菅田将暉・永野芽郁・野田洋次郎がそれぞれの夢を語る 映画『キネマの神様』から本編シーンの一部&コメントが到着
- 2021.07.14
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8月6日(金)公開の映画『キネマの神様』から、本編映像の一部が解禁された。
『キネマの神様』は、松竹映画100周念を記念し、小説家・原田マハ氏による同名小説を映画化するもの。メガホンを山田洋次監督がとっている。主人公は無類のギャンブル好きで家族に見放されたゴウ。彼は、かつて映画の撮影所で働いた仲間で名画座の館主・テラシンとともに青春時代を過ごしていたが、ふたりがともに食堂の娘に恋心を抱いたことから、運命の歯車は狂い始める。W主演・二人一役で、沢田研二と菅田将暉が主人公・ゴウを演じる。本作は、2020年1月にクランクインした当初、志村けんさんと菅田の初共演作となる予定だったが、同年3月末の志村さん死去を受け、沢田が代わって出演することに。また、永野芽郁、宮本信子、野田洋次郎、小林稔侍、寺島しのぶ、北川景子らがキャストに名を連ねている。
今回解禁されたのは、園子(北川景子)が運転する車で、ゴウ(菅田将暉)、淑子(永野芽郁)、テラシン(野田洋次郎)がドライブへ出かけるシーン。映像では、園子からゴウへ、テラシンから淑子へと、それぞれの想いが交錯する様子が描かれている。4人は、園子が運転するオープンカーで冗談を言い合い、笑いあう。ところが、道中で車がエンストを起こしたため、エンジンを冷やすことに。ラジエーターに水をそそぐゴウをまっすぐに見つめながら、園子は「ねえ、なんで淑子ちゃんたちを誘ったの?私、ゴウちゃんと二人で来るつもりだったのよ」と意味深な言葉をかける。積極的な園子に、ゴウはたじたじ。一方、淑子への想いを募らせるテラシンは、カメラを取り出し、遠慮がちながら淑子へ声をかけ、その笑顔をフィルムに収めようとする。テラシンは映画のフィルムを使ったそのカメラの豆知識を披露し、淑子を前に普段とは異なる饒舌な姿を見せるのだった。
さらに、菅田、永野、野田の3名からのコメントも到着。映画監督になる夢を追いかけるゴウ、映画館の館主になる夢を持ちながら映写技師として働くテラシンらの物語にちなんで、それぞれの思う“夢”について語っている。菅田は「小さい夢でいうと、例えばこの世界に入って、週刊少年ジャンプの漫画原作の実写映画に出演して、ジャンプに自分が載ったとか、夢だと思ってなかったけど振返ったら夢が叶った気持ちになっていることが、この世界は本当に良くあるなと思います。それこそ今回、僕のマネージャーさんが山田洋次監督の論文を大学で書いてたみたいで、この作品が決まった時は、すごい喜んでいたし、初めて山田さんに会った時にちょっと泣いてる姿を見て、やって良かったなと思ったし、夢が叶った瞬間を見ることができました」とコメント。野田は「僕はそんなに大いなる夢を抱いたことがなくて、その時やりたいことが常にあって、それを全身全霊でやり続けてますね。だから大きな夢をたてるでも良いと思うんですけど、でももしかしたら夢っていうのはその時1番やりたいことを全力でやった先に、気づいたら辿りついてるんじゃないかな?」と明かす。一方、永野は「私は、夢は持たないんです!」と一言。また、2人に対しては、「私は、夢を持ちそれを達成したときに、次にどうしていいか分からなくなってしまう自分が怖くて、明確な将来の夢というものを持ったことがないので、明日が楽しければいいと思ってます」と語っている。
『キネマの神様』は、8月6日(金)公開。
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WANIMAが10月23日(土)、24日(日)に横浜アリーナにて『Cheddar Flavor Tour Final 2021』を開催することを発表した。
『Cheddar Flavor Tour』は全国11箇所21公演で開催されてきたが、先日『京都大作戦』の中止(延期)を受けて急遽8月31日(火)に京都編が追加になることが発表されたばかり。そんな中、本日更にファイナル公演として横浜アリーナ2days公演が発表され、WANIMA MEMBERS会員先行にてチケットの受付がスタートした。
これまでWANIMAは、『JUICE UP!! TOUR』ではさいたまスーパーアリーナ公演、『Everybody!! Tour』ではメットライフドーム公演と、発表されていた最終公演日に合わせる形でアリーナ、ドームでのファイナル公演をサプライズ発表してきた。昨年は、新型コロナウイルスの影響で『COMINATCHA!! TOUR 2019-2020』のサンドーム福井以降の公演が中止を余儀なくされた中、ZOZO MARINE STADIUMでのファイナル公演を無観客ライブで開催。今回ツアーのファイナル公演として発表された横浜アリーナ公演は、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター公演以来のアリーナでのワンマンライブとなる。
新型コロナウイルスの影響で制限がある中、新しいライブの形を創り上げながら『Cheddar Flavor Tour』をまわってきたWANIMAの進化したライブに注目してほしい。
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アストル・ピアソラの生誕100周年を祝して、バンドネオンの三浦一馬が『ピアソラ・フェス“リベルタンゴ”』を開催する。ゲスト出演するピアノの角野隼斗とは初共演となる。二人で話をするのもこの対談が初めてだという。
――お二人が会うのは?
三浦:一度廊下で会ったくらいで、ちゃんとお会いするのは初めてなんです。ピアニストの角野隼斗さん、YouTuberのCateenさん、と幅広く取り組まれていて、あれだけ人を楽しませるエンタテイナーとして、爽やかでフレッシュなアーティストだというイメージです。
角野:うれしいです。僕からすると、三浦さんはバンドネオンの第一人者であり、アグレッシブにいろいろなことをされている方だなという印象を持っています。
三浦一馬
――今回のフェスについてお話ししていただけますか?
三浦:偉大なアストラ・ピアソラの生誕100周年という、なかなか立ち会うことのできない節目に、みんなでお祝いをしましょうということで企画しました。音楽界のトップを走るビッグ・ネームたちが一堂に会するのは滅多にない機会です。当然、このメンバーの組み合わせはピアソラのオリジナル編成ではないので、皆さんの魅力が発揮できるように私が編曲します。そして新たなピアソラ、ピアソライズムを感じながらお祝いする。今年じゃなければできないコンサートです。音楽の殿堂サントリーホールでの演奏も楽しみです。
角野:ほんとうに、錚々たる方々ですよね。僕自身は、ピアソラをコンサートでちゃんと演奏するのは今回が初めてです。その“初めて”を、このようなメモリアルで、大きなコンサートで迎えられる。純粋に楽しみですし、うれしいです。
――角野さんはピアソラにどんなイメージを持っていますか?
角野:もともとタンゴで、いろいろなジャンルの音楽を取り入れて、新しいものをやるというイメージ。それは僕のやりたいことに近いです。ピアソラのそういう部分に対して畏敬の念を持っています。
――角野さんは今回のコンサートでは何を弾いてくださいますか?
角野:「リベルタンゴ」ともう1曲、弾く予定です。
三浦:できれば、みんなで「リベルタンゴ」が演奏したいと思っています。私の編曲次第ですが。
角野:「リベルタンゴ」は、ピアニストの間では、ジャズでいうスタンダード・ナンバー的な曲になっていて、僕もYouTubeで弾きました。
三浦:「リベルタンゴ」にはピアソラがいろいろな音楽のエッセンスを取り入れていています。「リベルタ(自由)」と「タンゴ」を合わせた造語ですが、この言葉にはピアソラが音楽家として生きた姿勢が象徴されていて、ピアソラ自身の決意表明が込められていると思います。
角野隼斗
――共演者には、チェロの宮田大さん、ギターの大萩康司さん、サクソフォンの上野耕平さん、ピアノの山中惇史さんら、それぞれの楽器のトップ・ランナーが参加されますね。
三浦:特に交流の深い方々、心から尊敬する方々ばかりです。宮田さんや大萩さんとは共演歴も長く、上野さんと山中さんとはトリオを演奏しました。上野さんは僕の室内オーケストラにソリストして出ていただいたこともあります。この方たちは、とことん音を突き詰めて、僕の理想のサウンドを一番実現してくださいます。つまり共通の言語をともにしている人たちです。いわゆる“本家本元の”ピアソラとは違いますが、それは自分が求めた部分でもあります。
みなさん、現代において音楽に突き進んでいる方たち。今日を生きているわけですから、50年、100年前とは違うものであるべきなんですね。みなさんいろんなアンテナを広げて、自分なりの音楽されているところが、共通しているといえるでしょう。
角野:僕自身にとっては、全員が初共演なので、単純にご一緒できるのが楽しみです。それから、三浦さんの編曲も。
僕も、ほかの楽器の曲をピアノ編曲することがあるのですが、ピアノの場合、音響的にオリジナルの音に近づけるようにアレンジするだけでは、あまり映えないこともあって。オリジナルの良さを活かすアプローチと、例えば、パーカッシブな音が出る、コードをたくさん抑えられるといったピアノという楽器が持つ特性を活かすアプローチ、この2つの兼ね合いを考えています。きっと三浦さんも、様々なことを考えながら(編曲を)されていると思うので、どのようなアレンジになるのか、楽しみですね。
角野隼斗
三浦:ピアソラにはバンドネオン以外にもいろいろな楽器編成の曲があり、チェロの曲、ギターのソロ曲、サクソフォンのための曲もあります。このメンバーの楽器編成でのピアソラはなかなかないですが、自分のなかには完成したサウンドのイメージがあります。編曲には、オリジナルを尊重するものと、作り変えてしまうものがありますが、僕は原曲をたどってそれぞれの人をフィーチャーするように編曲したいと思います。ただ全員が出てきて弾くだけでなく、みんなが輝くような編曲に挑戦したいです。
――角野さんにとってのピアソラの音楽の魅力は?
角野:そんなにピアソラに詳しいわけではないのであまり言えることもないのですが、いろいろなジャンルの音楽のエッセンスを感じ取れるのがすごくいいですね。
三浦:あまりピアソラに詳しくないとおっしゃるのですけど、実はそれはあまり重要じゃないと思います。ピアソラは厳密にはタンゴに分類されますが、むしろ、僕は違うジャンルの方から刺激を受けることが多いです。「ピアソラをあまり知らないんだけど」という方から新鮮なアプローチに気づかされたり、ハッとさせられたりします。今回、そのようなことも楽しみにしています。
――ピアソラの音楽の楽しみ方を教えていただけますか?
三浦:生誕100周年ということで、いろいろなところでピアソラに関するコンサートがあるでしょう。すごくマニアックに、こういうピアソラでないと、という話をする人もいますが、僕は、乱暴な言い方かもしれませんが、まずはどれでもいいから聴いてみてほしいと思います。ピアソラの入り口がどれでもいいと思っています。角野さんのような新しいスタイルのピアソラでもいいですし、フィギュア・スケートの音楽から入ってもいい。いろんな入口があるので、いいなと思ったら、本家本元のところに行けばいいし、僕のところに来てもらってもいい。
三浦一馬
――最後にメッセージをいただけますか?
三浦:これだけのメンバーが一堂に会するというのは滅多にありません。しかも、オール・ピアソラ・プログラム。ここでしか聴けないコンサートに是非いらしてください。
角野:このコンサートでは、ちょっと別のフィールドから、どういう風に自分の持っているもの、新しいピアソラをつけ加えるのか考えていきたいです。僕が、クラシックだけでなく、いろいろなフィールドにいることで、僕をきっかけにピアソラに出会う人がいるかもというのが、もう一つの僕のいる意義だと思っています。その上で自分の表現したいピアソラをここで演奏できたらいいなと思います。
三浦:心強いです。
左から 角野隼斗、三浦一馬
取材・文=山田治生 撮影=池上夢貢
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osageが、 7月14日(水)にタワーレコードで限定リリースしたシングル「触れ逢いたい/ハレモヨウ」に収録されている「ハレモヨウ」のミュージックビデオを公開した。
今回のミュージックビデオは、昨年末までE-girlsとして活動していた女優の山口乃々華が出演した「触れ逢いたい」のミュージックビデオの後日談となっており、前編、後編に分かれた新しいストーリーミュージックビデオに仕上がっている。
また、今回のシングルのリリースを記念して、大阪、東京にて2マンツアー『osage「触れ逢いたい/ハレモヨウ」Release Tour 2021』も決定。9月19日(日)大阪・Shangri-La、9月23日(木祝)東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで行われるこのツアーは、大阪になきごと、東京ではオレンジスパイニクラブがゲスト出演する。
イープラスでは現在、チケット先行受付を実施中。
osage「ハレモヨウ」MV
osage「触れ逢いたい」MV
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2021年に結成20周年となる仙台貨物が、シングル2作同時リリースとツアーの開催を発表した。
仙台貨物は、2001年に宮城県仙台市で結成、今年結成20周年を迎える宮城県が産んだ“謎の運送屋集団”。メタルからカントリー、しっとりしたバラード、演歌まで、オールジャンルをあたたかい宮城弁で送る“癒やしの宅配便”。メンバーは千葉(Vo)、フルフェイス(Gt)、サティ(Gt)、王珍々(Ba)、ギガフレア(Dr)、KURIHARA(Mp)の6人組で、赤字のために2009年の日本武道館ライブをもって倒産(活動休止)したが、仙台復興のため2011年に再稼動。そして前回の活動から5年ぶり、結成20周年の今年、復活を果たす。
ニューシングルは、「開運ざんまい」と「仙台貨物の大冒険」と題した2タイトルで、9月22日に同時リリース。そして9月23日 (木・祝) 大阪・なんば Hatchを皮切りに、9月26日 (日) 東京・豊洲 PIT、9月28日 (火) 愛知・Zepp Nagoya、10月3日 (日) 宮城・仙台 PITを巡るトゥアー(ツアー)『仙台貨物トゥアー2021 シン・仙台貨物~帰ってきた癒しの宅配便~』を開催する。
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日本公演40周年を迎える、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』が2021年7月22日(木・祝)からめぐろパーシモンホール 大ホールで開幕する。2014年に読売演劇大賞で大賞・優秀演出家賞を受賞した、新進気鋭の森新太郎が演出を務め、今回が4度目となるピーターパン役を吉柳咲良、フック船長・ダーリング氏役を小西遼生が演じる。
今回、SPICE編集部では、演出の森新太郎に単独でオンラインインタビューを実施。昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全公演中止となってしまったが、その1年間があったからこそ新しい演出プランも生まれたそうだ。どんな舞台になるのか、思いを語ってもらった。
コロナで中止になったからこそ、演出プランを深く練ることができた
ーーお稽古は順調でしょうか?
驚くべきスピードで進んでいますね。これだけやること多いのに。
『ピーターパン』稽古場より
ーー通し稽古などはもうされたのですか?
通しはあと数日後になりそうです。僕もやってみて、びっくりしているんです。ミュージカルって、ストレートプレイに比べて、歌あり、踊りありで、要素が多いですよね。特にこの『ピーターパン』はフライングや、ティンカーベルの明かりのこともやらなくてはいけないし、あと、これは僕が勝手にやったことですけど、人形をたくさん使っていて、もうやること満載なんです。
稽古はすごく多めに時間をとってもらってはいますが……今、どういう状態かというと、「ここ手が余っている人いるかー?」と声をかけて、「あなたは、ここの場面は手があいているから、これやって」みたいな状態(笑)。よくみんな手伝ってくれているなと思いますね。
ーー「劇団」のようですね(笑)。
はい。本当に最高の劇団ですよ(笑)。
ーー昨年の公演は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全公演中止になってしまいましたが、森さんは「1年間考える時間が増えた」とプラスに捉えていらっしゃいますよね。
そうですね。去年延期になったことで、今回出れなくなった俳優さんもいるので、残念ではありますけど、演出家としてプランを練れたという点では、プラス以外の何物でもないですね。また、とても感謝していることなんですけど、去年の段階で、空の劇場をお借りして、1回目の舞台セットのプランを仮組みさせてもらっているんですよ。
こんなこと普通できないんですけど、制作さんとスタッフさんのご好意で、一度試してみようかということになって。おかげで、初期のセットの良さが分かったし、足りない点も判明した。そこから1年熟成させたので、よく練れているなと思います。
『ピーターパン』稽古場より
ーー日本初演の演出をベースにするという点は変わらず、細かい点をさらに練られていったということですか。
そうですね。ただ、ネバーランドが月の向こうにあるかもしれないし、ここにあるかもしれないということを形にした舞台セットはこの1年で思いついたアイディアです。去年はその辺りの考えが反映できていなかったんですけど、今年はそこまで追及できた。
もともと、テーマパークみたいに作り込むのは違うなとは思っていました。従来の『ピーターパン』って、よくできたデコレーションで埋め尽くしたり、最近では映像を使って幻想的な雰囲気を作ったりしているんですけど、僕の場合は、もうちょっと素朴なものがいいなと。そして、明らかにお芝居だということが分かるセットでやりたいなと思っていました。
その考えを、美術の堀尾(幸男)さんに説明していて。堀尾さん自身は『ピーターパン』が3度目で、「もうやり尽くしたよ」なんて言われたんですけど(笑)、「堀尾さんもやったことのないような『ピーターパン』にしたい」と口説きまして。例え話として、「大きな布一枚でネバーランドを表現するみたいな、それぐらい素朴な世界を見立ての工夫で作っていきたい」という話をしたら、本当に大布一枚のプランが来たんです(笑)。
それで、どこまでやれるか試したんです。堀尾さんが、大布がたえず揺れていると面白いよとか教えてくれて。なるほど、そうすることによって目に見えないネバーランドの風まで感じさせることができる。姿を変える大布が生き物のように見えるときもあって、刺激的なセットではあったんです。
ただそれだけでやろうとすると、どうしても今回の演出のコンセプトを十分には表現できなくて。子どもの寝室とネバーランドが常につながっているような、境目がはっきりしないような舞台にしたいという新たな要望を出して、現状、すべてのことがうまく融合された舞台になっていますね。
吉柳咲良は、歴代とは違う、「特殊な」ピーターパン
(左から)吉柳咲良、小西遼生 製作会見より 撮影=五月女菜穂
ーー4度目となるピーターパンを演じる吉柳咲良さん。成長は感じられますか?
はい。成長しかしていないと思っています。まだ17歳。稽古場で彼女によく言っているのは「楽をするな」。そんな生半可なエネルギーで舞台上に立つなと口酸っぱく言っています。
全体で見れば、ちょっとしたワンアクションかもしれないけれど、どんな瞬間でも汗をかくぐらいのエネルギーを費やしていないと、これほどシンプルな話の場合は、お客さんの興味を引き続けられない。そのためにはまず身体です。フルに使いきらないと。身体の隅々にまで意識を張り巡らせ、大胆に、なおかつ的確に感情を表現できるよう彼女にしつこく言い続けてきました。1か月以上稽古をする中で、彼女もかなりその意図を理解してきてくれていると思います。
僕が彼女に求めているピーターパンは、台本に書かれているピーターパンを素直に具現化すると「こうなる」ということだけなんですけど、今回は歴代いないタイプの特殊なピーターパンになっている気がしますね。
ーー特殊なピーターパンとはどういうことですか?
一言で言うと、こんなに有頂天な奴はいなかった(笑)。こんなに陽気で、勝手気ままなピーターパンはいなかった気がします。
今回潤色を担当しているフジノサツコさんは、たくさんの文献に当たっているので聞けばいろいろと教えてくれるんです。皆さんが、バリの原作通りだと思っている箇所が、実はミュージカル用に別の作者によって改変された部分だったり、有名なディズニー映画によるイメージだったりもする。フジノさんのレクチャーによると、バリの描いたピーターパンはまだ乳歯が全部残っているらしいので、僕たちが思っているよりもずっと小さな子を想像しないといけない。上だとしても小学校低学年ぐらいで、ウェンディもそれと同じぐらいの年齢を想定していかないとダメ。
というのも、大人の感覚でピーターパンの心をひも解いていくと、ちょっとセンチメンタルな奴になっていくんです。生まれてすぐに両親と離れ離れになっているという背景もありますし。だけど小説を読んでみると、それでいつも悲しい思いをしているわけではなくて、むしろ、そういうことをほとんど忘れて生きている。目の前の楽しいことばかり夢中になっている。そういう本来の年齢設定で考えると、ピーターパンは、意外となんの矛盾もなく、僕の中では存在できるんです。
『ピーターパン』稽古場より 吉柳咲良
吉柳は、最初の頃、悩んでいました。彼女も3年ピーターパンをやってきて、「考えれば考えるほど、内面的な流れが分からなくなる」と言っていた。だから「自分の物差しで考えるな」と伝えました。子どもって、この世の終わりだというぐらい路上で大泣きしていても、すぐそばを消防車が通ると「あ、消防車!」と言って、ケロっと泣き止んだりするじゃないですか(笑)。
俳優は、あれを体現しないといけなくて。あの感情の飛躍。そうすると、なんら不自然なことなく、正真正銘の子どものピーターパンが現れる。実に一般的な子どもの姿だなとも思うし、僕らも間違いなくかつてはこうだったんですよ。忘れてしまっているだけで。すぐに大人の思考回路で整合性の取れるような芝居を目指しがちですが、ことこの作品に関しては、我々が無くしてしまった無軌道ぶりを意図的に生み出さないといけないんじゃないかなと。そんなふうに、稽古を重ねていった結果、とんでもなく浮かれたピーターパンが出現してしまいました(笑)。
ーー楽しみです。
去年公演が中止になったので、ホリプロさんからビデオをお借りして、これまで上演してきた全部の『ピーターパン』を見たんですけど、本当に「今までこんな奴いなかった!」というぐらい変な男の子になりましたね。
ーー見どころのひとつですね。
いやいや、ひとつどころか、これぞ見どころですよ! 舞台セットなどで工夫も凝らしますけど、肝心要はピーターパンの造形だと思っているんです。我々の周りにもいますよね、一緒にいるだけで、こちらが幸せになっちゃう男の子。その一挙手一投足がみんなを堪らなく、ウキウキさせてしまう男の子。それがピーターパンをやる俳優に課せられている仕事のような気がしています。どれだけ生き生きと自由で、魅力的な男の子を作れるか。本当に僕は1番の柱はピーターパンの造形だと思っていますよ。
望み通りのフック船長。小西遼生の本性はいかに?
ーーその造形にも関わる、もうひとつ大事な役がフック船長。演じられる小西遼生さんについてはどう見ていらっしゃいますか?
『ピーターパン』稽古場より 小西遼生
まだ作品を作り出した最初の頃に、同じように小西くんについてコメントを求められて、「彼の新境地を開くことが僕のひそかな野望です」と言った記憶があるんですけどね、今、彼は、こちらが望む通り、かなりお馬鹿なフック船長になりつつあって(笑)。
これは果たして新境地なのか、もともと彼はこんな奴だったのか分からなくなっています。これまで小西くんって二枚目の役が多くて、“そっち”担当なのかなと思っていたのに、あれ、“こっち”担当なのかと(笑)。いや、嬉しいですよ。僕が無理にこじ開けることなく、のびのびと新境地を開いてくれているので。いや、でも新境地じゃなくて、もともと“こっち”だったのか?(笑)。
すごく、いいですよ。ピーターパンと同じぐらい子どもっぽいフック船長を演じてくれています。役柄上、子どもたちは応援まではしないだろうけど、「なんか自分たちに近しいものがある」と感じる、そういうチャーミングな悪者になっていますね。
なぜ40年も長きにわたって愛されるのか
ーー今回が日本公演40周年です。ここまで長きに渡り、作品が愛される理由はなんだと思いますか?
やっぱり、今、このコロナの時期に作っているからかもしれないですけど、ここまで底抜けに明るい芝居はめったにないんです。ウェンディは最後ネバーランドに行けないというちょっと切ないところもありますけど、でも、それとて、自分の子どもがネバーランドに行くということで未来に向けてちゃんと光が描かれていますしね。これほどまでに、生きていることの肯定に満ちている芝居はないです。
原作者のバリの祈りのようなものを僕は感じていて。バリ自身が、近所に住む実際の男の子たちと、公園でごっこ遊びをしているうちに、『ピーターパン』の物語ができたわけで。それで、その子どもたちが成長してごっこ遊びから卒業していき、それをバリは寂しく思って、いつまでも残しておきたいと希求して、戯曲にしたり、小説にしたりしてきた。
そんなバリの願いが込められているので、ネバーランドは永遠に輝きを失わない場所なのだと思います。いつの時代にも子どもたちには輝いていて欲しい、至極単純なメッセージかもしれませんが、それをこうも力強く訴えかけている作品って他にないような気がして。それがこの作品が多くの人に愛され続け、特別なものとして残っている理由なのかなと思います。
ーー森さんの演出作品の中でも、明るいですよね(笑)。
はい(笑)。この作品を観て、うつむいて帰る人はいないんじゃないかな。うつむいて帰る芝居、僕、嫌いじゃないんですけど、これはこれで唯一無二の作品だなと。ここまで前向きな内容だと、作り手側はかえってものすごいエネルギーを要求されるものですね。
『ピーターパン』稽古場より
森新太郎がミュージカルの演出の時に心掛けていること
ーー森さんは『パレード』の演出が初めてのミュージカルの演出で、だいぶ慣れてきたのではないですか?
いや、笑っちゃうぐらい、慣れてないですよ(笑)。毎日、現場に音楽監督の村井(一帆)さんとか、歌唱指導の満田(恵子)さんとか、振付の新海(絵理子)さんとかに来てもらっていて。本人たちはそう思っていないと思いますけど、僕のお守り役のようなことをしてくれています(笑)。
例えば、ミュージカルの専門的なこと。譜面の何小節のどうのこうのとなると、最近では知っているフリをすることすら面倒になっちゃって、もうすぐ聞いちゃうんです。「これは、今、どうなっているの?」と。そうすると、向こうも僕の違和感を察知してくれて、それはそれは丁寧に相談に乗ってくれる。
彼らの支えなくしては、音楽の力を十全に活かしきることはできません。なので、自分の中ではミュージカルの演出家としては全然まだまだだなと思っています。
ーーミュージカルを演出する際に気をつけられていることを教えてください。
これは『パレード』の時もよく言っていたことですが、歌も芝居でやってくれ、ということですね。ミュージカルだし、きちっと音程外さずに歌いたい……。まぁ音程外さないというのは基本なのかもしれないけれど、それよりも大事なのは芝居だと思っていますから。なぜこの場面で歌うのか、なぜこの旋律を使うのか。その意味をしっかりと考えないといけない。考えないと、せっかくの歌がもったいない。
今回ひそかに僕が助かっているのは、潤色したフジノさんが、訳詞をし直してくれているんです。語りかけるような歌詞に整えてくれたので、そのことが僕がストレートプレイの感覚で作品を作れているひとつの理由ではあるんです。
もちろん、僕はミュージカルの歌をいらぬ制約だと思ったことは一度もないです。ストレートプレイにはない要素なので、ただただ新鮮で楽しい。ミュージカルの人にとってはこんな僕こそが新鮮な存在だと思いますので、お互いに気付きを与えうるような関係性を築けたらいいなと思っています。
『ピーターパン』稽古場より (中央)森新太郎
ーー最後に、観客のみなさまに一言お願いします!
『ピーターパン』を初めて観る人も多いと思うんですけど、これだけ長くやっていますから、すでに何回も観ている人も少なくないと思うんです。僕の友達にも初代ピーターパンの(榊原)郁恵さんバージョンを観ている人が結構います。でも、本当にリニューアルしましたから! 「これ、同じ『ピーターパン』?」と驚かれるような舞台になっているような気がします。
それは、決して奇をてらって変化球を投げたということではありません。かつてバリが描いてみせた、本当と嘘の境目が分からなくなるような、壮大なごっこ遊びの世界を僕なりに再現した結果、こうなりました。そんなわけで、従来のファンの方こそ観に来てもらいたい『ピーターパン』です。厳しいお叱りでも構いませんので、ぜひ皆さまの感想を聞かせて欲しいなと思います。
取材・文=五月女菜穂
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2021年8月22日(日)、舞台『パタリロ!』全3作品がCS放送局「衛星劇場」にて一挙放送されることが決定した。舞台3作目の『~霧のロンドンエアポート~』は今回がテレビ初放送となる。
舞台『パタリロ!』は、1978年の連載開始から40年以上も愛され続けている、魔夜峰央原作の超人気作品『パタリロ!』の舞台化作品。原作の魔夜峰央に「パタリロを演じられるのは彼しかいない」と言わしめた個性派俳優の加藤諒が、主人公・パタリロを演じている。
衛星劇場では、同月に、舞台『パタリロ!』の劇場版(2019年)と、<アニメ映画>「パタリロ!スターダスト計画」(1983年)も放送される。
舞台『パタリロ!』(2016)
©魔夜峰央/白泉社
[放送日] 8月22(日) 後4:30~
[演出]小林顕作
[脚本]池田鉄洋
[原作]魔夜峰央
[出演]加藤 諒/佐奈宏紀/細貝 圭、金井成大、石田 隼、吉本恒生/青木玄徳、他
[概要]1978年より連載中の魔夜峰央氏の人気作品「パタリロ!」。30年以上に渡って愛される本作が、2016年12月に衝撃の舞台化を遂げた。今を時めく超・個性派俳優、加藤諒が主人公・パタリロ殿下を演じ、美少年かつ実力派の俳優陣が脇を固める。展開予測不可能!舞台「パタリロ!」、ご堪能アレ!(2016年12月8日~12月25日 紀伊國屋ホール)
舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★(2018)
©魔夜峰央/白泉社
[放送日] 8月22(日) 後6:15~
[原作]「パタリロ!」魔夜峰央
[脚本]池田テツヒロ
[演出]小林顕作
[出演]加藤 諒/佐奈宏紀/小林亮太/細貝 圭、金井成大、石田 隼、吉本恒生、蒼木 陣/佐藤銀平、吉川純広、富岡晃一郎、三上陽永、柴 一平、香取直登、掛川僚太、大澤信児/三津谷 亮/青木玄徳
[概要]美少年によるお耽美なハチャメチャワールドが衝撃の舞台化!第2弾は広大な銀河へ!
1978年より連載中の魔夜峰央氏の人気作品「パタリロ!」。40年に渡って愛される本作の舞台化第2弾!持ち前の“美しさ”と唯一無二のキャラクターで殿下を体現した加藤諒はじめ、美少年かつ実力派の俳優陣が全員続投。さらに新たな美少年たちも登場。抜群のギャグセンスとダンス、歌で魅せる耽美な世界を、ゴ堪能アレ!(東京公演:2018年3月15日~25日 天王洲 銀河劇場/大阪公演:2018年3月30日~4月1日 森ノ宮ピロティホール ※2018年3月21日の公演を中心に編集しております。)
舞台「パタリロ!」~霧のロンドンエアポート~(2021)
©魔夜峰央/白泉社 ©舞台「パタリロ!」製作委員会
[放送日] 8月22(日) 後8:15~ ※テレビ初放送
[原作]「パタリロ!」魔夜峰央(白泉社刊)
[脚本]池田テツヒロ
[演出]小林顕作
[出演]加藤諒、宇野結也、後藤大、川上将大、原嶋元久、田口司、佐川大樹、大久保樹、江本光輝、中田凌多、星豪毅、奥田夢叶、小沢道成、中村中
[概要]1978年より連載中の魔夜峰央氏の人気作品「パタリロ!」の舞台化作品。今を時めく超・個性派俳優、加藤諒が主人公・パタリロ殿下を演じ話題となった舞台「パタリロ!」が主人公・パタリロ殿下以外のキャストを一新し、またまた奇想天外な嵐を巻き起こす!?今度の舞台は、霧のロンドンエアポート。新生舞台「パタリロ!」の幕が上がる!!(2021年1月21日~1月31日 天王洲 銀河劇場)
劇場版「パタリロ!」(2019)
©魔夜峰央・白泉社/劇場版「パタリロ!」製作委員会2019
[放送日] 8月6(金) 前11:00~ほか
[原作]魔夜峰央「パタリロ!」(白泉社刊) [脚本]池田テツヒロ [監督]小林顕作
[出演]加藤諒、青木玄徳、佐奈宏紀、細貝圭、金井成大、石田隼、吉本恒生、三津谷亮、小林亮太、松村雄基、近江谷太朗、木下ほうか、池田鉄洋、須賀健太、鈴木砂羽、西岡德馬、魔夜峰央、哀川翔
[概要]1978年の連載開始から40年以上も愛され続けているギャグ漫画として、シリーズ累計発行部数が2500万部を超える魔夜峰央原作の超人気作品「パタリロ!」。原作者自身も「実写化は不可能」と語っていたコミックが、2016年に2.5次元ミュージカル化された際は、奇想天外なストーリーやパタリロに扮した加藤諒のキャスティング、美少年・実力派俳優たちの出演などが大きな話題となった。それから3年、今度はその圧倒的な世界観と面白さが映画となって繰り広げられる!舞台のアナログ感と、映像化ならではのVFXが融合して、“見たことはあるけど、観たことのない”パタリロ!ワールドが展開。
<アニメ映画>パタリロ!スターダスト計画(1983)
©魔夜峰央・白泉社/東映アニメーション
[放送日] 8月3(火) 後6:30~
[原作]魔夜峰央 [監督]西沢信孝 [脚本]田波靖男
[声の出演]白石冬実、池田昌子、曽我部和行、小林清志、藤田淑子
[概要]気も狂わんばかりの破壊的ギャグと妖しい少年愛の世界を描いて圧倒的人気の“パタリロ”。スターダスト計画は、地球から宇宙までのロマン・アドベンチャー。
世界各地でダイヤの盗難が相次ぎ、ついにマリネラ王国のコレクションまで奪われた!しかし、ここで泣き寝入りするようなパタリロではないっ。MI6腕利きのバンコランを引き連れて掴んだ真相とは・・・?!広大無辺の大宇宙を舞台に、愛と嫉妬と物欲に駆り立てられた凄まじい戦いが始まる!!
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2021年6月からスタートした<TRUMPシリーズ>Blu-ray Revival発売記念連載『TRUMP解体新書』。この連載では、6月から毎月1タイトル、8か月連続リリースする舞台<TRUMPシリーズ>について、毎月1回、全8回、脚本・演出の末満健一さんのインタビューと共にたっぷり、じっくり振り返っていきます。
Vol.1では【入門編】をお届けしましたが、Vol.2となる今月からは末満さんのインタビューに突入。まずは、末満さんの死生観が色濃く反映された<TRUMPシリーズ>の【哲学】についてお話をうかがいました。
■出発点は「作品性」と「商業性」の両立
――<TRUMPシリーズ>1作目であるピースピットVOL.9『TRUMP』(’09年11月@大阪・in→dependent theatre 2nd)は、末満さんが関西小劇場で活動されていた時期につくられた作品です。当時、関西小劇場全体で観客動員が減少傾向にあり、「もっとお客さんに興味を持ってもらいたい」というところから生まれたのだそうですが、なぜこういう作品になったのですか?
小説や漫画では「ヒット作」と言われるものが出てきて、その後メディアミックスへと拡大していくという流れが珍しくありません。一方で、演劇で一次作品としてのヒット作は、全くないわけではありませんがなかなか聞かないですよね。特に『TRUMP』の初演をやっていた頃は、そういうことを意識したつくり方もある種邪道というか、「媚びている」「不純だ」みたいな雰囲気がありました。ただ、2009年頃の関西小劇場って800~1000人くらいの集客で「人気劇団」と言われるような状況で、さらにそれも縮小傾向にあり、当時は演劇仲間で顔を合わせれば「お客さんがいなくなってきている」と話していました。でも同じ頃、それこそ大きな規模のミュージカルやアイドルのコンサートだったりは、何万人、何十万人とお客さんを集めていた。つまり、エンタメを楽しむ人がいなくなったわけじゃないんですよね。なのに僕らは集客努力をせずに、「いなくなった」と環境のせいにしているような気がして。ただもちろんそれは集客のために作品性を変えるということではないし、各々のクリエイターがやるべき作品をやるべきだと思います。
末満健一
その中で、僕はそれを「両立できないだろうか」と考えました。「やるべき作品をやる」と「それでお客さんも呼ぶ」、つまり「作品性」と「商業性」を両立させることはできないのかということです。集客効果を役者の人気に頼るでもなく、コンテンツの力でお客さんを呼べないだろうかと。それはチャレンジしてみるべきだと思ったので、今はどういったものが求められているのか、ターゲット層はどこにいるのか、どういう年齢のどういう職業の方が劇場に足を運ぶのか、などをリサーチしました。と同時に、ただお客さんにすり寄っていくだけじゃなくて、そこに作家としてのアイデンティティを込めた作品づくりもやっていこうとしました。それが『TRUMP』の出発点です。
■「これが最期かもしれない」――”死”に対する対抗手段が唯一”演劇”だった
末満健一
――末満さんの作家としてのアイデンティティというのはどういうものですか?
僕は作家としては、村上春樹さんや手塚治虫さん、いろいろな方に影響を受けています。特に手塚治虫さんの影響は強くて、定期的に『火の鳥』を読み返しているのですが、その都度、重たい気持ちになったり、自己を顧みたり、凹んだり、暗くなったりする。僕にとっては生半可には向き合えない作品です。
自分でもこんな作品をつくってみたいということは常々思っていて、『TRUMP』は『火の鳥』から自分が受け取ったものを解体して再構築するならどんな作品ができるのだろうか、というところから生まれました。だからシンプルなんです。「生きる」ってどういうことなのか、「命」ってどういうことなのか、「自己認識」ってどういうことなのかを、演劇というジャンルで突き詰めていった作品です。
――そのシンプルな部分についてもう少し詳しく聞きたいです。
誰しも死生観があると思うのですが、僕はそれに囚われすぎているんです。毎日、「5秒後に突然死してしまうのではないか」「寝たらもう目が覚めないんじゃないか」という恐怖がある。だから常に憂鬱ですし、夜も「これが最期かもしれない」と思うとなかなか寝られません。特にきっかけがあったわけではないのですが、高校生の頃からずっとそうで、その恐怖が24時間365日、日常というものに色濃く併存していて、毎日が今際の際のような感覚です。
「生きる」という現象が、「生まれる」という現象により始まって「死」という現象により終わるってことが決定づけられている中で、人はそれぞれ楽しんだり、しあわせを望んだりしていますよね。でも僕は、いわゆる「楽しむ」みたいなことをあまり経験したことのない人間で。例えば友人がたくさんいるであったり、旅行に行くであったりといった、今生の悦楽の少ない人生を送ってきました。そういう「楽しむ」が少ない自分が「死」という現象に対する対抗手段は、演劇しかなかったんですよね。だから、演劇が好きということがスタートではないんです。演劇を楽しいと思ったこともあまりないですし。
『TRUMP-REVERSE-』(撮影:渡辺マコト)
――楽しいと思ったことがないですか。
根本的にはないですね。もちろん小さな楽しいはあるんです。「今の役者の芝居よかったな」とか「稽古の進行が滞りなくいったな」とか(笑)。そういうのはあるんですけど、根本的には、楽しい・楽しくない、とかじゃなくて、どこまで深く潜れるかに挑戦しているというような。潜水に近い感じ。息苦しいです。
――「死」への対抗手段で、どこまで深く潜れるかに挑戦するんですか?
潜っていけば、なにかしら「人生」や「死」を受容できる答えに辿り着けるんじゃないか、というような感じです。だから「探している」「辿り着きたい」という感覚はすごく強くて。じゃあそれでどこに辿り着きたいんだとか、なにを見つけたいんだってことはわからないんです。深く潜って潜って、自分でもなにを探しているのかわからないものを探している、という作業を繰り返しているだけです。それで、「どうせだったら人を楽しませながらそれを探したいな」と思い、演劇や物語という方法をとっています。でも割とみんなそうだと思うんですけどね。例えば格闘家なら強くなることでそれを追い求めているのかな、とか。
■<TRUMPシリーズ>は、ほぼほぼ全部ハッピーエンド「そこに生きる意味はなかったのか」
『グランギニョル』
――『TRUMP』では「生きる」とか「死ぬ」とかが割と直接的に描かれていますよね。そこは末満さんの今思うことがそのまま描かれているのでしょうか。
はい。そこは割と剥き身で出しています。もちろん「ゴシックファンタジー」というオブラートに包んではいるんですけど、割と、素材そのままお出ししている感はあります。
――事前に「今回はこれが表現したい」みたいなことは考えるのですか?
「これを表現したい」みたいなものはないです。「今回はミュージカルにしたいな」とか「会話劇でいきたいな」とかはあるんですけど、「こういうテーマに着地したいな」もなくて、毎回書きながら探しているような感じです。僕はプロット(物語の骨組み。あらすじのようなもの)を立てないと書けない人間なので、それは事前につくるんですけど、あくまで大雑把な地図であって、「実際に現地に行ってみたらガイドブックで見ていたのとは全然違うよね」っていうのと同じで、実際に書いてみるとやっぱりプロット通りにはいかない。だから『グランギニョル』にしても『マリーゴールド』にしても最初から「悲劇にしてやるぞ」と思って書き始めたわけではないんです。
――とんでもない悲劇に……。
結果的に悲劇になって。「なんでこんな悲しい物語になってしまったんだ」って(笑)。『マリーゴールド』の時は、脚本を書き終わった瞬間に自分でも「ひどい話だ……」とつぶやいてしまいました(笑)。でも、ただひどい話をつくるのが目的ではなくて、死であったり孤独であったり、そういう自分の中にある……なんでしょうね、なにかそういうものが方位磁石となって、それが導く通りに進んでいったらそうなってしまった。だから、悲しい物語をつくってやるとかいう動機はないんですよ。願わくばみんな幸せになってほしいわけです。登場人物もそうだし、観てくださる方もそうだし。
『マリーゴールド』
――<TRUMPシリーズ>は、一見とんでもない悲劇であっても救いがあるように思います。死んでしまう人も、よくよく観ると本当の絶望の中で死んでいく人は少なかったりしますし。
そうですね。せめてどこかに救いがあればいいんですけど。さっき僕も「結果的に悲劇的になって」と口にしたし、お客さんも「悲劇」として受け止めてくれていると思うんですが、実のところ、僕は<TRUMPシリーズ>はほぼほぼ全部ハッピーエンドだと思っているんですよね。大局的な視点からすると。
――末満さんは以前もその発言をされて、波紋を呼んでいましたよね。
(笑)。僕としては、人はいずれなんらかのカタチで死ぬわけで、その死を「悲惨である」とするのは救われないと思うんです。世の中には理不尽の中で亡くなってしまう方もいらっしゃいますが、それも「かわいそう」で終わらせたくない気持ちがある。じゃあその人は運が悪かったのか、人生は不完全だったのか、生きる意味がなかったのか、みたいなことをもう一段高い視点から見て、なんとか肯定できないかと。結局僕は、自分が生きている世界だったり、命っていうものを肯定したいんですよね、おそらく。だからすべて命の肯定の物語なんです。ただなかなか伝わりませんけど(笑)。
■<TRUMPシリーズ>の終わり方は決まっている
末満健一
――明日目が覚めないかもしれない、死ぬのが怖い、と毎日思っている末満さんがこの作品を書くのは、自分のためなんですか?
どんな人でも自分のためにならないことはしないと思うんですけど、でも誰かの救いになればいいし、誰かを浄化できたらいいなとも思っています。作品によって救われる人がいればいいなっていうところですね。自分という存在もそれで救われればいいなと思います。
――以前、<TRUMPシリーズ>は作品を通した思考実験だともおっしゃっていましたが、その実験で末満さんになにか変化はありましたか?
死生観って固いので、なかなかカタチは変わらないですが、なんらかは変わっているんじゃないかと思います。明言することはできないですが。ただ、探すという作業において「もう見つからないな」とか「探しても無駄だな」ってところにはいってないので、まだ探したいですね。多分なにも見つからないまま終わっていくんだと思います。
――なにも見つからないまま。
でも<TRUMPシリーズ>に関しては、終わり方は決まっているんですよ。
『TRUMP-REVERSE-』(撮影:渡辺マコト)
――(公演パンフなどに掲載されている)年表に書かれている終わり方ですか?
そうです。そこに至る具体的な物語は決まってないですが、ラストシーンというか、閉じ方だけは決まっています。あとはそれをちゃんと描けるだけの筆力を養いたいですね。
――今はまだ書けないですか。
ちょっと足りない。書こうと思えば書けるんですけど、じゅうぶんなものとして書ける自信がないです。
――終わりはいつ考えたのですか?
演劇女子部 ミュージカル『LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-』(’14年6月)の後くらいかな。ふと頭に浮かんだんですよ。知人と「ハマグリ食べ放題の店に行こう」って、お店で待ち合わせしていたんですけど、駅から徒歩5分くらいのお店なのに方向音痴で道に迷って1時間くらい彷徨ったんです。その迷子になってる時に、脈略なく思いつきました(笑)。「あれ? こうやったら終われるな」って。多分これ、「どうやって終わらせたらいいんだ」と考えていたら思いつかないんです。意識の隙をついてふっと浮かんできたんですよね。そんな経緯なので、僕にはそれが啓示のように思えてなりませんでした。その時に考えていたのは「早くハマグリ食べたい」でしたけど(笑)。
――<TRUMPシリーズ>はハマグリに縁がありますね。
ハマグリとは縁が深いですね(笑)。コミック版を描いてくださっているのは はまぐり先生ですし、Dステ版『TRUMP』でも荒井(敦史)のハマグリのネタが脳裏に焼きついています(笑)。
インタビューは来月に続きます。次回は、末満さんご自身に迫るお話です。
取材・文=中川實穗 撮影=iwa
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2021年8月4日 (水) ~2021年8月9日 (月・祝)築地ブディストホールにて、ACTOR'S TRIBE ZIPANGプロデュース舞台『シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ~』が上演される。
幕末に来日し、長崎出島の地より多くの弟子を育て日本に西洋医学を広めたフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト。その業績は医学に留まるところなく世界に広がるシーボルトコレクションと共に様々な研究分野で活かされた。
しかし日本を愛する蒼い目のサムライの遺志は、2人の息子、兄アレキサンデル、弟ハインリッヒに引き継がれ、彼らが日本を世界の一等国にすべく維新志士たちと共に数々の危機を乗り越えていったことはあまり知られていない。
本年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一に大きな影響を与えた存在であるシーボルト兄弟に注目が集まっており、父・シーボルトは、再来年の2023年に来航200周年を迎え、シーボルト父子研究も再沸騰、本舞台も昨年の好評を受け再演となった。
主役のハインリッヒ・シーボルトは、つかこうへい門下にして、2002年準ミスインターナショナルの鳳恵弥、兄のアレキサンデルにはアカデミー賞新人俳優賞、忍風戦隊ハリケンジャーの塩谷瞬、大シーボルトことフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトは、渡辺裕之が演じる。
一部Wキャストで[誇]チーム、[愛]チームで上演。今回の再演から、バッファロー吾郎の竹若元博や遊戯王の宮下雄也、若井おさむなど、多彩な共演陣も加わり、総監修は木村ひさし、演出は中野敦之、主題歌を含めた劇中音楽は爆風スランプのパッパラー河合が手掛ける。
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『ボリショイ・バレエ inシネマ』が、今シーズンも2021年8月27日(金)を皮切りに、Bunkamuraル・シネマにて限定上映される。
ロシアの名門『ボリショイ・バレエ団』のステージを、本拠地モスクワの劇場で鑑賞しているような臨場感溢れた公演映像と、本企画ならではのバックステージインタビューを上映。幕間の出演者インタビューは、ボリショイ劇場に足を運んでも視聴できない貴重なもので、ラインナップの7作品はどれも圧倒的な名演ばかりだ。
上映タイトルは下記のとおり。
《椿姫》 8/27(金)、9/4(土)、9/12(日)
音楽:フレデリック・ショパン 振付:ジョン・ノイマイヤー
出演:スヴェトラーナ・ザハーロワ(マルグリット)、エドウィン・レヴァツォフ(アルマン)、アンナ・チホミロワ(マノン)、セミョーン・チュージン(デ・グリュー)、クリスティーナ・クレトワ(プリュダンス)、ミハイル・ロブーヒン(ガストン)、アンナ・アントローポワ(ナニーナ)、アンドレイ・メルクリエフ(デュヴァル氏)、ダリーヤ・コフロワ(オランピア)
[2015年12月収録]
《ラ・バヤデール》 8/28(土)、9/5(日)、9/10(金)
音楽:レオン・ミンクス 振付:ユーリー・グリゴローヴィチ
出演:オルガ・スミルノワ(ニキヤ)、アルテミィ・ベリャコフ(ソロル)、オルガ・マルチェンコワ(ガムザッティ)、ダヴィッド・モッタ・ソアレス(イドル・ドレ)、アレクセイ・ロパレーヴィチ(ラジャ)
[2019年1月収録]
《眠れる森の美女》 8/29(日)、9/3(金)、9/11(土)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー 振付: ユーリー・グリゴローヴィチ
出演:オルガ・スミルノワ(オーロラ姫)、セミョーン・チュージン(デジレ王子)、アレクセイ・ロパレーヴィチ(悪の精カラボス)、ユリア・ステパノワ(リラの精)、ヴィタリー・ビクティミロフ(侍従長)
[2017年1月収録]
《コッペリア》 8/30(月)、9/7(火)、9/15(水)
音楽:レオ・ドリーブ 振付:セルゲイ・ヴィハレフ
出演:マルガリータ・シュライネル(スワニルダ)、アルチョム・オフチャレンコ(フランツ)、アレクセイ・ロパレーヴィチ(コッペリウス)
[2018年6月収録]
《パリの炎》 8/31(火)、9/8(水)、9/16(木)
音楽:ボリス・アサフィエフ 振付:アレクセイ・ラトマンスキー
出演:マルガリータ・シュライネル(ジャンヌ)、デニス・サーヴィン(ジェローム)、イーゴリ・ツヴィルコ(フィリップ)、セミョーン・チュージン(ボールガール侯爵)、アナ・トゥラザシヴィリ(アデリーヌ)、クリスティーナ・クレトワ(ミレイユ)、アルチョム・オフチャレンコ(アントワーヌ)、イリーナ・ズィヴロワ(老女ジャルカッス/乳母)
[2018年3月収録]
《くるみ割り人形》 9/1(水)、9/9(木)、9/13(月)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー 振付:ユーリー・グリゴローヴィチ
出演:マルガリータ・シュライネル(マリー)、セミョーン・チュージン(くるみ割り人形)、デニス・サーヴィン(ドロッセルマイヤー)、アレクサンドル・ヴォドペトフ(ねずみの王様)
[2018年12月収録]
《ロミオとジュリエット》 9/2(木)、9/6(月)、9/14(火)
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ 振付:アレクセイ・ラトマンスキー
出演:エカテリーナ・クリサノワ(ジュリエット)、ウラディスラフ・ラントラートフ(ロミオ)、イーゴリ・ツヴィルコ(マキューシオ)
[2018年1月収録]
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映画『ブラック・ウィドウ』が7月8日(木)に映画館で公開、7月9日(金)よりディズニープラスのプレミア アクセスで配信がスタートし、初週末に全世界230億円の売上を記録したことがわかった。
(C)Marvel Studios 2021
『ブラック・ウィドウ』は、マーベル・コミックの人気キャラクター“ブラック・ウィドウ”を主人公とする映画。『さよなら、アドルフ』『ベルリン・シンドローム』のケイト・ショートランド監督がメガホンをとった作品だ。元ロシアのスパイであるブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは、S.H.I.E.L.D.のエージェント、そしてスーパーヒーローチーム・アベンジャーズの一員として、『アイアンマン2』(2010年)から、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)まで、計7本のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品に登場している。ブラック・ウィドウ初の単独作品である本作には、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)のほか、レッド・ガーディアン/アレクセイ役のデヴィッド・ハーバー、ローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズらが出演。これまで描かれなかった、ブラック・ウィドウの過去と秘密が描かれている。
本作は、日本では7月8日(木)に全国266館・576スクリーンで公開。初週4日間で興行収入は約3億5,978万円、動員数は234,831人を記録した。週末の2日間では、興収約2億1,885万円をあげ、140,819人を動員。週末ランキングでは3位につけている。
また、全米では7月9日(金)に公開を迎えると、3日間の興行収入は8,000万ドル超えを記録し、週末ランキング1位のスタートを切っている。また、他アジア諸国でも、オーストラリア、香港、シンガポール、韓国など世界44ヶ国で週末1位を記録。US国内興収88億円、US以外の国の興収で86億円、ディズニープラスプレミア アクセスの売上66億円を記録し、全世界で230億円を売り上げている。
映画『ブラック・ウィドウ』は、7月8日(木)より映画館、7月9日(金)よりディズニープラス プレミア アクセスにて公開中。
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イタリア・オペラの巨匠ジュゼッペ・ヴェルディ最後の作品にして(若い頃の一作を除けば)唯一の喜劇《ファルスタッフ》は、ヴェルディが自らの芸術を極めた傑作として知られている。原作はシェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』だ。
東京文化会館で2021年7月16日(金)に始まる公演の初日組でファルスタッフ役を歌うのは、近年、数多くのオペラに主演し注目を集めているバリトン、今井俊輔である。
――前回の上演は創立50周年、今回は70周年と二期会でも大切な節目の年に上演されてきた《ファルスタッフ》です。題名役に決まった時にはどう思われましたか?
《ファルスタッフ》にはファルスタッフとフォードという二つのバリトンの役があります。師事しているイタリアの先生に相談したところ、イタリアで歌うならフォードかもしれないけれど、日本で歌うなら声の重さを考えたらファルスタッフ役がいいのでは?と言われました。自分で自分の声はよく分かりませんが、音色がちょっと暗め、というか深い色のイメージがあると言われることがあるんです。それでファルスタッフを勉強してみようと。そして、出演が決まって先生に報告したら、二期会デビューが2013年のヴェルディ《マクベス》の題名役、今度は《ファルスタッフ》で、バリトンのキャリアとしてはもう終点ね、って言われました(笑)。
――確かに、普通はもっとベテランの方が歌うことが多い印象ですね。
今、42歳なのですが、正直この役をもらえるとは思っていなかったです。やはり《ファルスタッフ》はヴェルディの最後の作品ですし、曲も音楽性も宇宙的な広がりを持っている。ですからやはりもう少し色々なヴェルディのオペラを勉強してから取り組めるのが一番良かったのかなとは思います。でも、実際にやってみるとすごく楽しく、納得しながらリハーサルしています。上演が多い演目ではありませんし、二期会の大きな舞台で歌わせてもらうのは名誉なことですからしっかりやっていこうと思います。
――ロラン・ペリー演出のプロダクションはどのような舞台になりそうですか?
今回の演出は現代に設定されていて、やはり目からのイメージが入ってきやすいと感じます。《ファルスタッフ》は現代的な演出とマッチする作品だと思いますし、ヴェルディの音楽、演劇的な部分、そして演出的な部分と、三つ全てが楽しめるのではないかなと。オペラは難しそうだとためらっている方に、クラシック音楽とかオペラという垣根を外して観てもらえる舞台になっているんじゃないかと思います。
――ファルスタッフは身分が高い騎士だったのに落ちぶれてしまい、年齢もかえりみず、二人の人妻にいっぺんにラブレターを出すという強者ですよね。
そうですね。自分が最高にかっこいいと思っていて、例えば、鏡を見て、おお、なんかいいねぇ!ってなって「あそこにいるイケメンは誰だ?あ、俺だ!」みたいな演出があります(笑)。頭もおっきければお腹も大きい、その存在感にぜひ触れてもらいたいですね。
――それは楽しそうです!《ファルスタッフ》は言葉と音楽の使い方がとても洗練されていますよね?
しゃべるように歌うところが多いですね。ヴェルディはもう自分のやりたいことだけを追求しているというか、自分の昔使っていた技法を皮肉ってみたり、楽しんで色々な音楽を混ぜていますね。80歳少し前に書いたオペラですが、エネルギーに満ちあふれている作品です。最後は「この世は全て冗談さ」と。最強ですよね。
――舞台で演じる方は大変なことも多いと思いますが、観客にとってはすごく面白く楽しめる作品という気がします。
心の栄養どころではなく、身体ごと充実させてくれる何かがこの音楽にはあると思います。僕はあまり神秘的なことを言うタイプではないんですが、ファルスタッフを歌っていると、元気になってくるというか、自分の声が潤ってくるので、あまり辛いとか大変だということはないですね。なんだか歌えば歌うほど健康になるんじゃないか?というオペラなんです(笑)。
――それはすごいですね。歌うということはもちろん基本的には身体にいいと思いますが、でもプロとして歌う時、全ての役がそういう感覚ではないのでは?
オペラは悲劇が多いので、その中に入り込んで演じていると、ちょっと免疫が落ちてくるような影響が来る場合があるんです。《マクベス》を歌った時には大変でした。なんだかあまり食欲がないな、と思ったら10キロくらい痩せてしまったりとか、蕁麻疹がでたりとか。音楽的にも演劇的にもシリアスですし、特に家に帰った後のダメージというか、ズシっと重みが来て。二期会へのデビューでしたから気合も入るし、これで失敗したらどうしよう、みたいなプレッシャーもあったからだと思いますが。
――私が初めて今井さんの舞台を拝見したのは、そのあと数年経って演じられたプッチーニ《トスカ》のスカルピア役でした。歌も素晴らしかったですし、演技も気品があり、しかも悪い奴の怖さもよく出ていて。それでその後、これは最近のことですが、TwitterやYouTubeなどで今井さんの動画を何度も目にしていたのに、初めのうちは同じ方だと気がつかなかったんです。舞台とはキャラクターが違いすぎて。
それはよく言われます(笑)。
――反対にいうと、いかに舞台での演技力がすごいかということでびっくりしました。どうしてあそこまで別人になれるんですか?
そういう風に考えたことはあまりないですが、イタリアで演技の先生に習っていた時によく言われたのは、「舞台に出る前には鏡に演じるキャラクターを映して、その中を通っていくことで役になる。必ず鏡を通過してから舞台に上がれ」と。それは必ずやるようにしています。《トスカ》の場合は、スカルピアは警視総監のキャリア、こういう重さの服を着て、性格は切れ者で賢くてと。礼儀も知っているけれど、自分の欲望に正直で。今回のファルスタッフは、どのくらいの腰回りで、どのくらいお金がなくて、実は恋をしていたのか、妄想なのか、など考えながら舞台にいるようにしています。終わった時にはパッと頭を切り替えますが。
――普通の人は、たとえ人物像ができていたとしても、なかなか舞台でそれを体現できないと思うんです。
それは多分、長く水泳をやっていたことも大きいかもしれません。運動神経って筋力のことではなく、表現を合わせる力なんだそうです。例えば、空手でこういう型があったとしたら、じゃあ想像でやってくださいと言われた時、ピタッと同じ型ができるかどうか。やはり発声をするのにも、自分の動かしたい筋肉を動かさないと始まらないですから。身体の動きもそれと一緒で、自分が鏡の中にどう映っているかというのを舞台上できちっとイメージできるかどうか……。
――なるほど。確かにオペラ歌手は頭を使うアスリートという面がありますね。ところで今井さんのYouTubeチャンネル「今チャンTV!」ですが、昨年の3月に始められてからコンスタントに更新し、中には30万、50万回視聴されている回もあります。オペラとは関係ない日常のお話も多く、気楽にどんどん見てしまって気をつけないと危ないチャンネルですね(笑)。続いている秘訣は?
始めたきっかけはやはりコロナでコンサートの予定が中止になってしまったりして、お客様が「コンサートに行かれなくなって寂しい」と言ってくださることもあり、YouTubeのような媒体があれば少しでも交流が続けられるかなと思ったことです。声楽家ってどういう感じなのか知ってもらって、それがオペラを見るきっかけになればいいとも思いましたし。YouTubeを職業にしている人たちへの敬意もあり、動画は残ってしまうものでもあるので、週に2回は更新できたら、と決めて続けています。機材を揃えたり、企画を考えるのも大変ですね。毎日更新している本職の方々は本当にすごいです。
ーー自然なキャラクターがでているのもいいですし、ファンの方たちからのコメントも熱いです。
熱心な方が何人かいらして、ずっとコメントしてくださっていてありがたいです。それに加えてときどき他の方からも。そうやって身近に感じていただけて、そこからじゃあオペラも見てみようかな?と思っていただけたら嬉しいですね。
――最後に、今回の《ファルスタッフ》で共演する皆様について教えてください。
キャストの中で最近共演が多くてよく知っているのはフェントンを歌うテノールの宮里直樹君。《ファルスタッフ》の後も、11月ごろまであちこちで共演が決まっています。まだ若いけれど音楽的にとても優れていて、悔しいなと思いながらいつも勉強させてもらっています。フォードの清水勇磨君も素晴らしい歌い手ですし、体つきも立派で、俺がファルスタッフでいいのかな?と思うくらい(笑)。アリーチェの髙橋絵理さんも色々な現場で一緒になることが多いです。役にピッタリの美しい声。そしてクイックリー夫人を歌う中島郁子さんはうまいですよね。まさに匠の技。昔の巨人軍にいた川相(昌弘)選手のバントくらいうまい!という感じです(笑)。
――例えがスポーツマンすぎてよく分からなくなってしまいました(笑)。キャストの皆さんは、年齢も割と近い感じがしますから雰囲気が合っていいのではないでしょうか?
この演出は動くシーンが多いので、皆と一緒にキビキビした切れ味のある舞台にしたいです。マエストロも若いレオナルド・シーニさんが来日しましたし。
ーー颯爽とした公演になりそうですね。舞台を鑑賞する皆さんも《ファルスタッフ》で、楽しさをいっぱい受け取れますように。
取材・文=井内美香 撮影=長澤直子
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2021年9月2日(木)から9月12日(日)まで紀伊國屋ホールにて上演される、少年社中 第28回公演『DROP』。本公演のキービジュアルが公開され、また、全出演者のイメージビジュアル、集合写真なども掲載された特設サイトがオープンした。
本作は、少年社中の本公演としては2019年『天守物語』以来の、2年ぶりの紀伊國屋ホールでの舞台。早稲田演劇研究会時代の名作をリメイクしておくり、珍しいダブルキャスト体制で行われる。
出演者は、井俣太良ら少年社中劇団員に赤澤燈、橋本真一、森田桐矢、小関舞、後藤萌咲、相馬圭祐、安西慎太郎を迎え、最少人数で最強の10人ずつのチームに分けて上演される。なお、井俣太良と赤澤燈のみ両チームに参加する。
解禁となったキービジュアルは、作品のモチーフとなる卵・迷宮・穴などを組み合わせ、物語への期待が高まるつくりとなっている。
さらに、全出演者18人のソロビジュアルも一挙公開され、それらを使用した公演特設サイトも本日オープンしている。
井俣太良
大竹えり
堀池直毅
廿浦裕介
加藤良子
長谷川太郎
杉山未央
山川ありそ
内山智絵
竹内尚文
川本裕之
赤澤燈
橋本真一
森田桐矢
小関舞
後藤萌咲
相馬圭祐
安西慎太郎
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札幌出身の3ピースロックバンド・ズーカラデルの新曲「未来」が本日・7月14日にリリースされた。
また、「未来」がみずほフィナンシャルグループ企業広告「心の叫び篇」「小さな決意篇」CMソングに決定。 “ここからは僕らのもの”と力強く歌い上げ、観る人すべての背中を後押しするような映像になっているとのこと。
CMでは、大舞台で戦うアスリートの姿を目にして、諦めないことの大切さに気づき、自分自身も前に進もうと決意する主人公の姿を描いている。
あわせて、「未来」のOfficial Lyric Videoが公開された。我喜屋位瑳務によるジャケット写真を、昨年リリースされた「スタンドバイミー」Official Lyric Videoも手がけた海上梓がアニメ化した作品となっている。
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2021年秋にNetflixにて全世界独占配信が決定したアニメ「範馬刃牙」とサントリーの「THE STRONG 天然水スパークリング」のコラボが決定し、WEB動画『強者vs.強者』篇(15秒)『バキバキ名言』篇(15秒・60秒)3本のコラボ動画がサントリー公式YouTubeチャンネルで公開された。
『強者vs.強者』篇(15秒)
『バキバキ名言』篇(15秒)
『バキバキ名言』篇(60秒)
動画は「THE STRONG 天然水スパークリング」とバキを始めとした猛者とのバキバキの勝負を描く、声優陣のボイスもすべて撮り下ろしの新作だ。
木場駅が「バキ駅」に変貌
さらに地下鉄東西線「木場駅」が「バキ駅」になるという交通広告も展開される。コラボ動画の世界観をモチーフに、本来の駅名「木場(キバ)」の表記が、刃牙の強烈なキックによって破壊され、「刃牙(バキ)」駅になる様子を印象的なビジュアルで表現した。
【木場駅】バキ×サントリーポスター (C)板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会
掲出期間 : 2021年7月14日(水)~7月20日(火)
設置場所 : 東京メトロ・東西線 木場駅
※駅係員へのお問い合わせはご遠慮ください
ポスターは7月20日まで掲出されるので、見に行ってみよう。
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2022年2月4日(金)~2月14日(月)新国立劇場にて、舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation』の上演が決定した。2019年2月に上演された舞台『機動戦士ガンダム00』の続編となり、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い延期となっていた公演となる。
原作となるアニメ『機動戦士ガンダム00』は、日本のロボットアニメの歴史を大きく変えたアニメ作品『機動戦士ガンダム』シリーズの一つで、2007年10月からTV放映され、その後も劇場版の公開や2019年の舞台化とさまざまな形で展開し続けている。
2019年2月に上演した舞台『機動戦士ガンダム00-破壊による再生-Re:Build』は、演劇ならではの熱を肌で感じることのできる演出方法でアニメの世界観を表現し、舞台オリジナルの要素を盛り込んだ物語とアニメキャラクターがそのまま表れたようなキャストの演技により、大好評を博した。
続編となる舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation』は、新たなキャストを加え、さらなる熱量と濃厚な物語を創り上げる。
キャストコメント
刹那・F・セイエイ:橋本祥平
『機動戦士ガンダム00』の舞台化ってどうするの?から始まった初演。まったく想像も出来ず、高い高い壁に日々ぶち当たりながら全員で見つけた演劇としての『機動戦士ガンダム00』の形。それが2019年。魂削って挑み、それが実を結んで続編が決まり大いに喜んだ2020年。ですが、無念の中止。必ずしも中止になった公演がまた出来るとは限りません。なので再挑戦させて頂ける事、心より幸せに思います。今回出演が叶わなかったキャストさん含め、座組み一同想いは一つ。
ロックオン・ストラトス:伊万里有
ロックオン・ストラトス役の伊万里有です。本作、延期が決まった時は絶望感があったのですが、絶対またできると信じてましたし、希望の光はちゃんと灯してました。前作は初めてのチャレンジでしたので、初日を迎えるまでワクワクと恐怖感が同時に押し寄せてきました。公演後に『ガンダム00』のファンの皆様が歓喜していたのを今でもしっかり覚えてます。前作のパワーをより倍増して皆様に届ける事が出来る様に、心身共に鍛え抜いておきます。楽しみにしていてください。
アレルヤ・ハプティズム:小坂涼太郎
アレルヤ・ハプティズムを演じさせて頂きます、小坂涼太郎です。昔から人気のある作品『ガンダム00』に携わることができて、とても光栄です。そして今までに共演したことのある方が多いので、また一緒にお芝居できる〜って思うと今からとても楽しみです!前回出演した方たちに圧倒され続けないよう、自分自身、精一杯食らいついて楽しんで演じ、そして最高の舞台になるよう頑張ります!!応援の程、宜しくお願い致します。
ティエリア・アーデ:永田聖一朗
昨年、公演が出来なくなってしまった際リモートで会議をして、悔しい思いやそれぞれの思いの丈を話し合ったのを覚えてます。一人一人のこの作品に対する熱量とか、全員が同じ方向を向いている、素敵なカンパニーだと思います。そして今回延期という形でこの公演が上演出来ること、めちゃくちゃ嬉しいし有難いし、当たり前じゃないことなので必ず届けたいです。前作よりもパワーアップした『ガンダム00』の世界を、更に加わった新たな仲間と共にお届け出来たらと思います!皆さま、是非劇場に足を運んでください。宜しくお願いします。
沙慈・クロスロード:前川優希
出演が決まった時から、嬉しくて楽しみで、頭の中で『ガンダム00』の世界に自分が立っている想像をしました。でも演劇は一人でできるものではなくて、演出、共演者、色々なものが混ざり合って出来上がるものです。ですので僕の頭の中だけで考えても仕方ないな、という結論に達し、作品として動き出すのがさらに楽しみになりました。延期というのはもちろん寂しかったのですが、今世界全体が変わっている、変わろうとしている中でこの作品を上演させていただけることに、意味を感じずにはいられません。世界を変えることは簡単なことでは無いですが、その世界の一部であるという想いを持って、全身全霊で望みたいと思います。
ルイス・ハレヴィ:本西彩希帆
ルイス・ハレヴィ役の本西彩希帆です。私にとってルイスのような女の子を演じるのが初めてだったので、稽古に入る前に延期になった時は、仕方の無いことだと分かっていても本当に悔しくて悲しい思いが強かったです。ですが、もう一度皆さんにお届けできる機会を頂けて、本当に嬉しくて物凄くやる気に満ち溢れています!しっかりとルイスと向き合って彼女の痛みや苦しみ、幸せを共有しながら、一緒に成長できるよう精一杯頑張ります!前作でみなさんが創り上げた素晴らしい作品の1ピースとして、沙慈との物語や他のキャラクターとの関わりを稽古から丁寧に紡ぎますので、みなさんも楽しみに待っていてくれたら嬉しいです。
ミスター・ブシドー:佐々木喜英
『ガンダム』の舞台化があると初めて耳にした時、あの壮絶な戦いを生身の役者がどう舞台上で表現するのだろう…?という驚きと同時に、その未知の世界と、ハードルの高さに心が躍りました。舞台『機動戦士ガンダム00』シリーズに今回初めて参加させていただきますが、先代キャストの皆様の想いをしっかりと背負い、ミスター・ブシドー役として舞台上で命を燃やして参ります。是非、ご期待ください。
リボンズ・アルマーク:赤澤燈
引き続きリボンズ・アルマークを演じさせていただきます赤澤燈です。ガンダムを舞台でどう表現するのかを探りながら、一から文字通り人力で走り抜けた初演。それがカンパニーの力で形になって続編をお届けできる事が嬉しいです。初演では物語を一歩引いたところで見守るような立ち位置だったリボンズが、今回は新しい登場人物と共にどう影響していくのか、されるのか、とても楽しみです。公演延期になって残念ながらご一緒出来なかったメンバーもいますが、今だからできる『ガンダム00』をみんなでお届けしたいと思います。
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- 1. 流れ星☆が昨年、新型コロナウイルスの影響により開催見送りとなった全国ツアー『流れ星☆ 20周年記念ツアーベストネタライブ 絆 ~新ネタもやるんやさ~』を8月1日(日)から全国8カ所にて開催。6月22日(火)に行われた大阪市内の取材会で意気込みを語った。
- 2. ■昨年までは7年連続で夏に全国単独ライブツアーを精力的に開催していた。1年ぶりのライブを前に心境は?
- 3. ■演技力を磨いたちゅうえい
- 4. ■大阪公演への意気込み、YouTubeチャンネル『流れ星TV』にて改名を発表し、「流れ星」改め「流れ星☆」になった
- 5. ■ツアータイトルはカメラマンが命名、今回のライブポスターのコンセプトは
- 6. ■老若男女が楽しめるテーマパークのようなライブに
流れ星☆が昨年、新型コロナウイルスの影響により開催見送りとなった全国ツアー『流れ星☆ 20周年記念ツアーベストネタライブ 絆 ~新ネタもやるんやさ~』を8月1日(日)から全国8カ所にて開催。6月22日(火)に行われた大阪市内の取材会で意気込みを語った。
■離婚ネタも披露!? 過去にヒットしたベストネタを中心に構成。さらに新ネタも披露する
TAKIUE:流れ星☆の集大成といえるライブ。ベストネタをブラッシュアップしてお届けします。YouTubeやTVで見たことがあるというネタも楽しめると思います。この1年は、コロナ禍で世間の常識がひっくり返りました。僕は離婚したり、相方と喧嘩したり……いろいろなことがありすぎたので、だいぶネタに反映されています。離婚のネタは……盛り込みたくなくても盛り込まざるを得ないですね……(笑)
ちゅうえい:ネタ作りは相方に任せています。『ギャグギャグディスコ』という、僕のギャグをお客さんと一緒にコール&レスポンスする恒例のコーナーがあるんです。コロナで声が出せない中、どう変わっていくのか……楽しみにしていてください!
■昨年までは7年連続で夏に全国単独ライブツアーを精力的に開催していた。1年ぶりのライブを前に心境は?
TAKIUE:ふたりともライブをやりたい欲が相当たまっているので爆発できると思います。舞台上でフラストレーションが上手くかみ合えば、大爆笑にもなるし、大喧嘩になる可能性も。最近はYouTubeでネタを見る人も増えていますが、僕たちはイベントやライブでウケるタイプなので、人前でネタができるのは嬉しい。原点に戻るいい機会ですね。
ちゅうえい:最近は、TAKIUEのプライベートでもいろいろあって、コンビ仲も悪いと言われたり。去年ライブができていたら、20周年ということで、「絆」というタイトルがピッタリだったんですが、ここ1年でいろいろありすぎて。最近では、「絆」というとウケるようになりました。そこも笑ってもらえたら!
■演技力を磨いたちゅうえい
流れ星☆
ちゅうえい:初の舞台を経験させていただき、はじめて演技をしました。おもしろかったし、すごく評判がよくて。今後は、相方に演技力メインのネタをお願いしようと思っています。動きは封印しようかな。
TAKIUE:ふざけんな! 相方はもともとカッコつけたい人間なんです。舞台終わってからカッコつけに磨きがかかってる!
■大阪公演への意気込み、YouTubeチャンネル『流れ星TV』にて改名を発表し、「流れ星」改め「流れ星☆」になった
TAKIUE:お笑いをやっていたら、大阪ははずせない都市。昔は怖かったんですが、最近は温かく迎えてくれます。
ちゅうえい:大阪公演は、2カ所目。序盤にお笑いの本場でやらせてもらえるのは、ありがたいことです。このツアーが成功するかしないかの大事なターニングポイントになると思います。ということは……? お客さんわかりますよね? ね? と大阪のお客さんにお伝えしておいてください(笑)。
TAKIUE:TV番組の企画で姓名判断をしてもらって、それがきっかけで改名したんです。僕も以前に、漢字表記からアルファベット表記に改名しているんですよ。でもネットニュースで漢字になっていることが多い。ぜひみなさん覚えてください!
ちゅうえい:その姓名判断で、ひらがなの『ちゅうえい』は、アンパンマン、ピカチュウ、ドラえもんと同じ星の元にある名前だと言われたんです。子どもから人気が出る名前。流れ星☆は僕の名前で20年もってきたようなものだと。これからはステージ上で、ワイヤーで吊られて空を飛んだりしたいですね。コロナが明けたらお客さんの横を飛びたいし、絵本になったりアニメになったりしたい。子どもたちに愛される存在になりたいですね。
■ツアータイトルはカメラマンが命名、今回のライブポスターのコンセプトは
TAKIUE:毎年撮ってくれているカメラマンさんがノリノリなんです。やるならとことんこだわるので、最近はもうタイトルまで決めてくれます。カメラマンさんが撮りたいイメージに合うタイトルになっています。
ちゅうえい:芸能界という戦国時代の中、ふたりだけが味方同士。死ぬときは一緒。20年やりつづけた絆をみせよう――というイメージを考えてくれたんです。でもこの1年でふたりが争うように。今ならこの槍で相方の背中を突き刺すかな!
■老若男女が楽しめるテーマパークのようなライブに
流れ星☆
TAKIUE:漫才を超えたエンターテインメントをみせます! みんなが楽しめるテーマパークのように。アトラクションに乗るみたいな気分で楽しんでほしい。僕たちのライブは舞台を大きく使うことが多いんです。今までは、お客さんの席に降りていったりすることもあったのですが、今はできないので違った演出を考えています。とにかく楽しませます!
ちゅうえい:コロナ禍に観に来てもらうので対策は必要。飛沫が飛ばないように笑い声がおきないネタをします(笑)。老若男女楽しめるライブをめざしています。お笑いに興味のない人もぜひ観にきてほしい。俺らの「絆」を感じにきてください!
最後はちゅうえいがビシっと決め顔をつくって、笑いを誘い、フォトセッションのあと取材会が終了。ツアーは、8月1日(日)の福岡・イムズホールを皮切りに9月25日(土)の東京・山野ホールまで全国8カ所8公演が行われる。会場に行けない人のために、グッズの事前通販も予定。チケットは、最前列の「プレミアムシート」(10,000円/特典会・プレゼント付き)や「親子券(大人+学生)」(6,200円)、「学生券(小学生~大学生)」(2,800円)も販売される。
取材・文・撮影=岡田あさみ
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調布市せんがわ劇場にて2021年9月10日(金) 〜 2021年10月17日(日)に開催される、市民参加演劇『その境を超えて~Beyond the border~』の参加者を募集している。
本イベントは、「境界を超える」というテーマのもと、身体パフォーマンス・演劇公演・講座を実施し、誰でも参加できる内容となっている。
また、ホール演目の演劇公演では、2018年読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した小笠原響と第6回世田谷区芸術アワード“飛翔” 舞台芸術部門など各賞受賞している、若手ホープの一宮周平が演出を手掛ける。
その他、新人Hソケリッサ!のアオキ裕キによる野外パフォーマンス、青年座の根来美咲、フリーの竹内陽子による各種講座を企画している。参加者の受付は、7月25日(日)まで。詳細は公式サイトを確認しよう。
小笠原響
一宮周平
アオキ裕キ
新人Hソケリッサ!
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2021年10月10日(日)~10月31日(日)東京・PARCO劇場(ほか地方公演あり)にて、パルコ・プロデュース 2021『ジュリアス・シーザー』を、女性キャストだけの布陣で上演することが決定した。
本作は、『コリオレイナス』、『アントニーとクレオパトラ』と並んで、ローマ史に基づいて描かれたシェイクスピアの有名な「ローマ劇」のひとつ。男たちの陰謀と策略の渦巻く古代ローマの政治闘争を描いている。今回、女優のみの舞台演出に挑むのは、今年3月に上演された『Romeo and Juliet ―ロミオとジュリエットー』に続いて二本目のシェイクスピア劇となる森新太郎。朋友たちとの友情、師と仰ぐ人物への信頼と憧れ、正義ゆえの裏切りなど、女性が持つパワフルさを存分に生かして、森新太郎がローマ史実を基にした壮大な政治劇を描き出す。
出演者は、映像での活躍も華々しく、近年コンスタントに舞台での出演を重ね、2016年には三谷幸喜演出の『エノケソ一代記』で読売演劇大賞優秀女優賞も受賞している吉田羊が、本作の主人公・ブルータス役を演じる。彼女としては初めてのシェイクスピア劇、PARCO劇場では初主演、そして森新太郎演出初参加となる。
また、俳優業に専心して以来、着実にその実力を高めてきた女優の松井玲奈がシーザーの腹心の部下アントニー役を、そして主に舞台で活動をし、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した実力派松本紀保が、ブルータスの同僚で友人のキャシアス役を、ミュージカル女優として地位を確立しつつ、ストレートプレイでの評価も高いシルビア・グラブが、ブルータスらに暗殺を謀られる古代ローマ王政の独裁官、ジュリアス・シーザー役で参加することとなった。
さらに藤野涼子や久保田磨希、中別府葵ほか、映像、舞台で活躍するベテランから若手まで硬軟取り混ぜた女優たちが大集結し、女優だけのシェイクスピア劇に挑む。
様々なシェイクスピア劇を手掛けてきた演出の森新太郎としても、女性キャストだけで挑むのは初めて。シェイクスピアによる壮大なローマ悲劇を、森新太郎と実力派女優陣がどのように織り上げていくのか、注目しよう。
共和制末期のローマ、紀元前44年3月15日のジュリアス・シーザー暗殺とその後をめぐる物語。
宿敵を破ったシーザーが民衆の歓呼を浴びながら堂々とローマへ凱旋するところから芝居は始まる。
護民官や貴族のなかには、今や対抗勢力のなくなったシーザーに危険な野心を感じるものがいた。キャシアスも、その権力が益々強大になり共和制の伝統を破壊することを危ぶんでいた。そして、市民から厚い信望を得ていたブルータスを仲間に引き入れ、シーザーの暗殺を決行する。
英雄の死に一度は混乱した市民たちも、直後に行われたブルータスの演説に納得するが、シーザーの腹心だったアントニーが弔辞を述べると、今度は逆に反ブルータスへと翻ってしまい……。
吉田羊 コメント
初めてシェイクスピア作品に挑戦させて頂くことになりました。凛として端正な台詞の応酬にクラクラしながらも、ひとたび口にすればありありと人物が浮かび上がるシェイクスピアの表現力に感動もし、演者として携われることに心から感謝する思いです。
今作は、古代ローマの史実を軸に英雄たちの「人間らしい顔」が描かれています。彼らは苦悩し歓喜し、それぞれの守るべきものの為に闘っていて、その姿は、現代の私たちとなんら変わりないように見えます。さらには、男性の戯曲とされるこの物語を、ジェンダーの定義が多様化しているこの時代に女性だけで演じる試みに、大きな意義を感じてもいます。最初は違和感があるかもしれません。けれど固定概念を取り払ったその先には、時代や性別を超えた、「人間」の業や情が見えてくるはずと信じております。
演出の森新太郎さんとは初めてご一緒します。数多くのシェイクスピア作品を手掛けられた方ですので、その胸をお借りしながらアイデアを持ち寄って高め合い、素晴らしい共演者の皆様と力を合わせて、新しいジュリアス・シーザーをお届けできるよう頑張りますので、何卒、応援よろしくお願いいたします。
松井玲奈 コメント
この度『ジュリアス・シーザー』に出演させていただくことになりました。
はじめてのシェイクスピア、憧れのシェイクスピア。とても好きなこの演目に出演できるということを大変嬉しく感じています。
共和制末期のローマ。時代がガラリと音を立てて変わる時。セリフの一言一言からほとばしる
それぞれの熱い信念を真っ直ぐにお伝えするべく、たっぷりのエネルギーでキャスト一同演じきりたいと思います。
松本紀保 コメント
今回新生パルコ劇場にて、このような素晴らしい作品、キャストの皆様と作品を創っていくことができ、
本当に嬉しく、そして本当に楽しみです。
森新太郎さんとは2度目になりますが、そのしつこく熱い演劇魂に喰らいついていきたいと思います。
シルビア・グラブ コメント
まさか私が…
一生で絶対に関わることがあるとは思っていなかったシェイクスピア。しかも、本来ならオール男性でやっていたものをオール女性キャストで上演する。色んな意味で痺れます。恐ろしくもあり、エキサイティングでもあり。私はすでに震えが止まらない!
久しぶりにPARCOで吉田羊さんとの共演、そしてまた新たな共演者との出会いもとても楽しみです。森新太郎さんの熱い指導の元また新たな自分を発掘したいと思います。
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Age Factoryが、新曲「Sleep under star」の配信を開始した。
清水英介は「広がる同じ夜空の下で星のように色々な瞬間や人が朝日を待つように眠りについている。そんな全てを肯定したい、明日へ向かうための答えとなる歌。」とコメントしている。
「Sleep under star」
また、アルバムの先行配信4曲を引っ提げて、東名阪でワンマンツアーを開催することが決定。9月14日に大阪・BIGCAT、21日に愛知・BOTTOM LINE、27日に東京・LIQUIDROOMで実施される。なおイープラスでは、チケットのオフィシャル先行予約を本日・7月14日10:00から7月25日23:59まで受け付けている。
Age Factory ONE MAN TOUR "Sleep under star"
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