像してしまう若さと美しさ。お金の紛失に巻き込まれるのも不思議ではない、ふんわりしたキャラクターだった。児太郎のお染は、義太夫にのって古風な魅力をふりまくお嬢様。お光よりも、よほど追い詰められた状況にありながら、年齢とは別の基準で、常にお光よりもどこか“上”だと感じさせる。児太郎は、そんなお染を少しの嫌味もなく立ち上げる。彌十郎の久作は、人間味に溢れていた。養子の久松、後妻の連れ子のお光。どちらをも思い、思うからこその悔しさや切なさが滲みだす。中村東蔵の油屋後家のお常の血の通った説得力が、世話物らしさを底上げした。

昼の部『新版歌祭文 野崎村』(左より)久作娘お光=中村鶴松、百姓久作=坂東彌十郎 /(C)松竹

昼の部『新版歌祭文 野崎村』(左より)久作娘お光=中村鶴松、百姓久作=坂東彌十郎 /(C)松竹

お光は胸にぽんと手をあて、自分の足で立ち、ふたりを見送る。気丈に振舞う、と決めた彼女をただただ見守ることで、観客はお光に寄り添った。幕切れで久作は、お光の手から落ちた数珠を拾ってやる。その数珠の音が聞こえるほど、場内は静まり返っていた。残された親子の哀れが、梅の木にかかった凧さえ寂しくみせた。最後の最後、お光の我慢が決壊し、つられて涙がこぼれた。「中村屋!」の声と大きな拍手で結ばれた。

『釣女』

狂言の『釣針』を題材に、明治時代に作られた松羽目ものの一幕。

そろそろ妻をめとりたい、と考える大名に中村萬太郎。朗らかで品が良く、舞台が明るくなる。お供の太郎冠者に中村獅童。ふたりは夢のお告げで授かった釣竿でそれぞれ妻を釣り上げる。大名が釣ったのは、美しい上臈(坂東新悟)。新悟の上臈は、お伽噺にも登場しそうな美女だった。

昼の部『釣女』(左より)太郎冠者=中村獅童、大名某=中村萬太郎 /(C)松竹

昼の部『釣女』(左より)太郎冠者=中村獅童、大名某=中村萬太郎 /(C)松竹

これに続き、獅童の太郎冠者も妻を釣り上げる。被衣をあげると、こちらは醜女(しこめ)だ。文字通り不美人として表現されるが、醜女本人はエネルギッシュで幸せオーラ全開。勤めるのは中村芝翫。チャーミングな芝翫の醜女に、獅童の太郎冠者が翻弄される様が楽しかった。ラストに醜女は、釣り糸をくわえた太郎冠者を従え、花魁道中さながらの華と風格でゆったりと退場。

昼の部『釣女』(左より)醜女=中村芝翫、太郎冠者=中村獅童 /(C)松竹

昼の部『釣女』(左より)醜女=中村芝翫、太郎冠者=中村獅童 /(C)松竹

古典の中で醜女と名付けられている以上、醜女は醜女なのだけれど、醜さよりも明るくパワフルな印象が先だつ彼女には、なにかもっと素敵な名があるといいなと思われた。どちらの夫婦にも、末永く幸せに暮らしてほしい。

『籠釣瓶花街酔醒』

佐野次郎左衛門に中村勘九郎。兵庫屋お抱えの遊女八ツ橋に中村七之助。ふたりが初役で挑む。

客席は、暗転から一気に江戸吉原の仲之町へ。目の前に表れた華やかな光景に、ワァ! という歓声とともに客席の空気が華やぐ。すると花道より佐野次郎左衛門(中村勘九郎)と下男の治六(中村橋之助)がやってくる。ふたりにとって初めての吉原。我々観客と同じく「わぁ!」と興奮気味。いかにも不慣れで、さっそく“カモ”にされかけたところを、立花屋長兵衛(中村歌六)に救われる。

吉原見物に満足し「さあ、帰るか」というところで、金棒の音とともに運命を変える出会いが近づいてくる。錦絵のような花魁道中だ。

まず舞台上手から中村芝のぶの七越花魁。続いて花道から中村児太郎の九重花魁。ため息に次ぐため息、拍手に次ぐ拍手。さらに客席上手側で起きたどよめきと拍手が、歌舞伎座全体へ広がった。桜が並ぶ舞台正面から、七之助の八ツ橋の花魁道中がやってきた。

昼の部『籠釣瓶花街酔醒』(左より)佐野次郎左衛門=中村勘九郎、兵庫屋八ツ橋=中村七之助 /(C)松竹

昼の部『籠釣瓶花街酔醒』(左より)佐野次郎左衛門=中村勘九郎、兵庫屋八ツ橋=中村七之助 /(C)松竹

八ツ橋と次郎左衛門がぶつかり、目を合わせ、時間が止まり、八ツ橋はまた動き出す。一瞬の出来事をクローズアップしてみせる見染め。そのまま行ってしまえば、話はここで終わっていた。しかし八ツ橋は足を止める。場内は、時間が止まったような静けさに。八ツ橋がゆっくりと目線を次郎左衛門へ。無音のまま微笑み、居合わせたすべての人を腑抜けにして去っていった。

共演は、八ツ橋の親代わりの釣鐘権八に尾上松緑。お金の無心に頭は下げるが、まるで悪びれる様子のないヤクザな遊び人だ。引手茶屋の立花屋夫婦に中村歌六と中村時蔵。立花屋はさぞしっかりした店にちがいない、と思わせる。八ツ橋の間夫・栄之丞に片岡仁左衛門。トップ花魁とお似合いの美男だ。八ツ橋に養われ、釣鐘権八に簡単に騙される頼りなさは、純粋さと表裏一体。贅沢な配役に、松嶋屋! 播磨屋! 萬屋! 音羽屋! そして中村屋! と数々の大向うがかかり、芝居を盛り上げていた。

やがて上客となった次郎左衛門。身請けの話も進んでいるらしい。それでも次郎左衛門は、八ツ橋を“売り物、買い物”と平気で言う。そんな世界だからこそ、八ツ橋にとって、お客ではない栄之丞との時間は、生きがいだったにちがいない。栄之丞の前では、恋にすがるひとりの人間だった。愛想尽かしの後の八ツ橋の背中には、遊女の悲哀が溢れていた。

昼の部『籠釣瓶花街酔醒』(左より)兵庫屋八ツ橋=中村七之助、繁山栄之丞=片岡仁左衛門 /(C)松竹

昼の部『籠釣瓶花街酔醒』(左より)兵庫屋八ツ橋=中村七之助、繁山栄之丞=片岡仁左衛門 /(C)松竹

お芝居の後半、勘九郎の次郎左衛門もまた、歌舞伎座を静寂に包んだ。七之助が恍惚感で観客の言葉を奪ったのだとしたら、勘九郎は殺気で客席を黙らせた。「籠釣瓶」という名の業物が、次郎左衛門を誘(いざな)った瞬間は凍り付くような緊張感。八ツ橋がしなだれかかるように倒れる時、観客に涙を流す隙さえ与えなかった。

次郎左衛門の顔には、あばたがある。直視をためらうほどの痕だ。しかし、そんなことより寛大で理性的で心意気があって……という面から彼を語りたかった。何より本人が、顔のことなど気にしていないかのようだったから。しかし、それは間違っていた。廓という別世界に絢爛豪華な着物をまとった美しい遊女がいて、色男の間夫がいて……。そこに迷い込んだ次郎左衛門が心に押し込めていた闇の気配をたしかめに、またすぐに観なおしたくなる舞台だった。
 

公演は2月26日(月)まで。「夜の部」では、中村勘九郎の長男・勘太郎と次男・長三郎がそれぞれに大きな役に挑んでいる。別記事にてレポートする。

取材・文=塚田史香

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ReoNaの新曲「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」のミュージックビデオが2月11日(日)にYouTubeで公開された。

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」は、放送中のTVアニメ『シャングリラ・フロンティア』(TBS/MBS系)第2クールのエンディングテーマ。2月28日(水)に9thシングルとしてCDリリースされるタイトルで、楽曲は現在先行配信中だ。

 
 

また、CD「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」期間限定盤に収録される新曲「3341よ」の先行配信もスタートしている。

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」期間生産限定盤(CD+DVD) (C)硬梨菜・不二涼介・講談社/「シャングリラ・フロンティア」製作委員会・MBS

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」期間生産限定盤(CD+DVD) (C)硬梨菜・不二涼介・講談社/「シャングリラ・フロンティア」製作委員会・MBS

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」初回生産限定盤(CD+DVD)

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」初回生産限定盤(CD+DVD)

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」通常盤(CD)

「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」通常盤(CD)

ReoNaは、『ReoNa ONE-MAN Concert "Birth 2024"』を10月20日(日)に東京ガーデンシアターで開催。5月18日(土)からは、埼玉・戸田市文化会館を皮切りにデビュー5周年を記念した全国ツアー『ReoNa 5th Anniversary Concert Tour “ハロー、アンハッピー”』をスタートさせる。

 

 

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乃木坂46がタイトル未定のニューシングルを3月27日(水)にリリースすることがわかった。

乃木坂46にとって35枚目となるシングルリリースの情報は、グループのレギュラー番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)にて発表。なお、同番組2月18日(日)の放送では、35thシングルの選抜メンバーおよびフォーメーションが発表されるとのこと。

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