中島裕翔「この役で何か見つけられるものがあるんじゃないかと思う」~PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ひげよ、さらば』が開幕

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2023年9月9日(土)PARCO劇場にて、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ひげよ、さらば』が開幕した。初日公演に先駆けて行われた公開ゲネプロより舞台写真と出演者、脚本・演出の蓬莱竜太のコメントが届いたので紹介する。

本公演は、1983年に第23回日本児童文学者協会賞を受賞、1984年から1985年にかけてNHKで人形劇が放送された人気作、上野瞭の「ひげよ、さらば」(初版1982年理論社より出版)を舞台化したもの。

記憶をなくした猫「ヨゴロウザ」がとある峠で野良の隻眼の猫「片目」と出会うところから始まり、そこから始まる愛と裏切りの物語を、猫たちを擬人化して描き出す。

脚本・演出を手掛けるのは蓬莱竜太。音楽で彩るのは稲本響。

本作の主人公、記憶のない猫「ヨゴロウザ」には、中島裕翔。峠に住む隻眼のアウトローで、孤立しつつも皆から一目置かれている「片目」には、柄本時生。臆病な性格で、その場その場で誰の下について生きればいいのかを判断する「学者猫」には音月桂。猫特有の奔放さを体現する「オトシダネ」に忍成修吾。冷静沈着、頭が切れて非道な犬「ナキワスレ」は石田佳央。縄張り意識の強い猫「黒ひげ」には一ノ瀬ワタル。人間の世界に憧れている猫「星からきた猫」には屋比久知奈。マタタビのやりすぎでいつも酔っ払っているような老猫「くずれ猫」には中村梅雀と、個性豊かな面々がリアルな人間ドラマをおくる。

『ひげよ、さらば』舞台写真  (後ろ)中島裕翔(前)柄本時生     撮影:加藤幸広

『ひげよ、さらば』舞台写真  (後ろ)中島裕翔(前)柄本時生     撮影:加藤幸広

本公演は9月30日(土)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、10月4日(水)~10月9日(月・祝)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで行われる。

【あらすじ】
峠に住む野良猫たち、しかしその峠は野良犬たちに狙われていた。
統率力を持って動く犬たちに、勝手気ままに暮らす猫たちが住む峠が支配されるのは時間の問題であった。
そして、猫の「片目」は一匹だけそんな状況に危機感を持っていた。

ある時、峠に記憶を無くした猫が辿り着く。
名前は「ヨゴロウザ」。
自分の名前しか覚えていない。
名前からして飼い猫であったことは推察されるがそれ以外のことは何も覚えていなかった。
「片目」は「ヨゴロウザ」と出会い、野良犬たちと対抗する組織を作るために
「ヨゴロウザ」を峠のリーダーに担ぎ上げようとする。

「片目」は「ヨゴロウザ」のことが気に入り、「ヨゴロウザ」は「片目」を慕った。
「片目」は「ヨゴロウザ」に峠での生き方、戦い方など色々なことを教えていく。
そして、リーダーに求められること、それぞれの猫たちの性格、犬の怖さなど……
頑なな心を持った峠の猫たちも、リーダーシップを発揮していく「ヨゴロウザ」に対して徐々に心を開いていく。

ヨゴロウザと片目が様々な試練を経て、たどり着く道とは……

脚本・演出 蓬莱竜太 コメント

この児童文学は子供のころに読んでとてもワクワクした作品です。
大人の世界を描いていて、猫の姿を借りながら人間社会を描いているともいえる作品で、幼心にちょっと感じた怖さみたいなものが僕の中にはずっとあって、ワクワクだけでなく、ちょっと怖い。
大人になってこの作品を読んでみると、猫の世界でも、犬と猫も終わらない争いを続けている、そういう作品性が現代社会とも通ずるのかなというのもありましたし、猫を人間が演じるのはとても演劇的な面白さなので、この普遍のテーマと演劇の可能性を合わせると面白いというのもあってこの作品を選びました。音楽は稲本響さんにお願いしたのですが、月が象徴的にシーンを彩ってくれているので、少し遠いところから見ているような月からの目線であったり、超然とした遠さから音楽を作ってほしいとオーダーしました。稲本さんには、ピアノを中心に展開するシンプルな音と、そんななかでも情感や冷たさなんかも表現していただいて、見事にお応えいただいたなと思っています。
中島くんが演じるヨゴロウザは、記憶をなくした無地の状態から個性のある猫たちとの交流でいろいろな色に染まっていきます。そんな化学反応を起こしていく中島くんも見どころだと思いますし、最後に自分の色を見つける各々の猫たちの生き方というのがこの作品を面白くしてくれていると思うので、そこも楽しみにしていただければと思います。

出演者コメント

■中島裕翔 / ヨゴロウザ 役
いよいよだなという期待感と緊張といったところです。僕が演じるヨゴロウザは記憶をなくしていて自分が何者かわからず、何になりたいのかもわからず模索していく中でそれぞれの野良猫に翻弄されていく役です。すごく楽しみですし、この役で何か見つけられるものがあるんじゃないかと思います。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズという素晴らしい節目に素晴らしいストーリー、キャスト、スタッフに囲まれ恵まれて 舞台に立てるということが、自分にとって本当に光栄なことです。演劇の面白さだったり色んなエンタメ性が詰まっている 未だかつて見たことのない舞台になると思っているので楽しみにしていてほしいです。観に来てくださる方や応援して下さる方、そしてこの座組のために一生懸命頑張りたいと思います。

■柄本時生 / 片目 役
片目という役をやらせていただいております。あまり本音を言わないというか、隠している過去があって、それをあまりみんなの前ではなるべく出さない、ただずっとそれを抱えていて、それでいて猫たちの社会っていうものに対してすごく何かの疑問というか、なんとなく人間に近い、孤独に対して強い想いがある役をやらせていただいていております。
とても緊張しております。一生懸命頑張って、猫になるように頑張っていきます。よろしくお願いします。

■音月桂 / 学者猫 役
舞台は、お客様の反応を感じながらどんどん育っていくものだと思うので、お客様の反応をしっかり受け取って楽しみながら公演できるといいなと思っています。出演者のみなさんがお稽古中からたくさんチャレンジをしていて、アスリートのように 高みを目指していく方々なので私も色々発見しながら挑戦できたらいいなと思います。 私の演じる学者猫という役へは芯のある強い女性のイメージを持っています。私自身は自分の意見を曲げずに言い切る!ということが少々苦手なので、この猫を演じながら自分も成長できたらいいなって思います。

■忍成修吾  / オトシダネ 役
お稽古に入ってからあっという間で、もう初日かと思っていて通すたびに熱量が上がっていったので自分自身、本番を迎えることをすごく楽しみにしています。
オトシダネという役はとても血筋にこだわりがある猫です。でも追い込まれると少し逃げ癖があるのかなと演じていると思うところもあって。あとは餌をとる能力が優れているようです(笑)。

■石田佳央 / ナキワスレ 役
僕はこの中だと唯一猫ではなく、ナキワスレという名前の犬を演じています。
ざっくりいうと猫に恐れられている犬です。
どう猛さ、戦闘に対するプライドみたいなものを持ちながら、戦うことだけが自分の生き方だという思いを持っている犬なんですが、僕は実はものすごく愛を欲している犬なんじゃないかなと思っています。
一言も噛めないような役ですし、一幕後半からの登場で満を持して出てくる感じがものすごく強いので、噛めないし、ミスできないし、そんなことしたら取り返せないし、なのでド緊張していますが頑張ります。

■一ノ瀬ワタル / 黒ひげ 役
僕が演じる「黒ひげ」っていう猫は、体が大きく 力が強いと思っていて。マウンティングを取ろうとしているんだけど、実は仲間思いなところもある猫だと思っています。今回は野良猫と野良犬の話なんですけど、野良猫大変やな~というのもあって、人間が少しでも猫とか 犬に優しい世界になったらいいなと思って頑張りたいと思います。

■屋比久知奈 / 星からきた猫 役
私が演じる「星から来た猫」という役は、一番つかみどころがない猫ではないかと思います。自由だし、のらりくらりとはしているのですが、ある意味一番ブレないところを持っているのではないかなあと思います。このつかみどころのなさを大事に演じたいと思いますし、お客様がどう感じてくださるのかな、と私自身興味深く思っています。素晴らしいカンパニーの皆さんと 素敵なものを作り上げてきました。お客様の反応を楽しみながら精いっぱい頑張りたいと思います。

■中村梅雀 / くずれ猫 役
「くずれ猫」という役は、若い世代の台頭や、世の中の変化についていけなくて現実逃避からマタタビをやりすぎている、 朝から酒場で呑んだくれている昭和のオヤジのような猫ですが、昔は芯のある生き方をしていたのに、今の奴らは!と思いつつ、嘆きつつ、早く死にたいと思いつつ、何かを求めていたところに、記憶喪失になったヨゴロウザという猫がやってきたことで、希望を持ってしまったのではないかと思います。
ものすごい運動量の作品で、みなさんアスリートっぽく動いててすごいな~と思っています。お客様が入って、お客様のパワーに助けられて、どこまで乗っかっていけるかな?
あとは怪我がないように頑張って、いい千穐楽を迎えられたらなと思ってます。

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2023年9月9日(土)東京・新国立劇場 小劇場にて初日を迎えた、『マーク・トウェインと不思議な少年』。この度、開幕レポート及び出演者コメントが届いたので紹介する。

『トム・ソーヤの冒険』『ハックルベリー・フィンの冒険』『王子と乞食』などの小説に加えて、世界旅行記やエッセーの数々と、アメリカでは今もなお全集が毎年のように出版されている文豪マーク・トウェイン。そんなトウェインが晩年、亡くなるまで何度も改稿を重ね、死後、遺稿を元に出版されたファンタジックなストーリー『不思議な少年』は、16世紀のオーストリアの小村を舞台に、突然現れたサタンと名乗る美少年の巧みな口車に乗せられて不思議な世界へと誘われる少年たちの物語。

撮影:taro

撮影:taro

本作では、劇作家であり演出家であるG2が、トウェイン自らが作家人生を賭けて描こうとしたこの『不思議な少年』をトウェイン自身の人生と交錯させて描き出し、オリジナルストーリーとしておくる。

撮影:taro

撮影:taro

撮影:taro

撮影:taro

本作の語り部であり、サム・クレメンズ(マーク・トウェインの本名)を演じるのは、ドラマ・映画に留まらず数多くの舞台作品に出演する別所哲也。小説『不思議な少年』の登場人物としての少年役を演じるのは、舞台を中心に活躍し、昨年放映されたドラマ『カムカムエヴリバディ』で注目を集めるなど近年活躍目覚ましい平埜生成。サムの妻オリヴィアを演じるのはタレント・モデルとして注目を集め現在は女優として幅広い作品に出演する筧美和子。サムが執筆する自叙伝に登場する若き日のマーク・トウェインを演じるのは、数多くの映像作品でのキャリアに加え、舞台『ジョン王』出演など活躍の幅を広げている白石隼也と、実力派キャストが結集した。

撮影:taro

撮影:taro

なお、本公演は24日(日)まで新国立劇場 小劇場にて上演。その後、9月30日(土)・10月1日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。さらに、9月17日(日)13時、18日(月・祝)13時、21日(木)13時開演の3公演において、上演後に出演者によるアフタートークが決定した。

公演オフィシャルレポート

マーク・トウェインと言えば、『トム・ソーヤの冒険』『王子と乞食』『ハックルベリー・フィンの冒険』など、誰もが人生の中で一度は触れている小説家と言っても過言ではないだろう。1835年に生まれ、ユーモアと社会風刺に富んだ作品で当時もっとも人気のある文豪の一人だった。『マーク・トウェインと不思議な少年』は、トウェインの作品からは感じられない波乱の人生をつづっていく。

さまざまな作風の舞台を手がけ、作家、演出家として確固たる存在感を示しているG2。『マーク・トウェインと不思議な少年』は、トウェインが晩年に改稿を重ね、死後に遺稿を整理する形で出版された『不思議な少年』をはじめとする数々の作品なども借りて、トウェインの人生を読み解いていく。私自身は『不思議な少年』を読んだことはなかったが、16 世紀のオーストリアの小村を舞台に、突然現れたサタンと名乗る美少年の巧みな口車に乗せられ不思議な世界へ誘われる少年たちの物語だそう。
本作はマーク・トウェインこと本名サム・クレメンズ(別所哲也)が、自身のペンネームである“マーク・トウェイン”の自叙伝を執筆しているところから始まる。そして時は遡り、サムが『不思議な少年』の執筆に行き詰まる場面から物語は動き出す。サタンと称する少年(平埜生成)が現れるのだ。

すべては運命と言いながらも、サムを弄ぶような言動をするクールな少年によって、老いたサムは若き日のマーク・トウェイン(白石隼也)と対峙していく。オリヴィア(筧美和子)と出会ったころのマークは、今で言うなら時代の寵児に駆け上がろうとしているような存在。しかし、一方で原稿も講演で話すことも、一部ではウソ満載のペテン師という評価が付きまとう。ある日、マークは旅行記執筆のため乗船した客船に同乗していたリチャードの姉の絵に一目惚れする。それがオリヴィアだった。西部出身で粗野なマークに対し、東部の名家に育った上品なオリヴィア。周囲の反対もあったものの、結婚後、オリヴィアの助けを得ながら手がけた旅行記や小説によってマークは文壇を駆け上がっていく。一攫千金を追うような気質は変わらなかったが、創作に関してはオリヴィアの存在が大きく影響を与えていった。一方で、自分自身でありながら別人格として巨大化していくマーク・トウェインの存在に違和感を抱き始める。劇中ではサムがいつの間にか若きオリヴィアやマークと同じ時代、同じ空間に紛れ込んで、マークと時に手を取り合い、時に反発し合う様は見どころだ。

サムの人生を縦軸に、その奥には「快楽」「愛」「名声」「富」「死」というマーク・トウェインの提示した“五つの恵”を潜ませる。軽妙洒脱に、さまざまな役を演じるアンサンブルの面々によるスピード感、そして思い悩むサムの姿が繰り返し、物語に緩急をもたらす。舞台上で生演奏する吉田能のピアノのメロディが、シーンの彩りをくっきりとさせていた。吉田も電話を開発するグラハム・ベルへの出資を依頼する人物としても登場し、時代も空間も音楽もすべてが舞台上に溶け合っていく。
実は幕開け早々に、サムとマークを支え続けてきたオリヴィアの死が描かれる。しかし、エンディングに向かう流れの中で、再びそのシーンに戻ったとき、サムがオリヴィアへの想いを語るシーンは、愛に溢れ感動的で、改めて本作はラブストーリーでもあったのだと感じる瞬間だ。そこに至るまでの紆余曲折のあるサムとマークの生き様を、ぜひ劇場で一緒に旅してほしい。

取材・文:今井浩一   撮影:taro

出演者コメント

■別所哲也
今はただお客様に早く観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。
この作品の見どころは、僕が演じるサム・クレメンズと最愛の妻・オリヴィア(筧美和子)のラブストーリーです。僕としてはサムとマーク(白石隼也)とオリヴィアの三角関係も見どころだと思っていまして、美しいトライアングルを奏でられたらいいなと思います。そして、初舞台の筧さんの華麗な姿もぜひ皆さんご覧ください。
色々な舞台に立たせていただいていますが、今回は新たな発見があり、小劇場という皆様と近い距離で接することの出来る場となっております。この作品を通じて、大切な人のことを思ったり、自分自身がどう成長していくべきかと皆さんも悩むことがあると思いますが、あの文豪マーク・トウェインも色々な悩みを抱えていたんだなと感じていただき元気になってほしいです。
最後のシャボン玉が舞う素敵なシーンを皆さんと分かち合えたら嬉しいです。

■平埜生成
稽古場ではG2さんをはじめ、スタッフの皆様が最後の最後まで粘って、より完成度の高いものを作ろうという熱量がビシビシと伝わってきました。あとは俳優次第というプレッシャーもあります(笑)。楽しんで真剣に取り組み、良い作品にしていけたらいいなと思います。
大ベテランの別所さんと初舞台の筧さんの掛け合いにキュンとし、そこに切れ味抜群の白石さんが混じるという、3人のバランス感がすごく好きなので、ぜひ注目して観ていただきたいです。時間・空間を超えて物語の中に入ったり、物語の登場人物が飛び出てきたりと、ファンタジックな要素の詰まったポップな作品に仕上がりました。大人から子供まで、そして舞台を観たことのない人にも楽しんでいただける作品だと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

■筧美和子
本格的な舞台が初めてなので、少しでも気を抜くと緊張感に襲われそうになりますが、皆さんと稽古を重ね、想いも重ねてきたので、自信を持って楽しめたらいいなと思います。
稽古を重ねる度に、この物語の印象が変わっていくのが印象的で、観る人によっても感じ方が違うと思うので、それぞれの思いで楽しんでいただけたら嬉しいです。
飛び出す絵本のような作品で、絵本のページをめくるように展開がコロコロ変わるので、そこも楽しんでいただきたいです。
先輩方が「舞台はお客様と一緒に作り上げるものだ」と仰っていて、それを体感できることがとても楽しみです。来てくださる方の想像力、想いをお借りして、皆様と一緒に作り上げられたらと思います。ぜひ遊びに来てください。

■白石隼也
この芝居は場面転換が多く、我々の頭の切り替えが重要なお芝居で、それに追いつくのに時間がかかりましたが、1か月稽古を重ねて、今は自信を持って初日を迎えられます。
今回、僕と別所さんでマーク・トウェインとサム・クレメンズという同一人物を二人で演じます。作家としてのマークと、人間としてのサムが対決する場面があり、同じ人物のなかで対決するという構図が一つの魅力で、他ではなかなかないと思うので、そこが見どころだと思います。
マーク・トウェインはとても尊敬されている偉大な人物ですが、この作品ではそんな作家が人間らしくユーモラスに生き抜いた生涯が描かれています。とても面白い作品になっていますので、ぜひ劇場でお待ちしております。

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ヤングスキニーが今年10月~12月にかけて全国29箇所、30公演を廻る対バンツアー『"老いてもヤングスキニーツアーvol.2”vol.2あったんだ編』を開催する。そのチケットが本日一般発売され、販売開始から即日完売となった。今まで開催してきた自主企画50公演が全公演完売という新たな快挙を達成した。

9月27日にリリース予定のメジャー1st EP『どんなことにでも幸せを感じることができたなら』に収録する楽曲も披露されるかもしれないので、来場予定の方は楽しみにしていよう。

そして新たに、2024年3月~4月にかけて全国11箇所を廻る自身最大規模のワンマンツアー『"老いてもヤングスキニーツアー vol.3" 2度あることは3度ある編』の開催が決定。最終公演は4月26日に自身最大キャパとなる東京・Zepp DiverCityで開催する。

チケットはヤングスキニーオフィシャルファンクラブ「ヤンスキカンパニー」会員限定最速先行の受付が本日9月9日(土)21:00よりスタート。さらに、9月27日にリリース予定のメジャー1st EP『どんなことにでも幸せを感じることができたなら』に、春のワンマンツアーのチケット特別先行に応募可能なシリアルナンバーが封入される。オフィシャル先行に先駆けて先行受付がスタートとなるので、本EPを予約してゲットしてほしい。

 

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『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』を原案とした、舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stageの映画館限定オリジナル編集版「-Cinema Edit-」のシリーズ四作目の上映が決定した。

2023年9月3日から上演され、全ディビジョン集合の大型ライブ公演「-Battle of Pride 2023-」を、「-Cinema Edit-」シリーズ四作目、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Battle of Pride 2023- 【Cinema Edit】として、2024年2月16日(金)から【Dual 3D版】と【3面ライブスクリーン版】で2週間限定上映する。

(C)『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会

(C)『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会

ヒプステは、キングレコード EVIL LINE RECORDSが手掛ける音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(通称:ヒプマイ)の舞台化作品。
ラップバトルや演技に加えて、ダンス、ヒューマンビートボックス、そしてプロジェクションマッピングなどの最新の映像技術が掛け合わされた、圧巻のライブパフォーマンスで多くのファンを魅了している。

そのヒプステの舞台公演の映像を、映画館用にオリジナル編集した「-Cinema Edit-」シリーズですが、これまでと同様、【Dual 3D】と【3面ライブスクリーン】の2種類の体感型スクリーンで上映する。

【Dual 3D版】では、立体感のある3Dで、舞台がまるでそこにあるかのようなリアルな空気感を、【3面ライブスクリーン版】では、7.1chという大迫力の音響とともに、1面では映しきれない舞台演出と各キャラクターの細かな演技を、それぞれ楽しむことができる。

特報映像

2種類の体感型シアターで「ヒプステ」伝説のステージの新たな魅力を体感しよう。

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2023年8月26日(土)・27日(日)オンライン配信にて開催された『SAISON CARD presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’23 ONLINE』(通称:スタクラフェス)。多彩なアーティストが集い、新しい興味の扉を開いてくれる音楽が次々とスピーカーから流れ出す2日間となった。2日間の模様を振り返りたい。

■1日目: “のだめカンタービレCLASSIC” DAY

1日目“のだめカンタービレCLASSIC”DAYは、“のだめ”ファンにはおなじみの楽曲が、茂木大輔指揮、のだめ祝祭管弦楽団と優れたソリストたちによって演奏される企画。間には漫画の名シーンがさしはさまれる仕掛けで、ページをめくりながら頭で鳴らしていた音楽が実際に演奏されてゆくという、ファンにはたまらない配信コンサートとなった。

「のだめカンタービレ名曲集」と題したセクションの幕開けは、小林萌花(BEYOOOOONDS)のピアノソロ。ベートーヴェンの「悲愴ソナタ」2楽章とショパンの「エチュードOp.10-4」が弾き終えられると、“のだめの着ぐるみマングース”初登場に至る漫画のシーン、そして、実際スタジオにはあのマングースが!

小林萌花(BEYOOOOONDS)

小林萌花(BEYOOOOONDS)

マングースが鍵盤ハーモニカで鳴らす「ラ」の音を引き継いで、スタジオのオーケストラがチューニングを始め、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」へ。こういう仕掛けとともに、この日はのだめの世界がたっぷり楽しめるのだろうと期待が高まる。ソリストは角野隼斗。アドリブたっぷり、駆け回る指が粋なフレーズを紡ぎ出し、さらには鍵盤ハーモニカもさしはさんで、まさに漫画で描かれた学園祭のコンサートを彷彿とさせる演奏だった。

ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2楽章」も、“のだめ”から外せない。憂いとほの暗さを帯びたロマンチックな世界観が魅力的で、指揮者を目指す千秋がピアニストの立場から音楽に向き合うストーリーにもってこいの作品だった。ソリストは石井琢磨が務め、冒頭の印象的な和音からその世界に引き込み、ラストにかけて徐々にヒートアップしながらも着実かつ真摯に、丁寧にドラマチックな音楽を構築していく。

角野隼斗

角野隼斗

石井琢磨

石井琢磨

続いて、モーツァルトの煌めく音の玉手箱のような音楽が紡がれる。まずは、大井健と久保山菜摘による「2台ピアノのためのソナタ」第1楽章から。コロコロと転がるように展開していく音の粒たちを、まるで2人でキャッチボールしていくような軽快さだ。最上峰行のソロによるオーボエ協奏曲も非常に魅力的。“のだめ”に登場した黒木くんがのだめに恋をし心ここに在らず……なシーンを思わず連想してしまうが、このステージでは浮かれている状態とはほど遠く安定感があり、その上質な音に身を委ねたくなるような演奏だった。

大井健&久保山菜摘

大井健&久保山菜摘

最上峰行

最上峰行

その他にもこの日は、“のだめ”といえばの有名シーンに関連するレアな場面が。

「のだめカンタービレ 究極の秘曲集」のセクションでは、最初に亀井聖矢がストラヴィンスキー「ペトリューシュカからの3楽章」をピアノソロで披露。冒頭に、あのハラハラの名場面……のだめがコンクールで「ペトリューシュカ」を弾こうとしているのに、「きょうの料理」のメロディが頭から離れなくなって大変なことになるときの演奏と思われるものが、再現されていた(もちろんその後、現実の亀井さんは、改めてちゃんとした「ペトリューシュカ」も演奏)。

亀井聖矢

亀井聖矢

この日、司会進行を務めていたYouTuberでピアニストのBudoもここで演奏を披露。“熱”のある作品を2曲続けて演奏した。まずは、ヴァイオリニストの宮本笑里とのデュオでサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。宮本のずっしりと響く歌心が、非常に魅惑的だ。後半部分にかけて超絶技巧を展開していくが、Budoとの掛け合いもライブならではのヒリヒリ感があり、それがむしろたまらない。Budoはソロでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」も披露。「ツィゴイネルワイゼン」の熱量をそのままに、多少の緩急はあれども終始一貫して勢いを保ちながらベートーヴェンならではの激しさを表現していた。

宮本笑里&Budo

宮本笑里&Budo

MCを務めたBudo。配信開催になったことで急遽任命されたそうだが、スムーズなトーク展開でイベントを盛り上げた

MCを務めたBudo。配信開催になったことで急遽任命されたそうだが、スムーズなトーク展開でイベントを盛り上げた

続くミヨーの「スカラムーシュ」はソリストに上野耕平が登場。それまでのクラシカルな雰囲気を一変させるような軽快でウィットに富んだ楽曲で、なんとも楽しい。第3楽章「ブラジルの女」ではサンバのリズムも登場し、上野がオーケストラと楽しげに顔を見合わせながら演奏する様子も愉快で、聴いているこちらも思わず踊り出したくなる。そして続くニールセンの交響曲第4番「不滅」は、千秋がパリのマルレ・オーケストラの常任指揮者に就任した際に演奏した作品。華々しい作風でオーケストラのTuttiの響きを楽しむのにぴったり。まさに祝祭的なシーンにもってこいだ。

上野耕平

上野耕平

幕間には、TVドラマ版、そしてこの秋にスタートするミュージカル『のだめカンタービレ』でのだめ役を演じる上野樹里がサプライズで登場し、茂木大輔とのトークを繰り広げた。この日、上野は自身がパーソナリティを務めるラジオ『Juri's Favorite Note』の収録を兼ねての参加。その模様は9月に放送される予定だ。

茂木大輔、上野樹里

茂木大輔、上野樹里

「のだめカンタービレ~オペラ編」では、男声ヴォーカル・ユニット「REAL TRAUM」の3人(堺裕馬、高島健一郎、鳥尾匠海)によるレハールの喜歌劇『微笑みの国』から「君は我が心のすべて」と、さらにソプラノの川越未晴、中江万柚子、吉田桃子も加わりヴェルディの歌劇『椿姫』から「乾杯」で華々しくスタートを切る。“のだめ”の「アンコール オペラ編」で登場したモーツァルトの歌劇『魔笛』より、アリアや二重唱などの名シーンがハイライト的に繰り広げられ、作品のまさにオペラの楽しさが詰まりに詰まったステージとなった。

この日最後のプログラムは、「のだめカンタービレ名曲集 パート2」。ドラマ版『のだめカンタービレ』テーマ曲として使用されたベートーヴェンの「交響曲第7番」ももちろん取り上げられ、オーケストラ、そしてベートーヴェンの音楽の持つギラギラとしたエネルギーが伝わる演奏が繰り広げられた。

のだめと千秋先輩の名シーンも回想され、のだめファンがうっとりとしていたであろうところに、ラスト、アンコールではなんとマングースが再びサプライズ登場! マングースの着ぐるみの袖から伸びた手と演奏のタッチで、ファンなら“中の人”が誰かわかったかもしれない。そんなマングース、大井健、Budoが6手連弾に加わり、オーケストラとの共演でラデツキー行進曲が演奏され、のだめの世界にとっぷりつかる初日はフィナーレを迎えた。

 

■2日目:“For the future” DAY

続く2日目は“For the future” DAY。ボーダーレスな活躍をする気鋭ミュージシャンたちが次々登場する1日だ。

1組目は「山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ」。東京芸術大学時代の同級生を中心とした凄腕管楽器奏者集団とヤマカズさんがタッグを組み、“吹奏楽への先入観の破壊(!)”をテーマに活動しているだけあって、その場で生まれる生きたアンサンブルの妙がすばらしい。吹奏楽を勉強する若いみなさんにぜひ聴いてほしい、「セント・アンソニー・ヴァリエーションズ」「たなばた」など、人気曲がヴィヴィッドに奏でられた。

アンコールの「宝島」は、もはや指揮をするというより踊っているヤマカズさんを前にメンバーが生き生きとした音楽を奏で、まさに音も踊っているよう。爆発的なエネルギーとともに閉じられた。

山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ

山田和樹×ぱんだウインドオーケストラ

山田和樹、上野耕平

山田和樹、上野耕平

この日はスペシャルなデュオも目白押し。

「紀平凱成× Special Guest サラ・オレイン」は、ひまわりのようなイエローのドレスに身を包んだサラ・オレインのなめらかな声やヴァイオリンと、紀平の、きらめき、自由に遊び、駆け回るピアノのコラボレーション。紀平はカプースチンと自作品を多く取り上げ、クラシックに限らずジャズやロック、ポップスと、さまざまなジャンルを絶え間なく横断する。リラックスした様子で心底音楽を楽しんでいるような姿が見え、こちらも肩の力を抜きながら、かつエキサイティングに紀平の音を堪能できて楽しい。サラ・オレインが登場すると、映画『戦場のメリークリスマス』より坂本龍一の「Somewhere Far Away」、それに続くカッチーニの「Ave Maria」を披露し、それまで強いビートが流れていたステージには伸びのある声が響き、雰囲気が一変。ヴァイオリンと歌を行き来しながら、紀平と息の合ったパフォーマンスをみせた。

紀平凱成×サラ・オレイン

紀平凱成×サラ・オレイン

「菊池亮太×ござ」による2台ピアノのステージは、クラシックの名曲をベースに、自由自在、ジャンルレスに、予想外の場所に音楽が展開してゆく、即興的かつエキサイティングなステージ。デュオだけでなく、それぞれのソロ演奏も。まずはござが、オリジナルに比べてアップビートで激しさを増しているショパンの「幻想即興曲」の幻想曲を、次に菊池亮太はグリーグやラフマニノフ、ガーシュウィンなどの名曲を連ねた「20世紀前半名曲メドレー」を演奏。緩やかなテンポがオリジナルであるドヴォルザークの「8つのユーモレスク」第7番は、ジャジーな雰囲気で愉快な様相に。圧巻はラヴェルの「ボレロ」。2台だからこそ「管弦楽の魔術師」ことラヴェルが書いたオリジナルの壮大さが体現され、2人の持つパワーが一層作品にエネルギーを与えていた。

菊池亮太×ござ

菊池亮太×ござ

一方、「角野隼斗×亀井聖矢」の2台ピアノのペアは、バーンスタインの「キャンディード序曲」でスタートし、亀井の2台ピアノ編曲による「ダンソン」第2番や、亀井が作曲し角野が編曲した「パガニーニの主題による変奏曲」などを披露。なごやかなトークとともに、計算し尽くされた美とライヴ感が共存する、この二人ならではの音楽を聴かせてくれた。

角野隼斗×亀井聖矢

角野隼斗×亀井聖矢

「新進気鋭の若き才能とオーケストラの共演」では、若いピアニストたちが続々登場。

最初に登場したニュウニュウは、まずソロで「クラシック花火メドレー」と題し、ベートーヴェンの交響曲「運命」から超絶技巧作品が数珠繋ぎになってゆくアレンジ作品を披露。まさに鍵盤から火花が散るようなパワフルな演奏だった。髙木竜馬はラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」を、片手の演奏とは思えないような厚く華麗なサウンドで。その高い技巧性に応えるのはもちろんのこと、ジャズや行進曲などのさまざまな曲風を盛り込んでもなお、ラヴェルならではの冷静さを失わず、エスプリを効かせた演奏を披露していた。それに続くのは、石井琢磨のガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」。彼は前日にラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を披露していたが、そこからはすっかり肩の力が抜け、アメリカならではの陽気さとジャジーな曲風に乗りながら、表情を千変万化させていたのが印象的だった。弾けるような力強いタッチで、曽我大介指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と華やかなステージを届けてくれた。

ニュウニュウ

ニュウニュウ

髙木竜馬

髙木竜馬

石井琢磨

石井琢磨

そしてフィナーレを飾ったのは、「STAND UP ! NEW WAVE ~Produced by 亀田誠治 角野隼斗×挾間美帆 Play with the BIG BAND」。亀田が“音楽界の未来を託したい”と期待をよせる角野隼斗と挾間美帆を引き合わせて実現した企画だ。

挟間によるビッグバンドの楽曲に、ピアニストとして角野隼斗が加わる、ライブ感あふれるパフォーマンス。中でも注目は、ラヴェルのピアノ協奏曲をビッグバンドにアレンジした斬新なナンバーだ。ラヴェルの輝かしい色彩感はそのままに、リズムとハーモニーの遊びはオリジナル以上。原曲のミステリアスな美しさを尊重した2楽章、ジャズの疾走感とともにどこまでも旅に出て、最後にはしっかりとラヴェルの世界に帰着する3楽章。すばらしい才能が手を組んだからこそ成し得た新しい音楽、新しい波を感じる、最高のフィナーレとなった。

亀田誠治、角野隼斗、挾間美帆

亀田誠治、角野隼斗、挾間美帆

2日間、このメンバーがこのコンセプトで集ったからこそ生まれた、数々の音楽との出会いがあった。最後の演奏のあとの「こんな大冒険をさせてもらえて嬉しい」という挟間の言葉、角野の「クラシックではまだまだ新しいことができるんじゃないかと日々思っている」という言葉が、クラシックの魅力を起点にどこまでも冒険をしてみようというこのフェスのコンセプトを、そのまま表していたように思えた。

『SAISON CARD presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’23 ONLINE』は、イープラス・Streaming+にて9月12日(火)23:59までアーカイブ配信中(視聴券購入は9月11日(月)11:59まで)。

取材・文=高坂はる香、桒田萌

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ミュージカル『ラグタイム』日本初演が、2023年9月9日(土)に東京・日生劇場で開幕する。

本作は、20世紀初頭という激動のアメリカを生きる人々の姿を珠玉の音楽に乗せて描くミュージカル叙事詩。1998年のトニー賞ミュージカル部門で13部門にノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞した傑作だ。物語の中心を担うキャストに石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、演出に藤田俊太郎を迎え、世界初演から20年以上の時を経た今、満を持しての日本初演となる。

初日前日に行われたゲネプロと囲み取材の模様をレポートする。

アメリカの移民の9割がやってきたとされる20世紀初頭。差別や偏見が色濃く残る時代を生きたユダヤ人のターテ、黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.、白人のマザーという異なる人種の3人を軸に物語が紡がれていく。

本作が真っ向から人種問題を描いていることは一目瞭然だが、物語の舞台のアメリカと比べて人種的多様性が決して高くはない日本でこのテーマを扱うことは容易ではない。しかし、本作は練り込まれた演出手法によって人種の違いを鮮やかに舞台上に乗せ、さらに分断だけではなく融和の瞬間をも描き出すことに成功していた。

まずわかりやすいのは衣装による区別だ。役者の肌の色を変えるのではなく、身にまとう衣装の色彩を人種毎に変えている。ユダヤ人は影を感じさせる灰色、黒人は色とりどりの原色、白人は純白の白といった具合だ。これは効果絶大で、物語を追っていく中で誰がどの人種なのか迷うようなことはほとんどなかった。また、照明やセットにおいても人種毎のテーマカラーが取り入れられることで、各々の世界観が生まれていた。劇中で3つの人種の人々が入り乱れて歌い踊るシーンでは、衣装のコントラストが映えて視覚的な美しさも加わるという相乗効果も感じられた。観客は冒頭のタイトルナンバー「Ragtime」でその効果を目の当たりにすることだろう。

「ラグタイム」とは、19世紀末〜20世紀初めのアメリカで黒人音楽の影響を強く受けて誕生した音楽のジャンルのひとつだ。主にピアノで演奏され、鋭いシンコペーション(拍子・アクセント・リズムなどの流れを意図的に変えること)のメロディーが特徴とされている。もちろん本作もラグタイムの曲が何度も登場するのだが、シンコペーションが生む独特なリズムは非常に中毒性があり、観劇後は思わず口ずさんでしまう程。

人種の違いを描く手法として、本作では音楽と振付にも工夫が施されている。楽曲には人種の特性を活かした拍子が組み込まれており、時に登場人物の感情の動きに合わせてそれは変化していく。振付は劇中ナンバーでのダンスの振りはもちろん、芝居における動きやリアクションも人種毎に特徴づけられているという。登場人物の仕草を注意深く見ることで、それぞれの文化的背景が感じられる瞬間があるはずだ。ぜひ劇場で確かめてほしい。

3つの人種を中心となって担う登場人物たちを紹介しよう。

ラトビアからアメリカにやってきたユダヤ人のターテを演じるのは、石丸幹二。幼い娘のために差別や貧困と闘いながら泥臭く生き抜こうとする姿は、深い愛と熱い生命力に溢れていた。ユダヤ人が背負ってきた歴史を担う重要な役どころを、丁寧に細やかに演じていることが伝わってくる。ターテは切り絵アーティストでもあり、後に切り絵を発展させたムービーブックから映画の世界で活躍する人物でもある。物語の冒頭や劇中に登場する、切り絵をモチーフにした斬新な演出にもご注目。

新しい時代の到来を夢見る黒人ピアニストのコールハウス・ウォーカー・Jr.を演じたのは、井上芳雄だ。とても正義感の強い青年で、真っ直ぐ遠くを見つめる瞳が印象的だ。どんなにひどい差別を受けようとも己の信念を曲げずに突き進む姿は、時に狂気をも感じさせる。時代に翻弄されながらもがくひとりの黒人の生き様を、豊かな歌声と誠実な芝居で体現していた。

大きな愛で子どもたちを優しく包み込む白人のマザーを演じた、安蘭けい。慈愛に満ちた穏やかな眼差しや美しい立ち居振る舞いが目を引く。裕福で恵まれている人物というだけでなく、ひとりの女性として抱える葛藤が垣間見える瞬間も。孤独や悲しみを知っているからこそ、他者に優しく接することができるのかもしれない。そう思わせてくれる奥行きのある芝居で魅せてくれた。

この3人を取り巻く人物たちも、それぞれ鮮烈な印象を残した。

コールハウス・ウォーカー・Jr.の恋人のサラを演じた遥海は、生まれて間もない我が子を一度は捨ててしまった母親の苦悩を、切ないメロディーと情感たっぷりの歌声に込めた。マザーの弟ヤンガーブラザー役の東啓介は、抜群のスタイルでブルジョワの衣装を着こなし、純粋な青年から確固たる信念を持つ男への変化を緩急ある芝居で表現。

ユダヤ人アナーキストのエマ・ゴールドマン役の土井ケイトは、言葉の力を信じて人々を勇気づけ、新しい時代を切り開こうと闘う知的な女性をしなやかに演じていた。ホワイトハウスに初めて招待されたアフリカ系アメリカ人で教育者のブッカー・T・ワシントンを演じたのはEXILE NESMITH。彼の胸の奥底まで響くような深い声が説得力をもたらしていた。

他にも、当時アメリカのモデル・女優として君臨していたイヴリン・ネズビットを華やかに演じた綺咲愛里、「脱出王」の異名を持つユダヤ人奇術師ハリー・フーディーニ役で存在感を示した舘形比呂一、マザーの夫ファーザー役で不器用な父親を好演した川口竜也、グランドファーザーとヘンリー・フォードの2役を貫禄たっぷりに演じた畠中洋、様々な人種を代わる代わる見事に演じ分けたアンサンブルキャスト陣など、実に多彩な人物が登場する。事前に公式サイトの人物相関図や当時のアメリカの歴史を予習しておくと作品理解がより深まるだろう。

本作は人種問題という社会的テーマを扱っている作品だが、劇場を出るときに大きな感情の渦に包まれながらも人生の歓びに想いを馳せることができるのは、ラグタイムという音楽の力に依るところが大きいのではないだろうか。これぞまさにミュージカルの醍醐味だ。

>(NEXT)囲み取材の模様を紹介

 

ゲネプロの興奮冷めやらぬ中、ステージ上で囲み取材が行われた。登壇したのは石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、EXILE NESMITHの4名だ。一部抜粋してレポートする。

ーーまず石丸さんから、日本初演の作品がいよいよ初日を迎えられるというお気持ちを教えてください。

石丸:『ラグタイム』という作品は四半世紀前に作られているものですけれど、この作品を日本で上演し、そこに出演することは私の夢でした。こうして夢が明日(初日)叶いますが、非常に嬉しくもあり、お客様はどのような反応をされるのか期待と不安が入り混じった状況です。

ーー井上さん、本作の見所と聞き所をお願いします。

井上:人種の話ではあるので、日本で僕たちが演じる上でたくさんのハードルがあったと思うんです。けれど、自分たちなりの表現を見つけて明日を迎えられると思っています。それがどう伝わるか、どう受け取っていただけるかはまだ全然わからないのですが、とにかく僕たちは大きいテーマのこの作品を大事に作ってみなさんの元に届けようとしているのが、一番大事なところじゃないかなと。聞き所は、音楽が素晴らしいところです。ミュージカル『アナスタシア』も(同時期に)開幕しますけれど、そちらと同じ作曲家(スティーヴン・フラハティ)ですし、『アナスタシア』よりも2、3曲はいい曲が多いんじゃないかと思います(笑)。

ーー今のお話にあったように、アメリカの社会が色濃く出ている作品です。本作を通して感じるアメリカについて、またそれを日本で上演する意義についてお聞かせいただけますか?

井上:アメリカはミュージカルをやっている人間にとって憧れの国でもあります。今や大国としてのアメリカのイメージも強いですが、みんなが集まって夢を持ってひとつの大きな国を作ってきたという成り立ちを知ったことで、親近感じゃないけれども、最初から大きかったわけじゃなくたくさんの人の力の上に成り立っているんだと。それには弊害や問題もあって、それは今も続いている。アメリカと日本は関係が深い国ですから、アメリカの問題は日本の問題でもあると思いますし、それは切っても切り離せない。時代こそ違えど、今の自分たちと深い繋がりがある話だと思います。

人種の問題というのは本当にセンシティブで、どうやって描くかというのは僕たちも模索しています。見た目で描くのではなく、想い、生活、臭い、動き、動作、文化といったものでその人となりを表現できたらいいなと思ってやっています。今回の僕たちは少し前まで日本の演劇界にあったような、見た目で人種を表現するということはしていません。演出の藤田さんをはじめみんなで考えた結果が明日出ると思うので、ぜひ見て感じていただけると嬉しいなと思います。

ーー石丸さんは本作の上演が夢だったとおっしゃいましたが、それは今の井上さんのお話にも通じるものがあるかと思います。

石丸:もうちょっと世界観を広げてみると、世界中でいろんなことが起こっていますよね。弱者が強者に立ち向かい、そこで戦う。この作品もそうですし、世界中で起きていること。アメリカの歴史の中のひとつの出来事として描いていますけれども、そこのフィルターをちょっと退ければ、自分たちが本当に身近に感じている問題と何ひとつ変わらないものがあるなと、この作品の稽古を通してここに辿り着いたときに改めて思いました。今回は演技の振付で人種による動きを強調しているんですね。そこからもどの人種なのかということが掴めるんじゃないかなと。

ーー安蘭さんにうかがいます。ミュージカル界を牽引している御三方が同じ舞台に立つということで、感じていらっしゃることを教えてください。

安蘭:正直言って、稽古日数が足りないなと思っています。ですが、この本当に短い期間でここまで作り上げられたのは経験されてきた方がいるからこそだと思うので、そこはこの期間でここまでやったんだぞという自信みたいな気持ちもすごくあって。それぞれの役の作り方や稽古の仕方を見て、この短い時間をどうにか補っていけているんだなと背中を見ながら思っていました。このカンパニーにしかできない『ラグタイム』が生まれていると思うので、ぜひ明日から楽しみに来ていただきたいなと思っています。

ーーNESMITHさんにうかがいます。ミュージカル界を牽引している御三方の座組に参加された感想をお聞かせください。

NESMITH:まずこの御三方と僕が横に並んでいるということがちょっと信じられなくて(笑)。僕自身の話で言うと、4年前に『ピーター・パン』に出演させていただいたときに藤田俊太郎さんと出会って、そして今回のお話をいただいて。僕自身もブラックとのダブルということで、今回の作品の題材にはセリフやシチュエーションなどからいろんな葛藤が自分のルーツの先にあるのかなと重ねながら稽古をしたり、みなさんのお芝居を見たり、いろいろなことを感じさせてもらいました。なので自分にとっても忘れられない作品になると思いますし、素敵なカンパニーのみなさんと作り上げてくることができたのは本当に幸せです。明日からのお客様のリアクションも楽しみに、自分たちで伝えられる歴史の出来事を感じてもらえたらなと思っています。

ーーNESMITHさんが舞台上で一番多く対峙されるのは井上さんになるかと思いますが、実際に板の上でお芝居をされていかがですか?

井上:たくさんのものをいただいています。普段はEXILEの一員として歌ったり踊ったりパフォーマンスされていると思うんですけど、お芝居の力強さや説得力の強さはすごいなと毎回思います。今日も一緒にやりながら、最後の方の大事なシーンだからこそ緊張して硬くなってしまうんですけど、でも「NESMITHさんの演じるワシントンからもらえばいいんだ」と思って舞台に出れば安心するというか。稽古が終わってからもずっとピアノと一緒に台詞を合わせていらっしゃる姿も拝見していたので、努力ももちろんされていると思うんですけど、役者としてのNESMITHさんもすごく豊かで素敵だなと思います。

ーー最後に、公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。

NESMITH:みんなのチームワークやカンパニーのみんなが「この作品で何を伝えたいか」というゴールに向かってやってきた稽古だったと思います。みなさんにも絶対に何か今の時代に繋がるようなメッセージがたくさん込められた作品になっていると思うので、持って帰っていただけたら。これからの人生を豊かにしてもらえる作品になっていると思います。

安蘭:本当にとにかく素晴らしい作品だと思います。お話も素晴らしいし音楽も素晴らしいし、今の私たちにしかできない『ラグタイム』がここに誕生しますので、ぜひ明日から楽しみにしていただきたいと思います。

井上:正直、ドキドキしています。どういうふうにお客様に受け取っていただけるのか、こんなにドキドキする作品はないなと思うくらい。でも、それと同時にもしかしたら日本の演劇界・ミュージカル界にとって大事な作品になるんじゃないかなという気もしていて。このやり方が成立するのであれば、どんな作品だって、どんなミュージカルだって、どの国の人だって、誰だって演じられるという勇気が湧くようなトライアルかなと思うんです。ぜひその目で見て、証人になっていただきたいです。

石丸:この『ラグタイム』、私は大きなテーマは繋がりと愛だと思います。その繋がりと愛をたくさん届けられたら一番願ったり叶ったりだなと思います。それを目指して、明日からの公演をみんなで元気に無事に務め上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


上演時間は1幕90分、休憩25分、2幕70分の計3時間5分。東京公演は日生劇場にて9月30日(土)まで。その後は大阪公演、愛知公演と続き、10月15日(日)に大千穐楽を迎える予定だ。

アメリカの歴史の1ページを描いたミュージカル叙事詩、そして日本の演劇界の新たな一歩となるやもしれない歴史的瞬間を、劇場で見届けてほしい。

取材・文・撮影 = 松村 蘭(らんねえ)

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2023年12月9日(土)、10日(日)の2日間にわたり、愛媛県・松山市総合コミュニティセンター キャメリアホールにて開催されるロックイベント『Diamond Dance 2023』の出演アーティストと日割りが発表された。

今回発表されたのは、12月9日(土)にBRAHMAN、ELLEGARDEN、SiM、HEY-SMITHが出演。10日(日)にcoldrain、04 Limited Sazabys、10-FEET、ヤバイTシャツ屋さんが出演する。

松山のライブハウス「W studio RED」主催の本イベントは、ライブハウスの5周年記念として2019年に企画されたものだったが、コロナ禍の紆余曲折を経て昨年、3年越しに開催が実現。昨年は、今治市公会堂にて開催された。

は、本日より9月18日(祝)までイープラスにてプレオーダー受付中。

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2023年11月~12月、東京・大阪にて上演される、舞台『ジャンヌ・ダルク』。この度、公式ホームページにて主要キャスト12名のコメント映像が公開された。

2010年、2014年に続き、3度目の上演となる本作は、ジャンヌ・ダルクというひとりの少女が、時代に、政治に翻弄されながらも、自らの信じるものを掴みとっていくまでの「生」に焦点をあてた人間ドラマであり、歴史スペクタクル。

今回、初舞台で主演を務める清原果耶、シャルル7世を演じる小関裕太をはじめ、出演者はオール新キャスト。りょう、岡田浩暉、福士誠治、深水元基、山崎紘菜、坪倉由幸、粟野史浩、野坂弘、ワタナベケイスケら、映像のみならず舞台をもよく知る実力派が集うほか、今後の飛躍が期待される若手、荒木飛羽が重要な役どころを演じ、さらに榎木孝明、神保悟志と、経験豊富なベテランも加わって、壮大な劇世界の骨組みを担う。

コメントでは、出演が決まったときの率直な気持ち、演出家・白井晃への印象、また100名を超える舞台の迫力や、その中に身を投じる自身の意気込みをそれぞれの視点から話し、お客様へのメッセージも寄せた。

混迷する時代にどう生きるか。まっすぐな意志と純粋さを持ち、戦乱の世を駆け抜けたジャンヌの姿から受け取るものは少なくない。平成から令和へ、コロナ禍も経て再創造される新生『ジャンヌ・ダルク』に込められた未来への祈り、希望を劇場で体感しよう。

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2023年10月に東京・京都にて上演される、NIKKATSU×LEGENDSTAGE CINEMATIC STAGE『危いことなら銭になる』の公演PVが完成した。

昨年、創立110周年を迎えた“日活“と、上質なエンターテインメントステージを追求する”レジェンドステージ“。この2社がタッグを組み、昭和を彩った名作映画を令和に演劇として蘇らせるプロジェクト『シネマティックステージ』を立ち上げた。
その第一弾は、スピーディーでコミカルな展開と、個性的でクセのある登場人物たちが繰り広げる“笑い”と“犯罪”の大傑作『危いことなら銭になる』。ろくでなしな男たちが贋札作りで一儲けを企むギャング団と対決するコメディアクションを完全オリジナルリメイクでおくる。

カネ儲けが第一で、銭になりそうな事を見つければすぐに飛びつく事件屋・ガラスのジョーこと近藤錠次を演じるのは室龍太。ヒロイン・坂本雅には中島愛。ジョーと同じ企みを持つ事件屋の土方哲三には今江大地。同じく事件屋の沖田健には青柳尊哉。事件屋と行動を共にすることとなる秋山とも子には竹内夢。さらに、ジョー達と敵対する共栄商会の斉藤秀に黒木文貴、紺野成羽に五十嵐啓輔、保黒涙に松木わかは、贋札作りのプロである馬場三武に小笠原健、共栄商会の代表である芹沢重助に石坂勇ら、個性派・実力派キャストが勢揃いした。

舞台『危いことなら銭になる』 公演PV

公開された公演PVには主要キャストの姿が。そして本作のために、Meteor Lab Produced by miyake(mihimaru GT)が書き下ろした新曲が使用されているので、こちらもチェックしよう。

これまでに多数のオリジナル作品を生み出し、現代の若者の感性に突き刺す舞台を創造してきた、レジェンドステージと脚本・演出家宮城陽亮による、コメディ&アクション満載の物語と、映像や客席を使った迫力ある演出に期待しよう。

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