『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズを一挙上映 神奈川の新ユナイテッドシネマにて
- 2024.04.02
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4月26日(金)に神奈川の映画館“ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい”にて、映画『スター・ウォーズ』『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズが一挙上映されることがわかった。
ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらいは、神奈川県のみなとみらいにあらたにオープンする映画館。オープニング特別上映として企画された今回の特集では、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』の“魔法ワールド”シリーズ全11作品を、4月26日(金)から7月11日(木)まで上映する。
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また、『スター・ウォーズ』シリーズのエピソード1から9までの全9作品を、5月3日(金)から5月6日(月)まで上映。『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』(エピソード1)は、4Kバージョンで上映される。
各作品の上映日程など、詳細はローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい公式ホームページを確認しよう。
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■2024.03.31『Re:ステージ! Unveiling PARTY!! ~Trium Tone × Archouchou~』@FOSTERホール
夢を目指して懸命にがんばる中学生アイドル達の姿を描いたクロスメディアコンテンツ『Re:ステージ!』。そこに新たに加わった2組のユニット、トライアムトーンとアルシュシュのデビューライブが、3月31日(日)に昭島市FOSTERホールで昼/夜の二部構成で開催された。誕生から9年目を迎える『Re:ステージ!』に吹き込んだ新たな風が見せたフレッシュなステージの、第一部の様子をレポートしよう。
■カラーの異なるふたつのユニットのまぶしい個性がぶつかりあう!
昨年11月に新キャラクターとして発表された、神奈川県・泉咲学園中学校アイドル部のアルシュシュと、福岡県・希ヶ丘女子中学校アイドル部のトライアムトーン。それぞれに個性際だつ二つの新ユニットが、いよいよリアルライブデビュー。会場のFOSTERホールは開演前から多くのファンの熱気に包まれ、アルシュシュ・空野音々(CV:吉武千颯)からの注意事項&『Re:ステージ!』ライブ恒例の心構え「人に迷惑をかけない」の説明から、早くも場内は熱く盛り上がる。
そしていよいよ開演直前、ファンの詰めかけた客席を見て緊張しつつも、いいステージにしようと意気込みを語り合うアルシュシュのボイスドラマ、そして両ユニットの日常を綴ったコミックなどが織り込まれたオープニング映像から、いよいよライブの幕が上がった。
アルシュシュ 撮影:大塚正明
ライブのオープニングを務めるのは、ホワイトとパステルカラーのドレスをまとったアルシュシュの3人。「みんな楽しんでいこうねー!」のメッセージと共に始まったのは、世界を恋のキラメキで染め上げようとポップに唄った「カラリコロリ」。ユニットとして初のライブステージだったが、元気あふれるパフォーマンスでファンの心を掴み場内のテンションを上げていった。
初ステージを終えてのMCでは、自己紹介に合わせて自分達のカラーのコンサートライトの輝きと声援に包まれる風景に「ドキドキが止まらない」「本当に幸せです」と喜びとファンへの感謝を語った。そして「次の曲の前に休憩しようか」と輪になって座り込んだところから、そのまま二曲目「泡白昼夢」がスタート。落ち着いたメロディと共に大事な人と共に過ごす尊さをファンタジックに唄い上げ、見事なコンビネーションのダンスも披露してステージを盛り上げた。
初ステージを終えたアルシュシュの3人がやり遂げた喜びを語りながら「きっと最高のステージを見せてくれるに違いない」と語り、次に登場するトライアムトーンへのステージへとバトンを繋いだ。
トライアムトーン 撮影:大塚正明
ブルーのライティングに染まったステージに、モノトーンにパーソナルカラーをあしらった衣装をまとったトライアムトーンが登場。重低音の力強いメロディと共に、自分達の可能性に賭けて突き進む覚悟を唄う「WANTED」から彼女達の初ステージはスタート。パワフルなサウンドに乗せたボーカル&ハーモニーの迫力に、ファンも力強いコールで応えて場内は大歓声に包まれた。
歌い終えて3人で三角形を作るポーズを決めたトライアムトーンは、いきなり大きな声援を送ってくれたファンの暖まりぶりに驚きながらも感謝を送った。そして「ぶっ倒れるくらい盛り上がろう!」「みんなの声が出たら始めますよ?」とゲキを飛ばしながらのコール&レスポンスの繰り返しから、二曲目「サンダーレスキュー!」がスタート。
澱んだ世の中を落雷みたいな衝撃で救ってやろうという力強い想いを、轟くようなサウンドに乗せてパワフルなボーカルで熱唱。ファンも熱いクラップと声援で盛り上がるが、3人からの「もっと声だせー!」「まだまだー!」のゲキと共にさらにヒートアップ。クライマックスは拳を突き上げての熱唱でインパクト満点の初ステージを締めくくった。
牧野天音 撮影:大塚正明
日岡なつみ 撮影:大塚正明
興奮冷めやらぬ場内に、ニューフェース達のステージを見届けたゲストのKiRaRe・式宮舞菜(CV:牧野天音)とトロワアンジュ・白鳥天葉(CV:日岡なつみ)の会話が流れ、2人のソロステージがスタート。舞菜の「Blooming,Blooming!」と天葉の「優しい風」は、どちらも2021年のユニットワンマンライブ以来の披露で、ずっと応援し続けてきたファンには嬉しいサプライズだ。情感あふれるボーカルや「優しい風」での椅子を用いながらのパフォーマンスに、どちらも曲を終えた後の場内は大きな拍手に包まれた。
■初ライブを見事に完走! 今年の『Re:ステージ!』は彼女達に注目だ
撮影:大塚正明
曲を終えた日岡が座ったままMCをスタートさせて笑いを誘う中、ステージには出演陣全員が登場し、互いのステージをたたえ合いながら始まったのは、新ユニットの知られざる魅力をファンのみんなに知ってもらおうという一問一答コーナー。昼の部ではアルシュシュが日岡からの質問に答えることに。「プロフィールに書くほどでもない特技は?」の問いに中林が「水無しで激辛料理を完食できる」と激辛料理好きエピソードを添えて回答すると、先輩である日岡と牧野から「そのうちイベントとかでやらされるかもしれないから気をつけて」とのアドバイスがとぶなど、それぞれの個性が際立つ一幕となった。
そんなコーナーで盛り上がったところで、トライアムトーンの「誘宵アバンダンス」からライブ後半戦がスタート。「まだまだ声出せますかー?」というゲキに盛り上がる中、和楽器の音色を取り込んだ重低音とキレのあるダンスで繰り広げられる祭り囃子に、客席とステージが一体になってかけ声を合わせながら盛り上がった。
撮影:大塚正明
続いてはゲストコンビによる力強いロックハーモニー「Imperial Stage」。オリジナルでは白鳥天葉と舞菜の姉・式宮碧音が唄うナンバーを、妹が代わって担当するという組み合わせに、関係性好きなファンからは歓声が沸き、ネオンカラーのライティングを浴びながら2人で手を繋いで振り付けにさらなる歓声が重なった。
そしてステージに登場したアルシュシュの「まだまだ声だせますかー?」の問いに盛り上がる中、次がラストとの声に惜しむような歓声が。それでも楽しい曲をみんなで、全部出し切る気持ちで楽しみましょうと始まったのは、ロンドのメロディから始まる疾走感あふれるナンバー「Merry Go Wonder!!」。夢に向かって走り続ける3人の気持ちを勢いのあるメロディに乗せたハーモニーで唄い上げて、初ライブを見事に締めくくった。
トライアムトーン 撮影:大塚正明
しかしまだまだみんなの歌を聴きたいファンからは、すぐさまアンコールならぬRe:ステージ!コールが沸き上がる。そして数分後、そんな声に応えるようにライブTシャツに着替えたトライアムトーンがギターの爆音と共に登場! 送る曲は本城香澄・一条瑠夏・坂東美久龍のシャッフルユニットの「Sin City」だ。オリジナルメンバーとはまた違った魅力あふれるパワフルな絶唱に、再び場内の熱量が上がっていく。
撮影:大塚正明
続いてはトロワアンジュの「STORIA」を、オリジナルメンバーの天葉とアルシュシュのチエ&詩穂で唄うというファンには嬉しい組み合わせ。
そして連続アンコールのラストは、「GROWING!!」をオリジナルメンバーの舞菜とアルシュシュ・音々が唄うという、『Re:ステージ!』が積み重ねてきた時間を感じさせる組み合わせで締めくくった。
アンコールを終えて全員が並ぶと、それぞれのライブTシャツにアレンジが加えられているのが分かって盛り上がる中、コンセプトCDアルバム発売や6月15日開催の生バンドライブ、そして新情報としてアイドルグループ太陽と踊れ月夜に唄え主催の対バンアイドルライブにトライアムトーン&アルシュシュが出演決定というお知らせを発表。今年の『Re:ステージ!』はライブで盛り上がる機会が増えそうで、場内のファンからも喜びの雰囲気が伝わってきた。
そしてライブもいよいよ正真正銘のラストに。トライアムトーン&アルシュシュからは温かい声援で自分達を『Re:ステージ!』の世界に迎えてくれたファンへの感謝が、牧野&日岡からは頼もしく新しい風が吹き込んでくる嬉しさが語られた。
そしてライブのフィナーレを飾るのは、全員によるKiRaReの「君に贈るAngel Yell」。ユニット毎にパート分けしてのハーモニーや歌詞内容に合わせてのパフォーマンスに場内からの声援も盛り上がり、ラストは全員でステージ中央に集まりハグするように重なり合って、ステージを締めくくった。
撮影:大塚正明
初めてのライブとは思えぬパフォーマンスを見せてくれたアルシュシュ&トライアムトーン。早くも次のライブも決まるなど、今年の『Re:ステージ!』を盛り上げてくれる期待感をファンに抱かせる、嬉しいお披露目ライブとなった。
取材・文:斉藤直樹 撮影:大塚正明
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2021年6月から始動した、TikTokフォロワー100万人越えのボーカリスト「にんじん」と気鋭のボカロPらコンポーザーによる次世代音楽プロジェクト“ロクデナシ”が、4月1日より放送開始となったオリジナルTVアニメ『終末トレインどこへいく?』エンディング主題歌「ユリイカ」を本日配信リリースし、さらにMVを公開した。
ロクデナシ Digital Single 「ユリイカ」 (C)apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会
(C)apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会
ロクデナシとして初めてのアニメタイアップ作品となった新曲「ユリイカ」は、コンポーザーにボカロP・傘村トータを迎えて制作された。終末世界で友達を探す少女たちを捉えた本アニメに向け、大切な人との未練を残した別れを描いた楽曲となっている。ジャケットやMVには、「終末トレインどこへいく?」の新規書き下ろしイラストが使用されている。
ロクデナシ 1stSingle「ユリイカ」初回限定盤 (C)apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会
ロクデナシ 1stSingle「ユリイカ」通常盤
さらに、6月19日に1st Single『ユリイカ』のリリースも決定。形態はアニメの書き下ろしイラストを使用し、CDとBlu-rayが付属する豪華パッケージ仕様の初回限定盤と、CDのみの通常盤の2種類。
CDには表題曲「ユリイカ」をはじめ、未発表の新曲を収録。Blu-rayには昨年TikTok, YouTubeにて配信されたライブ映像「Rokudenashi Special Live 2023.12.27」が収録される。
CDは本日より予約受付スタート。チェーン店別のオリジナル特典やその他詳細は特設サイトにてチェックしてほしい。
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7月まで結成35周年ツアー『今が旬』を開催中のフラワーカンパニーズが、【フラカン2024夏シリーズ】として、8月に名古屋・大阪・横浜での夏ライブ企画を開催することが決定し。
昨年東京で行ったセットリストの完全リクエストライブで挑む名古屋編。夏恒例企画『サマレスト』はオープニングゲストに湯川潮音を迎え、今年10月に閉館が決まっているumedaTRADで開催。そしてコロナ禍での横浜アリーナ企画からはじまった『横浜ストーリー』、今年はF.A.D YOKOHAMAにて2days開催する。
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「密度の濃いヘヴィーな本で、劇団の新陳代謝をめざしたい」(久保井)
今年も春恒例の、「唐組」の紅テントツアーの季節がめぐってきた。今回上演するのは、主宰・唐十郎の21世紀の代表作と言える『泥人魚』。2003年の初演は「第28回紀伊國屋演劇賞」「第7回鶴屋南北戯曲賞」「第55回読売文学賞」と、数多くの演劇賞&戯曲賞を獲得し、改めて世間に唐十郎の凄みを知らしめた。21年ぶりとなる再演は、若手中心のキャストに加えて、大阪の劇団「南河内万歳一座(以下万歳)」から、内藤裕敬&荒谷清水が参戦! 例年以上に注目が集まる公演に向けて、共同演出+出演の久保井研と、内藤裕敬が大阪で会見を行った。
実際の社会事件から想像の翼を大きく広げ、ファンタジックかつダイナミックな人間ドラマを紡ぎ出すのが唐十郎の持ち味だが、この作品も「ギロチン堤防」というワードが大きな波紋を呼んだ、1990年代の「諫早湾干拓事業問題」がモチーフ。埋め立てられた海の町を去った螢一は、行方知れずとなった親友・二郎を探して、都会のブリキ加工店で暮らしている。そんな彼の前に「眼(ガン)さん」という漁師に助けられた少女、眼さんの仲間の元漁師たち、二郎と関わりのある秘書などが来訪。そして次第に、二郎が眼さんと交わした約束、「人魚」と呼ばれた少女が封じた過去などの謎が明らかになっていく――。
唐組 第73回公演『泥人魚』宣伝ビジュアル。 [絵]合田佐和子
久保井は本作に再び向き合う理由について「対立によって人が揺れ動く様が、他の作品と比べても非常に密度が濃く描かれた、ヘヴィー級の本」という作品自体の魅力に加えて「若い人がいっぱい出てくる、ある意味では青春群像劇なんです。初演の時に僕らの世代が演じて『当たり役』と言われた役を、次の世代にやってもらうのが面白い時期が来たのでは……と思いました。最近は会話や登場人物を絞りこんだような、大人の芝居をやっていたけど、ここで若者も我々もチャレンジをして、劇団を活性化・新陳代謝させていきたいです」と、若手育成の側面が強いことを明かす。
現在の唐組は、意外にも20代の劇団員が多数を占めているが、テント芝居は移動も多く、裏方仕事も全部兼任せねばならないという、なかなかハードな環境。そのため「企業定着率としては相当低い」と久保井は笑うが、一方でテント芝居ならではの成長の仕方を見せる若手が、時おり登場するそうだ。
唐組第72回公演『糸女郎』より。
「若い劇団員は、裏方の中で自分の居場所を見つけると、芝居がちょっと良くなるんですね。やはり自分の存在に、何らかの自信が出るのかなあと思うんですけど。そんな中で何人か、面白い役者が出てきました。そういう人たちを鍛えて、面白いものに仕立て上げることが、今僕がやらなければいけないことなのかなと思います」。
助っ人に呼ばれた内藤は、95年の『裏切りの街』以来、ほぼ30年ぶりに唐組に出演。唐十郎に大きな影響を受けた劇作家の一人であり、唐組とも親交が深い内藤をこのタイミングで招いた理由を、久保井は「内藤さんは僕らにとって、とてつもない兄貴分。初めて唐組に出た(92年の『ビンローの封印』)時も、若かった僕らにはとても心強かった思い出があります。唐組がまた新陳代謝をしようとした時に、内藤さんに来ていただくと元気が出ます(笑)」と語る。
(左から)久保井研(唐組)、内藤裕敬(南河内万歳一座)。
内藤の方も「ずっと出たかったんだけど、なかなか思うようにはいかなくて。でも昨年東京で公演をやった時に、稲荷(卓央)君と(藤井)由紀ちゃんが観に来て『内藤さんにぴったりの漁師の役があるから、どうしても出てください』って言われて、できることがあるなら喜んでやりますという感じの返事をしました」と、二つ返事で引き受けたそう。ただ、演じる眼さんという役柄に対しては「難しい役なんだよね」と苦笑い。
「主要登場人物のエピソードにすべて関わっている人だから、(『ゴドーを待ちながら』の)ゴドーみたいに、お客さんの中で人物像がいろいろ膨らむんですよ。でもゴドーは(舞台に)出てこないけど、これは出てきちゃう。その時に実存としてどう登場するのか? というのは、相当ハードルが高くて。これはちょっと、久保井君に助けてもらおうと思っています」と打ち明けた。ちなみに内藤が出演できない期間は、意外にも今回が唐組初出演となる、荒谷清水が眼さんを演じるそうだ。
唐組第72回公演『糸女郎』より。
また内藤は、俳優の目線で戯曲を読み込んだことで、唐独特の作風や、作家としてのスタンスについて、改めて気づいたことがたくさんあったと言う。「唐さんは自分がつづっている状況とか、登場人物の関係みたいな所をさまよう中で、自分がどういう言葉にたどり着くのか? ということにワクワクしながら(戯曲を)書いている。言葉には追いつけない瞬間に、どんな風にたどり着くか? というようなことを、とても楽しんでいるんだなあ、と。だから物語が、どこに行っちゃうかわからないんです。『私の役はこういう役かな?』と思ってたら、次のシーンで『違うじゃねえか!』ってなったりします(笑)」。
「唐さんは徹底的に詩人なんですけど、根底では存在とか実存、身体や肉体ということからすべてを発想しているというのが、すごい所だとつくづく思います。(唐が提唱した)『特権的肉体論』というのは、超リアリズム派の名優を超えるのは、舞台上の実存だということ……俳優が特権的肉体を持って舞台に存在すれば、一つの劇的な瞬間を作り得ると。その延長で、とても何か新しい劇というか『何が演劇として成立し得るのか?』という様々な要素を、相当クレイジーに開発しているのが、とてつもない魅力ですね。こういう演劇の考え方は、今も絶対必要だと思います」と批評した。
(左から)久保井研(唐組)、内藤裕敬(南河内万歳一座)。
最後に久保井と内藤は、以下のようにテント芝居の魅力や、公演の意気込みを語った。
「きれいなものとか汚いものとか、いろんな相反するものをごちゃまぜにして、そこにうねりが生まれることを、唐さんは面白がっている。でもそれがテント(芝居)でなければ、僕はこんなに長く続けてなかったし、改めてその全部が好きなんだと思います。今回は、若手の生き生きとした身体が、紅テントでひるがえるという、そんな思いで作っていきたい。そしてテントの舞台に立っている時の、内藤さんと荒谷さんを楽しみにしていただきたいと思います」(久保井)。
「この作品の大きな要素は『分断』。ギロチン堤防もそうですけど、漁師仲間の人間関係、人と魚が分かれた人魚など、そういう分断されたものが、とても象徴的に描かれているんです。これが現在、非常にリアルなテーマだなと思ってまして。そういう分断をつなぐものとか、分断の向こうにあるものが、ラストシーンに集約されているんじゃないかな。とても『今』の話だととらえて、がんばりたいと思っています」(内藤)。
内藤が指摘した通り、日本の社会も世界の情勢も、21年前より明らかに分断が加速している。まるでそんな社会の到来を予見したかのように描かれた『泥人魚』の世界には、この状況を少しでも乗り越えたり、希望を見出すためのヒントのようなものも、きっと隠されているだろう。若手を中心に再編成された劇団員たちと、そして内藤&荒谷という、まさに大船に乗った気持ちになるような兄貴たちが、そこから何を発見して、あざやかに花開かせてくれるのか。今年も驚きに満ちた光景に出会えることを、期待して間違いなさそうだ。
(左から)久保井研(唐組)、内藤裕敬(南河内万歳一座)。
取材・文・写真=吉永美和子
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ミュージカル『VIOLET』が2024年4月7日(日)からの東京芸術劇場プレイハウス公演を皮切りに、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、キャナルシティ劇場、仙台電力ホールにて上演される。主演のヴァイオレット役には、女優として映画やテレビドラマ、舞台、さらには音楽活動と多彩な才能を発揮している三浦透子と、類まれな歌唱力と表現力を活かし、ミュージカル界で快進撃を続ける屋比久知奈。この実力派二人がダブルキャストで、顔に大きな傷を負いながらも自らの人生を切り開く為バスの旅に出る主人公を演じる。今回、SPICE編集部はヴァイオレット役の三浦と屋比久に作品に懸ける思いや楽曲の見どころなどを聞いた。
三浦透子(左)、屋比久知奈
ーー改めて、出演が決まったときのお気持ちや作品への期待感を教えてください。
三浦透子(以下、三浦):まずこんなに大きな役を自分に託そうと思ってくださったことがシンプルに嬉しかったです。自分にとってはものすごく大きな挑戦。挑戦の場をもらえるのは、奇跡みたいなことだと思うんです。その気持ちが本当に純粋に嬉しかったですね。そして、とても魅力的な脚本だなと思いました。ヴァイオレットという女性は、彼女の心に触れてあげたいと思うような魅力のあるキャラクターだと思いました。
屋比久知奈(以下、屋比久):2020年に唯月ふうかさんバージョンの公演を拝見していて、素敵な作品だなと思って。そのときに曲も好きになって、そこから聴いていたりしていて……なので、出演は純粋に嬉しかったです。ただ同時に、あのときに感じた「すごく素敵だけど、すごく難しい役だな」という思いもあって。いろいろな表現の方法があるし、その広さとか難しさを考えたときに、大きな責任があるなと改めて思いました。そういった意味でも、私にとって、すごく挑戦の作品だなと感じましたし、とにかく持てるものを注ぎ込んでやるしかないと思っています。気合い入っています!
三浦透子
ーータイトルロールのヴァイオレット。彼女のどういうところに共感したり、どういうところに魅力を感じたりしていますか?
三浦:もちろん顔に傷を負って生きてきたその人生は、私には想像できないほどの苦しみがあったとは思うんですけど……それと同時に顔に傷を負っているということを理由に、あらゆるすべてのものをマイナスに考えてしまうようなところも、もしかしたらあったのかなと感じていて。顔に傷があるからこうなる、と何か起こってしまった自分にとってマイナスな出来事を全て顔の傷のせいにして、自分の心を守ってきたのかなと。だから物理的な傷を治したいという気持ちの裏側で、心の傷と向き合う旅なのかなと脚本を読んで感じました。そういう心の傷は私にもあるし、多かれ少なかれきっと人間みんなあるんだろうなと思うんですよね。それってやっぱり見たくないものでもある。だから顔の傷のせいにしているけれど、自分が見たくない自分や、自分の心の傷と向き合っていくわけです。その姿勢や成長の姿に、自分自身ものすごく勇気をもらっていますし、自分が感じたのと同じようなことを観ている方にも感じてもらえるんじゃないかな。むしろ、そう感じてもらえるように演じなければいけないなと思います。
屋比久知奈
屋比久:いや、もう本当にその通りです! この作品はあえて顔の傷を作らない演出で、顔の傷という表面的なものというよりも、やはり心に傷を負った女性の話だと思うんですね。その心の傷は癒えるというよりも、それと一緒に生きていくというか、決してゼロにはならないじゃないですか。見える傷の方はいつか消える可能性があるけど、心の傷はそうじゃない。でも、それとどう向き合って、どう生きていって、どう選択をしていくか。ヴァイオレットはいろいろな人と出会って、いろいろな人の生き方や考えに触れていくことによって、彼女自身の本質に近づいていく。その経験を通じて、自分が逃げてきたものや、逆に自分が持っていたものに気づく。本当に2日間、3日間の旅なんだけれども、凝縮されているんですよね。きっと誰もが生きているうちに通るであろう道だし、私自身もすごく共感できることがいっぱいあります。だから遠い話として考えないで、身近で等身大な自分でいた方がきっと伝わるのかなとも思って。どうしても傷があって南部に住んで……とかいろいろ考えてしまうんですけど、もちろんそういうことも考えた上で、それらをいかに取っ払って、いかに屋比久知奈としてそこにいられるかがすごく大事なのかもしれないなと思うんです。苦しいところを見せていくというか、えぐられていくというか…….自分もこの作品を通して向き合わなきゃいけないなと思うし、それが自分が進んでいきたい道のりではありますね。
三浦透子
ーー演出の藤田さんは何度も本作の演出を手掛けられていますし、実際にヴァイオレットが辿った道を旅されたご経験もあられるので、いろいろと言葉が交わされるような稽古場なのかなと想像しますが、お二人から見てどんな稽古場だなと思いますか?
三浦:ものすごく丁寧に解釈する時間を設けてくださる現場だと思います。テーブル稽古をしっかりやって、じゃあ立ってみましょうという流れでやっています。それぞれの意見も言いやすいです。
屋比久:絶対に誰に対しても「どう思いましたか?」と最後に聞いてくださるんですよね。
三浦:それから誰も誰かのことを否定しませんね。簡単なことのようでとても難しいことが実感できる稽古場にいられることは、すごくありがたいし、恵まれてるなと思います。
屋比久:もともと個性がすごく光っているキャストが集まっていることもあるかもしれないですけど、でもそれをすごく大事にしてくださっていますよね。引っ張ってくださる先輩方がいて、現場の空気的にもみんなで一歩一歩踏みしめて土台を作っていく……そういう稽古場だなと思います。じっくりなんだけど、でも斬新というか、新しいこともやってみるみたいな。勢いもあって、すごく面白いですよ。
屋比久知奈
ーーすでにお稽古を重ねているお二人。お互いの印象を教えてください。
屋比久:めっちゃ素敵です! 一度聞いたら忘れない声をされていて、そこはすごく強みだなぁと思うんですよね。いつも聞き入っちゃう(笑)。それからお芝居も。一つ一つを作って、解釈していく過程がすごく丁寧だし、真面目だし、頭の回転が早いな〜ずっと回転してるんだろうな〜って。
三浦:あはは、聞こえる? 頭が回転している音(笑)。
屋比久:聞こえる(笑)! 本当にいつも回転しているから、すごいなぁと思いながら見ています。稽古場を率先して引っ張って回していくエネルギーがありつつも、でもすごく落ち着いているんですよね。年下には思えないぐらい落ち着いてるんですよ。だからそういう意味では「付いていきます!」と思うし、頼ってしまっているな〜。
三浦:いや、もうその言葉をそのまままお返したいくらい! 教わることばかりですね。自分も歌は歌ってきましたが、やはりミュージカルで必要な「歌う筋肉」はまだまだ足りていないなと思うことばかりですし、踊りも今回初めてやるので……本当に勉強になります。歌も踊りもお芝居もとても素晴らしくて尊敬していますが、まあ何よりもやっぱり人柄ですね! 人柄が本当に最高です!
屋比久:それは私も同じくです!
三浦:初めてWキャストの役を演じるんですけど、どうやって進めていくんだろう、どこまで自分の意見を言っていいんだろうという不安が正直あったんですよね。そこに関して藤田さんがサポートしてくださっている面ももちろんあるんですけど、このやりやすさは、やっぱり屋比久さんだったからだと思うんです。屋比久さんが意見を言ってくれるから自分も意見を言いやすいし、「一緒に考えよう」と言い合えるのがすごくありがたくて。ひとつの役に対して、自分では見えない視点は必ずあると思うんですよ。人が違えば絶対思うことも違うし、気づくことも違うから。だから一緒にやれていることは贅沢だなと思います。
それに舞台の上での存在感というか、声に乗っている魂みたいなもの。それは一朝一夕で学べるものではないと思うけれど、でもせっかくの機会だから、吸収できることは吸収したいなと思っている。みなさんご存知の通り、すごいんですよ! 本当に! 今までミュージカルも観てきましたけど、いざ自分がやってみると、ミュージカルはこんなに大変なんだ! と実感しています。それは屋比久さんもそうだし、今回ご一緒するみなさんを見ながら、毎日感動させられています。
三浦透子
ーーすごく信頼しあっている様子が伝わります。でもWキャストはお二人が同じ本番の舞台上に立つことはないですからね……。
三浦:でも、もしヤングヴァイオレットの子たち3人が体調不良になったら、屋比久さんがヤングヴァイオレットをやってくれるって(笑)!
屋比久:はい。何があってもいいように、子役さんたちの動きもちゃんと見ていますよ(笑)。……こんな感じで(三浦さんは)すっといてくれる。そこはすごく格好いいなと思うし、私自身も「うぇーい!」というタイプではないから(笑)、落ち着けるんですよね。頑張らなくていい感じがありがたい。でも舞台に立ったときの説得力は本当に素敵で…….個人個人の稽古になったらそれが見られなくなるのかな。ちょっと寂しいかも。
三浦:別々になっても、分からないことがあったら聞いていい?
屋比久:もちろん。そういう助け合いは大事だし、二人だからこそ共感し合えるもの、分かち合えるものがあるからね。
ーー楽曲についてお聞きします。音楽監督から楽曲についてのレクチャーがあったりと充実したお稽古をされていると思いますが、一番好きな楽曲はどの楽曲ですか?
屋比久:私は「マイ・ウェイ」が好きだな。やっぱりゾクッとしますよね。<Uh〜>で入ってきたときは特に! なんだかんだ一番好きな曲かもしれないな〜。
三浦:自分は歌っていないんですけど、パパ(父親、演:spi)の曲が素晴らしくて! まだポーカーのところしか稽古していないんですけど、そこもすごい楽しいし……最後の曲を生で聴けるのを楽しみにしています。
屋比久:音楽監督さんから解説を受けたときに改めて、音楽もやっぱり旅をしているんだなと思って、すごく面白かったです。音楽監督さんが楽曲について語るレクチャーの時間は、なかなかないから貴重ですよね。
三浦:うん、すごく勉強になりました。「このフレーズがここで繰り返されてます」とか細かい部分まで教えてくださって。
屋比久:もちろん自分で意味を見つけていくことも大事なんですけど、音楽的に助けてもらえるところも多くて、面白い曲ばかりですね。同じフレーズが結構色々使われているんですよね。通したときに「あっ!」と繋がる瞬間があるんだろうな。
ーー聞き心地もよく、耳に残る楽曲が多いですけど、歌う側としてはどうですか?
屋比久:難しいよね。
三浦:難しい。他の作品と比較はできないですけど、私はもちろん難しいと感じています。
屋比久:細かいリズムの変化が結構あって。聞いてると分からない難しさがあるかな。
三浦:サントラを聞いていたときに、ものすごく喋っているように聞こえるなと思っていたんですけれど、それは多分、リズムが多いということ。リズムの多さとか音階の複雑さとかが最初にあって、それを乗り越えると、本当に喋ってるように聞こえる。そこまでたどり着きたいなと考えながら、現段階ではただただ難しいな〜と思って。
屋比久:しかも動きがつくと、もっときつい曲があって。今、マラソン走っているみたいになっているよね(笑)。でももちろん一人で歌う曲もあるけど、重なってくる曲がいっぱいあって、コール&レスポンスのように、どんどん層が広がっていく面白さがあったり、起伏の激しいところから穏やかになったり、いろいろな技術も必要とされている楽曲たちだなとは、すごく思う。みんなヒーヒーしているよね(笑)。
三浦:やり切ったときは泣いちゃうかもしれない。
屋比久:歌い切った〜! ってね。エネルギーがいる作品だからこそ頑張っちゃうけど、喉は大切にいきたいですね。……でも、二人いるからこそ安心感はあります。
三浦:そういう心の支えが必要だし大事だなとコロナ禍を経て思います。精神的な不安はパフォーマンスにも影響してきちゃいますし、取り除ける不安は取り除いてやれるのが一番パフォーマンスや作品のためになると思うので、そういう意味では本当に心強いです!
屋比久知奈
ーーお二人にとって「忘れられない旅」はありますか?
三浦:去年、5か月くらいニューヨークにいました。それは旅だったかな。旅というにしてはちょっと長いですけど。基本的に外にあまり出たくないタイプなんです。腰が重い人間だからこそ「そろそろ吸収してきた方がいいんじゃない?」と思い立って、がつっと一人で行ってみたんです。違う言語の場所に行くことは、本当に冒険だなと思いました。怖かったし、大変だったし、振り返ると楽しかったと言えるけど、滞在中は大変だなと思うことの方が多かった。人間的にちょっとタフになって帰ってこれたかな。
屋比久:私もしてみたいです。私は高校2年から3年にかけて留学をしていたんですけど、それはまた別な感じがするんですよね。ホストファミリーがいて、サポートしてくれる会社があって、家族がいて、友達がいて、学校に行ってと助けてくれる環境だったから。もちろん当時の自分からしたら、めちゃくちゃ大変だったんですけど。でも大人になって、一人で全然違う文化や人たちの場に飛び込んでいくことは、すごく勇気が必要だし、その分受ける刺激も違うでしょうし。だから旅に行きたいですね。
ーー今回は東京公演の他にもいろいろと“旅公演”も予定されています。ぜひ観劇を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします!
三浦:本当にいい脚本、いい曲だなと思うんですよね。あとはもう私たちが全力で演じるだけで、本当に素晴らしい作品がきっとできる。藤田さん含めスタッフの皆さんも含めて、いい素材は揃えてくださってるので、あとはもう身体に染み込ませて舞台に立つだけだなと思っています。素晴らしい舞台ですと胸を張って言えるように、稽古していきたいなと思います。(屋比久さんの肩を叩きながら)本当にあと彼女が素晴らしいので……!
屋比久:二人をぜひ応援していただけたら。でも、何かこれを伝えたいんですというわけではないんですけど、今なのか、観た瞬間なのか、観たあと何年後なのか分かりませんが、ずっとどこかで心の中に留まってくれるような、そういう力を持った、すごく魅力のある作品だと思うんです。音楽がまたそれを支えてくれている作品だと思うので、ぜひ一緒に旅をしてください。それに今回はお客様の一部がステージ上にいる演出ですから、私たちもきっと毎回受けるものがたくさんあるはず。皆さんと一緒に、最終到達点まで無事に到達できたらいいなと思いますし、このメンバーで今やるからこそ生まれるものがあるかなとも思うので、とにかく一生懸命頑張ります!
取材・文・撮影=五月女菜穂
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2024年4月6日(土)~29日(月・祝)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、こまつ座 第149回公演『夢の泪』が上演される(5月に全国公演あり)。
『夢の泪』は井上ひさしが新国立劇場のために書き下ろした「東京裁判三部作」の第2作目。2001年『夢の裂け目』、2006年『夢の痂』とともに、「戦争」そして「東京裁判」を当時の市井の人々の生活を借りて見つめ、その真実を改めて問う作品群だ。2003年の初演から20年以上を経た今年、こまつ座で初上演となる。
SPICEでは、演出の栗山民也、そして栗山演出初参加となるラサール石井に話をきいた。
――『夢の泪』の上演は、こまつ座では初めてとなります。新国立劇場で初演、再演された井上ひさしさんの東京裁判三部作の第二弾にあたるこの作品を今、上演するにあたってはどのような想いがあったのでしょうか。
栗山 そもそもの話をしようと思うと長くなるので、そこはかいつまんで話しますね(笑)。井上さんが遅筆だったことは周知の事実だと思いますが。僕が2000年に新国立劇場の芸術監督になったのはちょうど20世紀から21世紀に移るタイミングでしたから、その就任1年目には時代をテーマにした『時代と記憶』シリーズとして、日本の現役の5人の作家に新作を依頼したんです。その中のひとりが井上ひさしさんで。それまでもずっと、井上さんは「東京裁判を書きたい」と言っていて、何度も企画が上がっては途中でボツになったりしていたんです。
――これまでにも、その企画自体のお話はされていたんですね。
栗山 はい。でも、いつものことですが、井上さんのあの膨大な知識を、三時間の一つの作品に収めるのがとても難しい。
――ものすごく大量に、資料を読まれるそうですし。
栗山 そう、2ヶ月くらいかけて膨大な資料読みますからね。だから、井上さんに「9時間の芝居を書いてください」と言ったんです。
――もう、最初から長い作品で、と。
栗山 9時間分あればいろいろな知識が入れられるし、それを僕がカットして三部作にすればいいや、と思ったので。それを井上さんに話したら「それは面白い」と、上機嫌でした。それで第一弾の『夢の裂け目』を書いてもらったら、結局、その3時間分は1本のお話として完結してしまったんですけど。この時も、台本が出来上がったのはいつものように舞台稽古の直前でした。そして第二弾が『夢の泪』、第三弾が『夢の痂』で、それぞれ井上さんの20世紀への想いとレクイエムが詰まっている作品になっていました。その『夢の裂け目』が最近、新国立劇場のほうで再再演したところだったので、こまつ座で東京裁判三部作をやるのなら『夢の泪』だなと思ったんです。
――なるほど、そういういきさつだったんですね。
栗山 それにね、この作品はまるで今の時代とすべてがダブるんですよ。朝起きてテレビをつけると、戦争のニュースでどこも瓦礫の山になった風景ばかりが映し出されていて。この『夢の泪』は1946年の4月から6月の話で、その時期の東京も瓦礫だらけだった。そこからどうやって風景も人間も、すべてのものが再生していくかという祈りを込めた作品だったので。
――まさに今にぴったりの作品だった。
栗山 そうしたら能登半島の地震も起きてしまって。地震の場合は人間が自ら作ってきたものを自ら壊していく愚かさとは違いますが、やはりこの時も台本の最後のページが届いたのは舞台稽古の最中だったので、大変な作業を経てようやく初日が開けたことを覚えています。最後の章はエピローグになっていて、その中で女性の弁護士が一言、「あの裁判のことは、今も調べているんですよ」って言うんです。これは1946年に始まったドラマが、最後の章だけ1956年、つまり10年後になっているんですね。その10年の間に朝鮮戦争があり、特需があって、日本はまっしぐらに経済に向かって走っていく。だから瓦礫の山だった東京にもビルが建っている。その風景の中、最後のシーンは短いんだけれど女性弁護士、秋子が言うその一言の台詞を、朝に到着した最後の原稿で確認した時に僕は「ああ、井上さんってすべて、こういうことなんだ」と改めて思ったんです。つまり井上さん自身の存在もそうだし、どういう想いでペンを取っているのかということもすべてがそこにつながるというか。井上さんって、絶対に答えをそのまま書く作家ではないんです。必ず、問い続けるんですね。だから最後の場面で「私の作家としてのメッセージはこうですよ」なんてことは一言も書かない。だけど問うんです、「なぜ」って。その問いが、実は次の作品の主題になっていく。そうやって連綿と、時代は違う作品になったとしても、個人的欲求による問いで連なっていくんですよ。
――そして石井さんは、こまつ座には2017年の『円生と志ん生』以来のご出演となりますが、栗山さんの演出作品への出演は初めてですね。今回のオファーを聞いた時の、率直なお気持ちは。
石井 いやあ、嬉しかったです。もう僕、栗山さんの演出する井上作品には呼んでいただけないのかもと諦めかけていたので。
――そうなんですか?
石井 嫌われているかも、と思っていたんです(笑)。前々から「出たい」というアピールはしていたつもりだったんですけど、あ、それは栗山さんに直接とかではなくてね。井上作品が大好きなので。機会があればぜひやりたいといつも思っていたものですからそれが叶ったことと、栗山さんの演出をいよいよ受けられることも本当に嬉しかった。
――栗山さんの演出を受けたいと思われていた、その理由としては。
石井 それはもちろん演出作品を何本も観てきましたし、出演されたみなさんからの評判も聞いていましたし。それに僕も年を取って残された時間が少なくなってきたので、できるだけいろいろな演出家の方とご一緒してみたいという気持ちもありましたから。
――元気なうちに、と?(笑)
石井 いや、もはや元気でもなく、だいぶ劣化していますけど(笑)。でもまだやれるうちに、ということですね。
――お声がかかったのがこの『夢の泪』だったことについては、どう思われましたか。
石井 この作品に呼んでいただけるというのは、ちょっと意外でした。でもこの戯曲は以前から読んでいましたし、この作品ができるまでの『初日への手紙~東京裁判三部作のできるまで』という井上さんのご本も何度も読んで、だいたいの経緯やお芝居の内容は知っていました。初期の作品に比べて、後半に書かれた井上作品は喜劇的要素が比較的少なめで、もちろんそれでも趣向とか笑いはあるんですけれども。だけど考えてみると、自分が前に出演した『円生と志ん生』でも角野卓造さんがおやりになった役を演じたんですが、今回演じる菊治もやっぱり角野さんがやられていた役で。
――不思議な縁ですね。
石井 でも、角野さんとはしょっちゅうお会いしてはいるのに、まだ一度も一緒に飲んだことがないんですよ。一度お話をじっくり聞いてみたいなと思いつつ。それにしても、ひとりで台本を読んでいた時にはわからなかったのに、いざ稽古をしてみるとわかってくることがいっぱいあるんです。特にこの『夢の泪』は、ストーリーの起承転結、芝居の展開で特にすごいどんでん返しがあったり構造がすごいことになっている、というものではなくて。井上作品の中では、若干色合いが珍しいテイストの作品だと思っています。だから、ただこういう出来事がありました、こういうことがありましたと単に羅列したお芝居にはせずに、どう見せていくかがなかなか難しい。それに、そうやって稽古でようやくわかったことを、お客様にはその日の一度の観劇でわかっていただかなければならない。それこそが我々役者と、そして演出の仕事だなと思っています。最後も、なんだか一瞬ハッピーエンドのように終わるんですよ。ほんわかとして、みんな喜んでいて。だけどそれは本当のハッピーエンドというわけでもないんです。これは、栗山先生に言われてわかったことでもあるんですけどね。つまり、日本人ってすぐ忘れてしまうんです。10年経ったら、こんな風にわーわー楽しそうにしている、その日本人の馬鹿さ加減というか、ま、仕方ないねえというか。それは今、現在の日本人もまったく同じで、ホントすぐ忘れちゃう。それでいいんですか?みたいなこともテーマになっていることは、戯曲を読んでいただけではわからなかったことでした。
――つい、ハッピーエンドなのかと思ってしまうかもしれません。
石井 栗山さんの演出で、わかるようになってはいるんですけどそれもお客様に問いかけているだけだから、お客様にそれがちゃんと伝わるかどうかは、やはり我々のお芝居次第。そういう意味では、僕が演じるこの伊藤菊治という役は典型的な日本人なんですね。特に、目先のことばかり考えている人。目先の損得っていうか、金とか女とかって言っていますけど、でも当時は目先のことというか、生き抜くことしか考えられなかったんです。戦後1年目でしたし。
――命がけで生きていた時代だった。
石井 明日、飢え死にするかもしれないというギリギリのところで、みんな生きていた頃だから。それで当然、目先のことばかりになっていたんですけど、でもそこから日本は高度経済成長していくんですね。僕自身は、ちょうどこの最後の場面の1956年の時、実は1歳だったんです。だからまさに、そこからの高度経済成長時代を生きてきたわけで。確かにあの頃は何も不安がなくてみんな喜んでいましたけど、でもそこから歪みがいっぱい生まれて現在に至っているわけでもあって。それは日本人が、やっぱり戦後のあの時代のことから何から、みんなすぐ忘れてしまったせいなんだなということですよね。忘れさせられたともいえますけど。そう考えるとなんだかちょうど時代が、この戦後の頃と今が、細長い紙みたいに折りたたんだとしたらぴったり合う位置に当たるような気もしていてびっくりします。
――まさに、今書かれたかのような印象がこの台本のあちこちから感じます。
石井 そうなんです。政府の国民に対する対応とか、上に立つ人間がまったく変わっていない。プラス、国民の側も変わっていないんだなとも思います。これが井上先生の予言なのか、とも思うけれど、でもやっぱり実は戦後すぐの時代も、井上先生がこの作品を書かれた20年前も、そして今も何も変わっていないんですよ。
――今回、栗山さんが菊治役に石井さんをキャスティングした狙い、そしてどういうことを期待されていますか。
栗山 もちろん、それは大いに期待していますよ!
石井 ハハハ!
栗山 僕は劇団というものに所属したことがないんです。それはどういうことかというと、ずっと同じ仲間同士だけで芝居を作っていくということに昔からアレルギーを感じていて。ちょっとおこがましい言い方をするならば、新国立劇場の芸術監督になった時は「日本全国の俳優が僕の劇団員です」なんて言っていましたから(笑)。基本的に今も僕はそのスタンスでやっていて、新しい作品に出会うたび、そこには必ず新しいキャストが必要なんです。団体に属すると、どうしてもみんな同じような喋り方になりがちなんですよ。それは仕方がないことで、神のように慕われたリーダーがいたらその人の文法を教わって、それがその集団の喋り方になるものだから。でも僕はそれが苦手なので、それでたとえば文学座の人がいれば宝塚の人とか違う演技術を学んだ人をぶつけてきて、それが一番の新しい座組になるとずっと思ってきたんです。そういう意味ではラサールさんのことは僕、テレビでの姿しか知らなくて。自分の作品を観るだけでもう精一杯なので、なかなか他の舞台を見に行けないんですよ。
だからテレビでのラサールさんの印象と、この菊治という人物とがギリギリまでせめぎあっていましたけど「よしっ、これだ!」と思えたのでお願いしました。そうなると、じゃ、ラサールさんが菊治をやるのなら、奥さんは誰にしようかと。そういう決め方なんですよ。
――似合うかどうかを考えながら、全体の座組をキャスティングしていくんですね。石井さんから見た今回の座組の面々はどんな印象ですか?
石井 いや、みなさん素敵ですね。すごく真面目ですし。きっと栗山さんの稽古場の空気感が、みんなを真面目にさせるんだと思いましたけど(笑)。
――そうなんですか?
石井 ものすごく濃密な稽古なので、ぼんやりしているとついていけませんから。あと、確かにいろいろと出自が違う方が揃っているので、それぞれのお芝居を見ているだけで面白いです。みんながみんな、ただただ正確にやろうとしていると爆発力、外へと放出する力が少なくなるけど、勘違いしても誤読してもいいからドーンってやっちゃおう!となると、すごく面白いことになったりするので。そういうことってお芝居に大事かなと思うんです。それに、実は昔からの知り合いも今回のカンパニーには多いんです。ツッチー(土屋佑壱)とか、酎さん(久保酎吉)とか。ツッチーとは*pnish*(パニッシュ)の公演で共演させてもらったり、酎さんはMODEの時代から知っていましたし。同い年なんです、俺よりちょっと上なのかなと思っていたんですが(笑)。
栗山 どう見ても酎さんが年上だよなあ(笑)。へえ、そうだったんだ。
――今回、栗山さんは演出的には、どういうところにポイントを置いて考えていらっしゃいますか。
栗山 まず、初演の時に浮かんだイメージというのをすごく大事にしているんです。再演の場合、初演の時には稽古が少なかったから今度はあそこはこうしてみよう、ああしてみようといろいろやりたくなるものなんだけれど、稽古が進んでくると、なんだ、全部無駄だったってことになる。結局、時間の問題じゃないんですよ。
――初演の時の、ファーストインプレッションで作ったものに戻っていく。
栗山 そうなんです。むしろ、逆にもっと削いでいくというか。それに、「東京裁判三部作」の場合は特に顕著だったことがあって。井上さんの戯曲って、ト書きがものすごく長いんです。「そこにふすまがあって、開けると三畳の台所があって」みたいに、舞台装置のことまですべて緻密に具体的なことが書かれてある。それが、「東京裁判三部作」の場合は、たとえば「街頭。6人歌う。」としか書かれていなかったりする。
石井 確かにそうですね。それまでの作品に比べると、具体性がかなり違います。
栗山 だから逆に言えば、ト書きの具体的制約から解放されるんだけど、逆に言葉にすべてが凝縮されるんです。言葉の中にすべてのト書きも組み入れられているわけ。だけど、それを普通に読んで、普通に発語しているだけでは、その言葉の裏側に用意された作家の企みみたいなものがつかめない。そうなると稽古場でみんなで探していかないと、多くのものをこぼしていっちゃうんです。だからその意味でも今回は稽古が、すっごく楽しい。やればやるほど、いろいろなものが見えてくるんですから。だからってそれを全部表現しようとすると、騒がしいだけの芝居になってしまいますからね。どれを取って、どれを排除していくか……。
――取捨選択をしていくことも、大事。
栗山 だから井上さんはきっととても苦しみながらこの三部作を書いたんだろうけれど、書きながらも楽しかったんじゃないかな、とも思います。言葉に対する欲望がものすごいから、一つの言葉をどれにするかで3時間ぐらいは考えて、果たしてどの日本語がこの場には一番適切な言葉なのか、役者のように自分で声に出して、最もなめらかに言うのか、あるいはあえて濁点のついた言葉で怒りをより強く表現するのか。原稿用紙の上でそうやってさまざまな言葉で、実験をするわけです。それを僕らは逆算しつつ、稽古場で人間の言葉の音に変えていく。だからね、僕は井上さんの書いた言葉は、まさに井上さんの声だと思っているんですよ。
石井 僕、栗山さんにお聞きしたかったことがあるんです。というのも、初演の時は台本が必ず遅れるわけじゃないですか。その場合、美術打ち合わせは一体どのようにしていたんだろう?って、不思議に思っていて。
栗山 台本の前に、緻密なプロットが渡されるんですよ。それは往々にして変更にはなるけど、そこにヒントはたくさんあるわけで。それに、台本を書き始めてからも「遅れてすみません」って、すごく長い手紙が来るんです。
石井 その手紙を書いている時間で、台本を書いてよって思うのに(笑)。
栗山 手紙を10枚書くくらいなら、台本を1枚だけでも書いてほしいのに(笑)。だけど、その手紙の中に何気ないスケッチとかも混じっているので。
石井 なるほどね。
――手紙にも、ヒントがある。
石井 確かに役者を動かすために、井上先生の頭の中には具体的な美術プランがあるんでしょうね。舞台となるのが、家の一室だったらまだやりやすいんです、日本家屋なら間取りってだいたい想像できるし。だけど今回みたいに、もうちょっと緩い空間が使われているとなると。
――家の中だけでなく、外になる場合もあるし。
石井 今回みたいな抽象的な舞台装置は、すごいなぁと思ったんです。こういうタイプの美術を、井上作品であまり見たことがなかったので。それで時間に余裕がなかったはずの初演時の舞台装置を、再演する際にガラッと変えるのかなと思うと変わらなくて、再再演の機会でも同じなんですから。そう考えると、時間が圧倒的にない中で最初に考えたものが、すごいんだなぁと思ったんです。
――時間はなかったはずなのに。それはやはり、さっきおっしゃってたファーストインプレッションのイメージが合っていたからということなんですか。
栗山 それはね。そもそも「『三文オペラ』で行きましょう」という話は2人でしていたんですよ。
石井 ああ、なるほど!
――それで、音楽がクルト・ヴァイルなんですね。
栗山 だけどね、みんな本当に稽古場で井上さんをどこか憎むような気分になってくるわけですよ。
――「もう、早く書いてくれ」って(笑)。
栗山 スタッフも役者も、精神も身体もボロボロですからね。だけど5、6枚、台本が送られてくるでしょ。そうしたら稽古をやっている最中でも「ごめん、ちょっと新しい原稿が届いたから、先にそっちの本読みをやろう」ということになる。だってみんなも、自分の役の運命を早く知りたいわけだから。
石井 それは、そうですよね。
栗山 それで黙読を一回したら集まって、声を出してみんなで読む。その時、笑いが起きる。
――すごいですね。
栗山 その時間の豊かさで、全部持ってっちゃうんだよ、最後まで。
石井 それはもう、作家としては、してやったりでしょうね(笑)。
――では最後に、お客様へ向けてお誘いの言葉をいただけますか。
栗山 とにかく楽しい芝居というよりは、芝居って、僕はさっき言ったようにいろいろなものがぶつかるものだと思っているから。だから今、何かに立ちすくんでいる人たちはぜひ劇場に来て、この作品とぶつかってほしい。何かが絶対、見えてくるはずだから。特に今の日本って……すべてがこんなにマンガみたいなことになっちゃっている国、他にないからね。裏金やら過激ダンスパーティーやら、あんなものをメディアで毎日毎日繰り返して流すより、もっと大事なものがあるんじゃないですか?って思うでしょ? そして好奇心というものも、もっと持ってほしいですよね。
石井 この『夢の泪』は、井上作品の中でもあまり回数を重ねて上演されているわけではなく、おそらく戯曲を読むなんていうこともまずされないでしょうから、おそらく初めてご覧になる方が多いのではないかと思います。「あ、こういう作品があったんだ」ということを知っていただきたいですし、きっと「え、これを本当に20年前に書いたの? まるで今の話じゃん?」って思えるでしょうし。「時代に合わせて、何か書き足したんじゃないか?」と思うくらい、今の心にグッと来るお芝居になっています。そして、もう本当に覚えるのがとても大変なんですが(笑)、クルト・ヴァイルの名曲、あと宇野誠一郎さんの名曲も含めて、とても素敵な音楽が散りばめられていますので、そこも楽しみにしていただきたいですね。
取材・文=田中里津子 撮影=福岡諒祠
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2024年5月16日(木)~5月24日(金)浅草花劇場にて上演される、『なめ猫ロックショー!』の新キービジュアル公開&チケット先行発売情報が解禁となった。
1980年代、「死ぬまで有効」、「なめられたら無効」等の表記で知られる免許証風ブロマイドで一大ブームを巻き起こしたなめ猫「なめんなよ」。初演の舞台から1年、再びなめ猫たちが帰ってくる。
(C)NAMENEKO・J (C)2024 全日本暴猫舞台連合なめんなよ
80〜90年代の雰囲気はそのまま、現代とミックスさせた完全オリジナルストーリーとなる本公演。脚本は村上純(しずる)、演出は村田充が手がけ、音楽を手島いさむが担当する。
出演者は、中山優貴、鷲尾修斗、星元裕月、髙﨑俊吾、三浦海里、蔵田尚樹。なめ猫たちが、歌い暴れ、舞台と客席がまるでライブに来ているかのような空間でさらなる熱狂をおくる。
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4月29日(月・祝)に神奈川・ぴあアリーナMMで開催される『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』から、2部コンテンツやタイムテーブル、会場物販などの情報が解禁された。
『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』は、CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日の3社が運営する『RAGE』企画による大型有観客イベント。VTuberグループ・ぶいすぽっ!のメンバーがタクティカルFPSゲーム『VALORANT』をプレイし、最終的にオフラインの場で強敵に挑む。
ぶいすぽっ!からは、夢野あかり、白波らむね、胡桃のあ、猫汰つな、八雲べに、紡木こかげの6名が出場。また、コーチとしてZETA DIVISIONのXQQも参加。対戦相手として、ボドカ・鈴木ノリアキ・ゆふな・MOTHER3・トナカイトらストリーマーチームが参戦。同じく、キャスターチームとして蒼汁・ふり〜だ・yue・河野海樹・谷藤博美、元プロゲーマーチームとしてClutch_Fi・ade・SurugaMonkey・ta1yoらの参加も発表されている。残り1名の参加者は、後日明らかになる。
あらたに、会場・PPV限定で2部コンテンツ『ぶいすぽっ!AFTER PARTY』が開催されることが決定した。『ぶいすぽっ!AFTER PARTY』では、『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』の試合終了後に、RAGE VALORANTの対戦チームとして出演していたストリーマーらと、ぶいすぽっ!のメンバーがタッグを組んで様々なミニゲームに挑戦。来場者もともに楽しめる企画も予定されているとのこと。
また、会場物販として、全6種のアクリルスタンドや、ステッカーセット、クリアファイル、スポーツタオルなどが販売されることが決定。
会場限定特典を除く全ての商品は、『ぶいすぽっ!OFFICIAL ONLINE STORE』で通販も行われる。詳細は、ぶいすぽっ!公式Xまたは、『ぶいすぽっ!OFFICIAL ONLINE STORE』サイトを確認しよう。
そのほか、RAGE VALORANT 公式Xでは、『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』開催を記念したキャンペーンを実施中。RAGE VALORANT、ぶいすぽっ!の公式Xをフォローし、該当の投稿をリポストすることで、抽選で10名に限定イベントTシャツがプレゼントされる。
『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』チケットの先行先着は、イープラスにて4月29日(月・祝)18時まで受付中。そのほか詳細は、イベントオフィシャルサイトを確認しよう。
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パリ、東京、大阪、個性的な3都市を代表する3つの美術館による共同企画『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』が、東京国立近代美術館と大阪中之島美術館にて開催される。会期はそれぞれ、2024年5月21日(火)から8月25日(日)まで(東京)、2024年9月14日(土)から12月8日(日)まで(大阪)。
このたび、本展の音声ガイドナビゲーターを有村架純が務めることが決定。コメントが届いた。
有村架純 メッセージ
パリ、東京、大阪の3館の所蔵作品をTRIOで紹介する本展は、自由な解釈で作品を楽しみ、また、その気持ちを誰かに話すうちに、さらに世界が広がるような、そんな心が満たされる展覧会になると思います。
選りすぐりの作家による作品に触れ合える豪華な展覧会ですので、アートが大好きな方々から、まだそんなに知らない方でも、見て比べて、いろんな人と共有しながら、充実した空間を味わっていただけたらなと思います。音声ガイドも用いながら、よりアートの世界に踏み込んで、興味を抱くきっかけになっていただけたらいいなと思います。
また、本展の開催にあわせたスペシャル・コラボレーションも決定した。
プラントベースのクラフトヴィーガンジェラート「TUTTO」では、アンドレ・ボーシャン《果物棚》をモチーフに、スペシャルフレーバー「ポワール(洋梨)」が登場。東京国立近代美術館の前庭 キッチンカーにて、5月21日(火)から7月中旬まで販売予定。
※商品画像はイメージです。
※商品画像はイメージです。
また、コンラッド東京の28階に位置するモダンフレンチ「コラージュ」では、展覧会コンセプトである「作品のトリオ」にちなんだ3皿のディナーコースを提供予定。それぞれラウル・デュフィの《家と庭》、辻永の《椿と仔山羊》、アンドレ・ボーシャンの《果物棚》をモチーフに、トリオのテーマの一つ<空想の庭>の世界観を表現する。
『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』は、5月21日(火)より東京国立近代美術館にて開催。前売券はイープラスほかプレイガイドで販売中。
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2023年9月に富士急ハイランド・コニファーフォレストにて上演された、ミュージカル『刀剣乱舞』 ㊇ 乱舞野外祭の千秋楽公演が、「ミュージカル『刀剣乱舞』 ㊇ 乱舞野外祭 特別スクリーン版」として、Dual3D版・3面ライブスクリーン版・通常版にて、それぞれ2024年5月24日(金)から3週間限定で上映される。この度、上映映画館で配布する入場者プレゼントが解禁となった。
入場者プレゼントは、刀剣男士のビジュアルを使用した「ペットスタンド」(全34種)。週替わりランダム配布される。さらに、【3面スクリーン版】【Dual3D版】に加えて、【Dual3D版】の映像を2D上映する【通常版】の上映も決定。より多くの劇場にて鑑賞が可能となった。
入場者プレゼント「ペットスタンド」1週目※画像はイメージです。
入場者プレゼント「ペットスタンド」2週目※画像はイメージです。
入場者プレゼント「ペットスタンド」3週目※画像はイメージです。
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英国はロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)で上演された、ロイヤル・オペラ、ロイヤル・バレエ団による世界最高峰のオペラとバレエを、特別映像を交えてスクリーンで体験できる人気シリーズ「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24」。ライブでの観劇の魅力とは一味違う、映画館の大スクリーンと迫力ある音響で、日本にいながらにして最高峰のオペラとバレエの公演を堪能できる。そして、2024年4月5日(金)からは、ロイヤル・バレエの愛と官能の最高傑作『マノン』が、TOHOシネマズ 日本橋ほか全国で1週間限定公開される。そこで本作の見どころを、舞踊評論家・森菜穂美氏の解説とともに紹介する。
【動画】The Royal Ballet: Manon cinema trailer
今年で初演から50周年を迎える、ケネス・マクミラン振付の『マノン』は、『ロミオとジュリエット』『うたかたの恋―マイヤリング』と並び、マクミランの代表作と呼ばれるドラマティック・バレエの最高傑作だ。バレエのガラ公演でも、恋の高揚感に酔うロマンティックな「寝室のパ・ド・ドゥ」や、ルイジアナの沼地での死を前にした極限の愛を見せる壮絶な「沼地のパ・ド・ドゥ」が頻繁に踊られるなど、一度観たら忘れられない名場面の多い作品だ。
本上映では、ロイヤル・バレエのトップスターたちの贅沢な共演と共に、舞台に立っている一人一人のアンサンブルが、18世紀のパリ、そしてニューオーリーンズに生きる人々の息吹を細やかな演技で伝え、これぞ英国の本家ドラマティック・バレエという見ごたえのある舞台を堪能させてくれる。
マノンは贅沢な生活を選ぶのか、それとも貧しくても愛する人とともに生きるのか…一見華やかに見える本作であるが、マクミランによるシナリオについて森氏は「この貧困がはびこる世界観は、現代の格差社会や貧困と地続きのものを感じさせる」と解説、富と腐敗の対照性を明らかとし、人間心理の深層に迫ったストーリーを描き出している。
Reece Clarke in Manon ©2024 ROH. Photographed by Andrej Uspenski
今回マノンを演じるのは、世界的なスターバレリーナのナタリア・オシポワ。ボリショイ・バレエ時代から高い身体能力と技術で知られてきた彼女は、ロイヤル・バレエに移籍後には演技力を磨き、ロンドンでも熱狂的に支持されている。森氏はナタリアの魅力について、「流されるだけのヒロインではない、過酷な運命の中で生き抜こうとする強さを持つ新しいマノン像を目撃してほしい」と熱弁。強靭な肉体をすみずみまで使って物語を語る唯一無二の傑出した個性と表現力に注目してほしい。
Reece Clarke & Natalia Osipova in Manon ©2024 ROH. Photographed by Andrej Uspenski
マノンを一途に愛するデ・グリュー役は、シネマの全幕作品では初主演のリース・クラーク。2022年にプリンシパルに昇進したばかりで、ロイヤル・バレエ一の長身、映画スターのような麗しい容姿の持ち主だ。オシポワとは、昨年夏のロイヤル・バレエ来日公演『ロミオとジュリエット』でも共演しており、見事なパートナーシップを築いている。森氏は「本作で重要なパ・ド・ドゥの素晴らしさと、息の合った演技は、観る者を深い感動に引きずり込むことだろう」と最大の見どころについても明かしている。
Reece Clarke in Manon ©2024 ROH. Photographed by Andrej Uspenski
マダムの館でのダンシング・ジェントルマンの踊りでは、アクリ瑠嘉を始め、カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズというプリンシパル有力候補の3人が華麗なステップを踏んでおり、次に誰が昇進するのかワクワクしながら観るのも本作の楽しみ方の一つだ。ベガ―チーフ(物乞いの頭)を演じる中尾太亮の鮮やかな跳躍や回転技、あでやかな高級娼婦を演じる崔由姫、前田紗江ら日本出身のダンサーたちの活躍も見逃せない。
演劇性に優れたバレエの世界最高峰、ロイヤル・バレエが本気を見せた最高傑作『マノン』、ぜひ大スクリーンで味わって、沼地にはまったまま帰れなくなるようなディープな舞台体験をしてみてほしい。
Reece Clarke & Natalia Osipova in Manon ©2024 ROH. Photographed by Andrej Uspenski
※森菜穂美氏(舞踏評論家)による『マノン』解説全文は下記URLにて閲覧可能です。
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村上隆 もののけ 京都 2024.3.12(TUE) 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
2月3日(土)より京都市京セラ美術館 新館 東山キューブでスタートし、3月15日(金)には早くも来場者10万人を突破した京都市美術館開館90周年記念展『村上隆 もののけ 京都』に、新たな作品「お花の親子」(2020)がお目見えした。2020年にコロナ禍の東京で公開され、「復活の祈りの象徴」として話題になった巨大な立体作品が、ルイ•ヴィトンのトランクとコラボして新登場。屋外展示として昼夜関係なく誰でも鑑賞することができ、9月1日(日)まで公開される。3月12日(火)に行われた完成お披露目会には、アーティストの村上隆とルイ•ヴィトンアンバサダーの十三代目市川團十郎白猿が登壇した。
現代美術作家・村上隆と市川團十郎がルイ•ヴィトンの衣装で登壇
村上隆「お花の親子」2020年 (c)2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. 「ルイ・ヴィトン モノグラム・マルチカラーのトランク」 (c)LOUIS VUITTON
東山キューブのガラス張りの通路から日本庭園を望むと、高さ13mにもおよぶ「お花の親子」が池の中に堂々と鎮座し、にっこりと笑みをたたえて黄金の輝きを放っていた。2020年に作品が発表された時は親子だけだったが、今回ルイ•ヴィトンとのコラボレーションによって巨大なトランクが加わった。このトランクは、村上とルイ•ヴィトンとのコラボで2003年に発表されたモノグラム・マルチカラーのトランクから着想を得て作られたもの。古都・京都の風景に馴染んだ同作品は、村上が京都で個展を行う意味の大きさを物語っているようだった。
完成お披露目会場には、それぞれ個性の光るスタイリングでルイ•ヴィトンの衣装をバッチリ着こなした村上隆と市川團十郎が現れた。
村上隆
村上は同館の日本庭園に展示された作品を見て、「2020年に六本木で展示された時は背景が高層ビルだったので、そんなに大きく感じませんでしたが、京都は大変見通しがよく、巨大感が表現されて、満足しています」と回答。
同作は、日本社会と西洋社会における美の受け取り方の違いを表している。「日本は花鳥風月、雪月花といった自然が主人公ですが、西洋社会はまず人間がいて、人間を取り巻く現象として自然がある。ニューヨークの現代美術の人間中心主義的な世界観の中に日本の自然現象を伝えるとしたら、人間にあたるものに記号が必要かなということで、雪月花の花に顔をつけました。人型にした方がもっと彼らの認識に近いかなと思って体をつけ始めたところ評判が良く、やはり西洋社会は人間をまず考える世界観が大変重要だと思いました。それを具現化したものがこの作品です」と解説した。
十三代目市川團十郎白猿
続いては團十郎に質問が飛ぶ。「当初「お花の親子」は、復活の祈りを込めてお作りになったようですが、今日改めてこの作品を見た時、別の印象も受けました。作品というものは、何かの役目とお作りになった方の気持ちが合わさって誕生するのでしょうけど、それから月日が流れることで、今現在我々が置かれている立場で見た時のメッセージ性の変化を感じられます。ど派手な作品ではありますが、普遍的なものが備わった作品に変化しているのではないでしょうか」と話す。
十三代襲名披露巡業の際には、当代の團十郎をモデルに、歌舞伎十八番をデザインした祝幕を手がけた村上。團十郎は「先生は、日本にあるものを日本以外の方々に伝えることに力を注いでおられる。成田屋、團十郎、荒事にフォーカスし、我が家から生まれた十八番という言葉を先生に咀嚼していただいて、先生の世界観で歌舞伎を表現し、世界の方々に伝えられるようにしていただいたことは大変ありがたい」と感謝を述べ、祝幕は「私も好きな作品で、いつも、先生のモノを作る根源は何かを感じながら拝見しているんです」と目を輝かせた。
次ページ:展示内容と必見グッズを紹介!
1.もののけ洛中洛外図
続いては展示内容を紹介しよう。村上隆の国内での大規模な個展は2001年、2015年に続いて8年ぶりで、東京以外での開催は今回が初、公立の美術館で行われるのは実に23年ぶりとなる。村上が信頼する同館事業企画推進室の高橋信也ゼネラルマネージャーからの「村上隆の過去、現在、未来を京都の文脈に絡めた展覧会を」との提案から実現した。
同展では、東京藝術大学で日本画を学び、博士号まで取得した村上が、江戸時代に京都で活躍した絵師の代表作を独自に解釈、引用して再構築した作品を中心に、最新の描き下ろし作品や国内初公開作品を含む約170点の作品が並ぶ。そのうち約160点が新作だ。
村上隆「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」2023-2024年(部分)
展示室に足を踏み入れるとまず視界に飛び込んでくるのは、全長13mにもおよぶ「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」(2023-2024)。京都市街(=洛中)と郊外(=洛外)の景観や風俗を描いたもので、17世紀に岩佐又兵衛が描いた「洛中洛外図屏風(舟木本)」を引用し、新たに村上が描き下ろした大作。かなり細かく描き込まれた図の中には、村上キャラクターのほか、じっと目を凝らすと雲の中に髑髏が見える。
村上隆「「村上隆 もののけ 京都」展をみるにあたっての注意書きです。」2023-2024年
会場にはところどころに「言い訳ペインティング」なるものが綴られている。お金と時間の事情で完成しきらぬまま展示されている作品が数点あり、その事情がユーモアたっぷり&赤裸々に語られている。「「村上隆 もののけ 京都」展をみるにあたっての注意書きです。」(2023-2024)なる作品もあり、日本のアート業界を取り巻く事情が垣間見える。会期終了まで随時展示の様子が進化したり、リアルな「今」を語ることは、村上が愛聴するヒップホップからの影響を受けているそう。一見ネガティブに思える未完成作品すらコンテンツにしてしまうのが、面白いところだ。
2.四神と六角螺旋堂
村上隆「白虎 京都」2023-2024年
京都は東西南北が山や川で囲まれている。部屋自体が八角形になった2つ目の展示室では、それを象徴する四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)をモチーフとした新作が登場。照明が落とされた暗い室内には、部屋の中央にそびえる鐘楼「六角螺旋堂」(2023-2024)と四神が四方を囲んだ村上版の「平安京」で、華やかな古都・京都に隣り合わせに存在する「死・闇・もののけ」が表現されていた。
3.DOB往還記
村上隆「レインボー」 2023-2024年
1993年に初登場した村上の代表的キャラクター「DOB」の変遷を辿ることができる。村上が提唱した「スーパーフラット」は、日本の伝統絵画から現代のアニメ、マンガへと連なる「平面性」と、戦後日本の階級の無い社会とを文脈的に関連させた現代美術の概念だ。
ドローイングをはじめ、立体的、ファンタジック、もののけ的なものや、最新作の「ズザザザザザ レインボー」(2023-2024)など、様々なDOBが一堂に会する。また、村上率いるアートの総合商社、カイカイキキのマスコットキャラクター「カイカイ」と「キキ」の作品も。ここではキャラ誕生の秘密も明かされている。
村上隆「四季 FUJIYAMA」2023-2024年
「言い訳ペインティング」とともに展示された巨大な「四季 FUJIYAMA」(2023-2024)はクライアントから受注した作品だが、まだ完成しておらず、割り切れないメンタルを表現するために割り切れない数字こと「素数」を上から敷き詰めたという。9月が納期ということなので、会期中に完成していくのだろう。
4.風神雷神ワンダーランド
村上隆「風神図」、「雷神図」2023-2024年
ここでは俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を村上流にアレンジした「風神図」(2023-2024)と「雷神図」(同)が展示されている。琳派を代表する宗達の風神雷神は、尾形光琳、酒井抱一ら琳派の絵師が模写したものをはじめ、琳派が衰退した後も葛飾北斎や前田青邨など、多くの画家がモチーフとして作品を描いてきた。時代の変遷とともに画面に作家の個性が表れてきたが、村上流の風神雷神はずいぶんコミカルでゆるキャラ風。思わずクスッと笑ってしまうゆるさが良い。
村上隆「雲竜赤変図 《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》」2010年
最もインパクトを感じるのは、横幅が18mもある「雲竜赤変図 《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》」(2010)だ。村上のルーツには、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳ら「奇想の絵師」を取り上げた美術史家・辻惟雄の名著『奇想の系譜』がある。曾我蕭白の「雲龍図」(18世紀)を参考にしたという同作品は大迫力。これまでの展示室で見てきた、細部まで作り込まれた精巧な表現とは違い、ぎょろっとした竜の大きな目やダイナミックな筆使い、したたる絵の具といった身体性を感じさせる表現に圧倒される。
5.もののけ遊戯譚
村上隆「Murakami.Flowers Collectible Trading Card 2023」2023-2024年
同展で村上が資金調達と文化振興の手段として導入したのが、日本のふるさと納税制度だ。プランを選ぶと、返礼品としてトレーディングカードがもらえる仕組み。かねてから「Murakami.Flowers」というNFTプロジェクトを運営してきた村上だが、今回はそれに関連した「もののけバージョン」のトレーディングカードを108枚新たに作成、「Murakami.Flowers Collectible Trading Card 2023」(2023-2024)として正方形の絵を壁一面に展示した。このふるさと納税によって寄付金約3億円が集まり、京都市内に通う大学生、高校生、専門学生は学生証の提示で入場の無料化が実現した。
他にもNFTコレクション「CLONE X」とタッグを組んだアバターや、村上が監督をつとめるアニメ『6HP』などのデジタルデータが絵画として展示されている。
作品画像は全て『村上隆 もののけ 京都』展示風景、京都市京セラ美術館 2024年 (c)Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
6.五山くんと古都歳時記
村上隆「2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番」2020年
展覧会の最後を飾るのは、全面金箔貼りの豪華絢爛な部屋。京都にゆかりのある「京都の舞妓さん アニメ風」(2023-2024)や「五山の送り火」(2023-2024)、そして「2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番」(2020)などが展示されている。
限定オリジナルグッズが多数
(c)Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
ミュージアムショップでは、Tシャツやクリアファイルなどの定番商品から、アクリルブロックやぬいぐるみなど、様々なオリジナルグッズを販売。中でもお菓子コーナーは平日でも混雑を極めていた。
展覧会のメインビジュアル「金色の空の夏のお花畑」があしらわれたストロベリーピスタチオ缶は、完売必至の人気アイテム。
八ッ橋を300年以上にわたり製造販売している聖護院八ツ橋総本店の「聖」とのコラボ商品は、オリジナルステッカー入りで、ニッキ/抹茶味と3月から新しくさくら/抹茶味の2種類が登場。
新作「風神図」「雷神図」のパッケージに、花の焼き印を施したラングドシャは、京都土産の定番となりつつある京都北山マールブランシュの「茶の菓」とのコラボ商品など、目移りしてしまうほどの豊富さ。ぜひショップも堪能してほしい。
東日本大震災直後に京都に移り住んだ村上が、真っ向から「京都」と対峙した今回の展覧会。まさに62歳の成熟した作家として、村上の過去、現在、未来を表すものであり、完成お披露目会で團十郎が語ったように、自身のルーツである日本画という伝統をリスペクトしながら、新しいことにも挑戦する熱量の高さを見せてくれた。さらに私たちに日本と海外のアート業界の違いについても教えてくれる、非常に意義深い展覧会となっていた。
未完成の作品も展示されているため、進化する展示を見に何度も足を運んでほしい。そして村上曰く「日本での展覧会は今回で最後にする」とも言われていることから、9月までに鑑賞されることを強くおすすめする。
取材・文=久保田瑛理 撮影=SPICE編集(川井美波)
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「ABEMA(アべマ)」の「ABEMA NEWS チャンネル」で平日21時より毎日生放送している夜帯のニュース番組『ABEMA Prime(アべマプライム)』の4月からの番組テーマソングにTOMOOの「Super Ball」が決定した。
「Super Ball」は昨年2023年9月にリリースされた、メジャーファーストアルバム『TWO MOON』のリードトラックとして収録された楽曲。番組のテーマソングとして、オープニングやスタジオBGMとして半年間使用される。
TOMOOコメント
ABEMA Primeテーマソングに、“Super Ball”を選んでいただきありがとうございます!
現実を生きていく中で大事にしたい気持ちを込めたこの曲が、また新たな形で、皆さまの日常に沢山ご一緒することができたら嬉しいです!
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2010年(日本では2013年)に出版されるやかつてない独創的な世界観が話題を読んだカナダの小説「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」が舞台化される。“舞台化不可能”とも言われるファンタジー小説の世界初の舞台化に挑むのは、演劇界の名匠G2。10年の構想を経て、奇妙な銀行強盗に“魂の51%”を奪われた13人の被害者たちの身に起こる不思議な事件とある夫婦の愛と奇跡の物語に挑む。
主演を務めるのは、『エリザベート』や『マリー・アントワネット』などでタイトルロールを務めた花總まりと、俳優のみならず司会としても絶大な支持を得る谷原章介。初共演の二人が、日常のすれ違いやもどかしさを紡ぐ。
花總まり
4月1日には、初日会見と公開ゲネプロが行われ、花總と谷原が登壇。花總は「G2さんの演出で舞台に主演するのは2作目ですが、前回も不可思議な作品だったので、私のG2さんのイメージは不可思議な作品を手がけたらナンバー1です。当初、舞台化不可能と言われていた作品ですので、G2さんが舞台でどう描いていくのか、キャストたちも不安でいっぱいだったのですが、それを見事に、ユーモアを交えながら演出してくださいました。すごく分かりやすく、お届けしやすい形になっているんじゃないかなと思います」とアピール。
谷原章介
一方、谷原も「この作品はダンス、映像、音楽、場面転換、舞台装置を多く使った作品です。ここまで転換が激しい舞台はないです。いろいろな力が結集している舞台になっていて、僕も客席から舞台を観たいと思うくらいの作品ですので、ぜひ見に来ていただきたい」と本作の魅力を語った。
花總まり
谷原章介
今回、花總が演じるのは、体がどんどん縮んでいくという女性。花總は「今までもさまざまな難しい役をいただいてきましたが、今回は種類が違う難しさがありました。多分、最後まで悩み続けるのかなと思います。まずは、自分を騙さないといけない部分が大きいので、自分を騙せないとお客さまも騙せないと思って、毎日、取り組んでいきたいと思っています」とステイシーという役柄について言及した。
原作を読んだ段階で最後のシーンがどのように表現されるのかを楽しみにしていたという谷原。実際に形になってみると「僕が想像したのとは全く違う絵になっている」そうで、「二人がどうなっていくのかは舞台でご確認いただきたいですが、夫婦は片方だけでは成立しません。ステイシーが歩み寄り、僕も歩み寄らなければならないですが、この舞台のどこの時点で歩み寄り始めたのかを確認してもらうと、最後のシーンがより味わい深いものになると思います」と本作の楽しみ方をレクチャーした。
(左から)谷原章介、花總まり
※以下、ゲネプロレポート。ネタバレが気になる方はご注意ください。
物語は、13人の人々がいる銀行から始まる。そこに僕(谷原)が登場し、妻のステイシー(花總)から聞いた奇妙な銀行強盗について語り始める。そして、僕が聞き及んだシーンがその場で再現されていく。
銀行には、突如、風変わりな強盗(平埜生成)が現れる。強盗は、天井に向けて一発の銃弾を放つと、「今持っている物の中で最も思い入れのある物を差し出せ」というのだ。13人がそれぞれの思い出の品を渡すと、「私はあなた達の魂の51%を手にした。それによりあなた達の身に奇妙な出来事が起きる。自ら魂の51%を回復しない限り、命を落とすことになるだろう」と伝えるのだった。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
こうして、13人の被害者たちに信じられないような出来事が起きる。デイビッドの年老いた母親は98人に分裂し、ドーン(入山法子)は足首に彫ったライオンのタトゥーが体から抜け出し追いかけ回される。ジェニファーは自宅の居間で神と遭遇する。自らも被害にあった刑事(栗原英雄)は被害者たちを集めるが、解決の糸口が見つからないまま、新たな“不思議”が起き続ける。
一方、目に見えて被害に見舞われていなかったステイシーだが、ある晩、自分が少しずつ縮み始めていることに気づく。夫は気のせいだと笑うが、縮んでいくペースを計算したステイシーは、自分が8日後には消えてしまうことを知るのだった。
ファンタジックな作品世界を、さまざまな演出方法で再現した本作。特に物語冒頭の銀行強盗のシーンは印象深い。芝居と並行して、僕がビデオカメラでその場を写した映像が、舞台上部のスクリーンに投影される仕組みとなっていた。さらにその映像には、それぞれの被害者が強盗に渡した物が映し出されるなど、芝居を補足する映像がところどころに組み込まれており、観客の想像をより広げる効果を発揮していた。(実際には、舞台上には強盗に渡した物は登場せず、映像でのみ視認することができる)
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
物語はステイシー夫妻を中心に描かれているものの、13人それぞれの“事件”もしっかりと描かれているため、群像劇の様相を呈している。それぞれの不思議な出来事が、パペットや美術、小道具や音響、ダンスを使って見事に表現されており、その幅広いG2の演出に脱帽する。また、13人の被害者たちがカラフルな衣裳をまとっていることで、それぞれのキャラクター説明がなくとも混同することなくストーリーに集中できたのもありがたいポイントだった。
本作の中で、もっとも気になるであろう“縮んでいくステイシー”は、立ち位置を変えて芝居をしたり、パペットを活用してその大きさを表現したりと、さまざまな手法を用いて表されていた。実際に花總が小さくなっていくわけではないのに、花總の高い演技力も相まって本当に小さなステイシーがその場にいるように感じられ、観客も一緒に不思議な世界に迷い込んでいる…そんな感覚を覚えた。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
この作品で描かれる不思議な出来事は、現実社会で起こるさまざまな事象の暗喩となっている。なので、“縮んでいくステイシー”は、夫婦のディスコミュニケーションを表しているとも考えられる。一見すると良い夫の僕だが、彼の行動をよくよく見ると、嫌な一面が次々と見えてくる。突然、大きな声をあげる。ステイシーの意見を鼻で笑い、自分の意見を突き通す。話を聞いてほしいステイシーを適当にあしらう。それらは、誰からも非難されるほど罪のある行為ではないが、毎日、相対するステイシーにとっては自分がどんどん小さくなっていってしまうような思いだったのだろう。そんな夫婦が、どのような未来をつかむのか。ぜひ会場で確かめてもらいたい。
花總は、健気で真摯、聡明でありながらも、夫には強く意見をできないでいるステイシーを好演。先にも書いたように、体が縮んだ後の演技は特に秀逸で、本当に手のひらサイズのステイシーがいるかのようだった。劇中では、美しい歌声を聴かせるシーンもあり、悲しげなその歌声が場面を際立たせていた。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
谷原が演じる僕は、この物語を進行する役割も持つ。それぞれの“事件”を回想、説明しながら、観客を物語に引き込む。さらに、谷原が持つ穏やかな空気感と、垣間見える“嫌な男”の演技が絶妙に混じり合い、僕というキャラクターが見事に立ち上がっていた。
そして、銀行強盗を演じた平埜、被害者の一人を演じた入山をはじめとしたキャスト全員が、安定感のある演技を見せ、極上のファンタジーを作り上げていた。
『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』舞台写真
原作同様、一度観ただけでは味わい尽くせない本作。4月14日(日)まで東京・日本青年館ホールで上演された後、4月20日(土)・21日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、4月26日(金)~28日(日)に名古屋・御園座でも公演が行われる。
取材・文・撮影=嶋田真己
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2023年12月に開催された『Brand New Musical Concert 2023』が、2024年4月20日(土)CS放送「衛星劇場」にてテレビ初放送される。
2019年8月、東京オペラシティコンサートホールから始まった『Brand New Musical Concert』は、コンサートホールでオーケストラをバックに、日本のミュージカル界を担うスターたちが豪華に歌い上げる公演。今回は2023年12月9日に東京オペラシティコンサートホールで開催された、中川晃教、加藤和樹、田代万里生、藤岡正明、昆夏美、山野靖博が出演した回を放送。豪華スターたちが、映画『グレイテスト・ショーマン』の楽曲「Come Alive」「TheGreatest Show」やミュージカル『モーツァルト!』『エリザベート』の楽曲、ディズニー映画の名曲などさまざまな曲を披露する。
(C)サモンプロモーション
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なお、衛星劇場では、『Brand New Musical Concert 2022』、田代万里生、昆 夏美、藤岡正明、加藤和樹が出演した『中川晃教 MUSICAL WEEK 2021』、『加藤和樹 × 朝夏まなと THE Roots Returns-Thank you-』も放送される。
<衛星劇場2024年04月>衛星劇場プレミアムシート 「Brand New Musical Concert 2023」 テレビ初放送 30秒予告
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